更新日:2011年06月07日  Version 15.5
 

社会調査のページ

社会調査法と大学院特殊研究の解説

 

大学院社会学専攻 政策系演習

「社会調査法とデータ分析」

立教大学 村瀬 洋一


★コメント書き込み用掲示板

 アドレスを修正してから書き込んでください tw20 ---> tw2009
 削除キーの欄には適当なパスワードを入れてください。変な書き込みが増えるので、正しいリンクは作りません。


データ分析の資料

      練習用データファイルや調査票について  ★資料ページはここをクリック


仙台調査 SPSS分析実習用データ

 資料ページを見て、テキストファイルの分析実習用データとプログラムのファイルを、各自で保存しておいてください。

 まずは、以下の2つのテキストファイルを、自分のディスク(またはホームHドライブ)に保存すればよいです。

   se97prct.txt (練習用データ)

   s7v1.sps   (SPSSプログラム(シンタックス)簡略版)



1.目的

 統計的社会調査法の実施能力を身につける。
 調査データの実践的な統計分析法を身につける。
 計量社会学や社会階層研究の先行研究の概要を理解する。社会学において、大規模な社会調査が どのように実施され、どのような成果を挙げてきたかを学ぶ。
 

2.課題

 基礎的な統計学を、各自で学習していることを前提にします。課題をやった上で、テキストを持参して、第一回の時間に教室に来てください。
 
課題1
 テキスト『社会調査演習 第2版』の1章と2.1.を読んでください。その上で、2.1.の作業と問題をすべてやってください。結果をA4版の紙にワープロで清書して、教室に持ってくること(書式はA4版の紙を縦置きに横書き、横40字×縦30行、上下左右余白25ミリに準じた書式で)。

 

課題2

 ProquestデータベースやJSTOR、SAデータベース(sociological abstract)などを使って、自分の研究に必要な、英語文献のリストを作ってください(立教の図書館で使えます。これらやSSCIが無料で使えるのが立教の図書館の大きな特徴です)。最低限、上記3つのデータベースは使いこなしてください。図書館ホームページを見て、どのようなデータベースを使えるか確認してください。また使い方が分からない場合は、図書館でよくきていください。

 ただし文献リスト形式は、このホームページ最後に記載の、参考文献リストの形式をよく守ってください(日本社会学会『社会学評論』や数理社会学会機関誌『理論と方法』の文献リストと同じ形式です。この雑誌を見て形式を真似するとよいでしょう)。またリストには、American Sociological Review やAmerican Journal of Sociology など審査制学会誌の目次をよく見て、ここ数年以内の新しい論文を必ず含むようにしてください。形式によく注意して整備した文献リストを、A4版の紙に印刷してください。まずはデータベースを使いこなせばよいです。リストは5月第一回の時間中に提出してください。

 

その他

 SSJデータアーカイブ(Social Science Japan Data Archive; 東京大学社会科学研究所内)やICPSRなどのデータベースを使うと、自分の研究に有用な、過去の調査データを入手することができます。立教の社会科学系図書館から問い合わせることもできます。まずは、図書館ホームページのオンラインデータベースICPSRの解説を読んでください。
 SSJを経由しミシガン大学ICPSRから国際的なデータを入手することも可能です。例えば、「世界価値観調査」などの社会調査データも入手できます。まずは自分で、SSJホームページにて検索すること。SSM調査や、教育問題、環境問題に関する調査データも、私の指導のもとで使うことができますので、希望者はメールで相談してください。

 

3.内容予定

1)社会調査や計量社会学に関する論文の講読と討論
2)海野・原(1984)を用いた社会調査の実習
   テキストを用いて、無作為抽出法やエラボレイション、コウディング、
   評定法、尺度構成法などの実習を行う
   最後に、偏りのない質問文や、よい調査票の作成法を学ぶ

3)分析ソフトSASかSPSSを用いた社会調査データの分析実習
4)データ分析結果の発表会
5)調査票を作成し本格的な社会調査に参加
6)その他、より高度な分析法について

 希望があれば、SPSSシンタックスやロジスティック回帰分析などの実習も行います。

4.社会調査法とは 簡略な解説

4.1.社会からデータをとる方法

 社会科学は、社会からデータをとらなくてはならない。それにはどのような方法があるか。おおむね、次の5つである。
 
 1)調査 −社会学に多い
   調査対象者に対して、何らかの質問を行い回答を記録。目的や仮説をもとに質問する。まったく仮説なきままの調査はよくない。

 2)実験 −心理学に多い
   社会科学における、人間を使った実験とは、具体的には、部屋の中で何らかの意思決定やゲームをしてもらうことが多い。
   実際には、心理学や社会心理学の実験は大学生ばかりで、かつデータも数十人以下と小規模なことが多いという問題はある。そのため、分散分析など、少人数データに対応した分析法を用いる。また、状況が人工的にすぎるという短所もあるが、短所は長所でもあり、条件を明確に設定できるという利点はある。当然ながら、対象者は均質であり、年齢別、学歴別の分析はできず、分析結果にも限界はある。

 3)観察 −人類学や教育学に多い
   観察は、質問をぶつけなくてもできる。幼児の行動や、異民族の慣習などに用いるのが典型例。質問を行い回答を記録する調査とは異なる。

 4)内容分析 −content analysis: 文章や映像の内容を数量化して分析
 5)マクロデータの利用 −各種の統計年鑑や白書、総務省統計局ホームページ
   http://www.stat.go.jp などを参照

 現実社会から直接、大量のデータをとる場合は、調査を行う。経済学や法学では、学者が自分で大規模な調査を行うことは少ない。なお、研究者によっては、文書や映像を集めることまで調査ということがあるが、「社会調査」とは、人間の意識や行動についての情報を、人間から直接収集することを言う。

4.2.調査法の種類

 調査には、事例的調査(質的調査)と統計的調査(量的調査)の大きく2つが存在する。大規模な社会を対象とした場合は統計的調査が必要。記述的調査として、数十人以下の少人数にインタビューをすることもあるが、これで全てが分かった気になってはいけない。これは仮説探索のためには有効ではあるが、あくまでも限られた個人的体験であり、数十人だけで社会の全体像が分かるわけではない。
 また記述的調査は、調査法やデータ整理法はいくつかあるが、分析法は確立されないないことに注意が必要である。調査をやっている時は興味深いのだが、分析時になると有効な分析ができず、論文にならないことも多い。ただし記述的調査も、重要人物や専門家の意見をきく場合は有効であり、統計的調査のみが重要というわけではない。

 

 統計的調査法の種類は以下がある(原・海野.2004.『社会調査演習』1章などを参照)

1)面接法
2)留め置き法
3)郵送法
4)集合法
5)電話法
6)電子調査(インターネット上の調査など)
 面接調査は、調査員(大学では学生の場合が多い)と対象者が直接、1対1で話すものである。正確だが、金銭的、労力的コストは高い。例えば、学生調査員を50人雇った調査では、一人に1万円払うと1日で50万円かかる。70%以上の回収率をあげるには3日間は雇わなくてはならないので、150万円払うことになる。電子調査は低コストで短時間でできるが、多くの場合、50歳以上の女性のデータはほとんどなく、極めて偏った調査結果になる。おおむね、1)から6)の中で、下の方ほど低コストだが、データの質も低い。電子調査は、よほど正確な無作為抽出と対象者への強い回答依頼がない限り、気が向いた人が少数、答えるだけで、科学的な調査結果にはならないので、やめた方がいい。
 

4.3.標本抽出法の種類

 無作為抽出はなぜ大切か。無作為抽出をしない調査だと、暇な人(時間に余裕があるひと)、お金に余裕がある人など、何らかの側面で恵まれた人ばかりの回答が集まることになる。また、高学歴の人ほど学問的調査には協力的である。結果として、若い男性や仕事で忙しい人、低学歴の人などがとても少ないデータとなる。
 無作為抽出がなかったり、あるいは、あるのだが回収率が低い調査は、暇な専業主婦や老人のみのデータとなることもあり、社会の全体像の縮図とはならない。つまり、そのような調査で賛成70%となった調査結果は、現実には40%ということもある。
 
 いいかげんなアンケートは簡単にできるが、有効な社会調査はかなり高度な知識が必要である。この科目では、このような調査の内容や問題点について取り組む。

 

4.4.社会構造の測定 −とくに職業分類

 社会調査とその他の調査は何が違うだろうか。社会調査では、性別や年齢だけでなく、学歴や職業を正確に把握することが重要である。しかし職業と言っても、ホワイトカラーとブルーカラーに大きく2分する事も可能だし、数百の分類に分けることもできる。以下の「職業の4次元」を理解することは、とても重要である。

 とくに職業分類や産業分類の理解は重要である。日本には、国勢調査の職業分類とは別に、労働省や総務省(旧行政管理庁)の職業分類がある。国際標準職業分類も存在する。日本の調査では、国勢調査の分類が、全国サンプルの結果と比較可能で使いやすいだろう。

 金融業、サービス業などの回答が職業だろうか。銀行勤務でも、事務員やガードマンもいれば、コンピューターの操作をする人もいる。また、的確に調査しないと、多くの人が専門職と答えるが、大卒以上の資格を持たない職は、ふつうは専門職と分類しない。機械修理の熟練工などを的確に分類することは、以外に難しい。また、管理職とは何かという定義も、調査によってまちまちでは問題である。社会調査においては、職業だけでなく、地域の都市度、産業構造、学歴などの社会的分布を正確に把握することが、きわめて重要なのである。以下に、職業の4次元だけは解説しておく。

 

職業の4次元  安田三郎・原純輔.1982.『社会調査ハンドブック 第3版』p.87より

 職業が社会調査において重要である理由は、職業が社会的地位と役割を表すからである。職業には貴賤がないが、職業について調査することは重要である。なぜならば、高収入の職とそうでない職が存在するし、時代によって人気がある職とそうでない職もある。また、社会的影響力の違いもあり、巨大な現代社会の中で役割分業を行っている。これらを正確に把握するためには、職業を狭義にとらえるだけでは不十分であり、以下の4次元を調査し、これらを総合する必要がある。

 

1)産業   −従業先の企業の分野。金融業、製造業など

2)従業先の規模  −大企業かどうかは、日本では極めて重要

3)狭義の職業(本人の仕事内容)  −本人自身が何をやっているか

4)従業上の地位  −自営業か、常時雇用か、臨時雇用(パート、アルバイト、派遣社員など)

 

 これらの他に、役職、つまり係長、課長、部長などの組織内の職位も測定することが多い。通常、日本では、課長以上を管理職とする。

 

4.5.調査票の作成  −『社会調査演習』の調査票の作成を参照

 不適切な言葉つかいや難しい言葉、誘導尋問のような質問がないかどうかに注意する。また、調査票の流れが分かりやすいかどうかに注意。
 
よい調査票を作るこつとは
1)回答者が答えやすいよう、質問文を分かりやすく
 普段字を書かない職業の人も答えられるように。高度に理論的な質問は避ける。
2)ストーリーのある調査票を作る
 答えやすい質問から初め、次に一般的質問、次に個別的質問、など
3)フェイス・シートを充実
 自分が調べたい問(被説明変数)だけでなく、分析する際に使える変数(説明変数)を豊富に入れる
4)あまり多くの問を詰め込まない
 これはかなり重要なことだが、実際には欲張って、大量の問を詰め込むことも多い。老人でも20分くらいで答えられるものが理想である。長くても、普通の人が30分以内が限界だろう。
 

4.6.調査の実施  −詳しくは下記

 予算を確保し、関係各所に挨拶し、無作為抽出を行ったら、調査を実施することになる。多くの調査員を適切に配置し、調査の意義を理解してもらい、高い回収率をあげる必要がある。適切な「調査員の手引き」を作成し、調査員を集めての説明会や予行演習、予備調査による調査員の訓練を行うとよい。事故に注意し保険に入ることも必要である。具体的には『社会調査演習』の巻末の「調査員の手引き」見本が良い参考になる。

 

4.7.データファイルの作成  −詳しくは下記

 エディティング、コーディング、データインプットを行う。

 どの地域で回収したデータか分かるように、データ中に複数の地点がある場合は、地点番号などはあらかじめ決めておく。

 無回答は9か99などと決める。

 データ入力後、入力ミスがないかどうかよくチェックする。

 

4.8.データ分析

 まずは基礎的な分布の確認が重要。基礎集計か、男女別の度数分布表(男女別クロス集計表)を作り、回答に大きな偏りがないか、データが正規分布になっているかどうかを確認。なっていない場合は、分析時に十分に注意すること。

 分析の目的は、データの要約と予測である。単にきれいに要約しただけでなく、的確な予測ができるとおもしろい。まずは、重回帰分析を、多重共線性に注意しつつ実施するのが、よくある有効な分析法である。

 分析の際は、まず男女別にデータを分割して、その上で分析するのが、一つのこつである。現実の社会では、意識も行動も、男女で大きく異なるからである。分割した方が明確な結果が出る。分析手法としては、単純集計、クロス集計、基礎統計量の出力や、簡単な統計的検定(関連があるかないかについての分析)の他に、多変量解析(3つ以上の変数を用いた分析)を行う。社会調査では、重回帰分析、分散分析、因子分析がよく用いられる。あまり少人数のデータの場合、分析はできない。とくに因子分析は、社会調査データの場合、結果が不安定になりやすいので、400人以上のデータで用いること。

 

4.9.結果の発表

 分析結果を、調査報告書とするか、学術論文や単行本として出版。まずは、目的が明確な文章にすること。報告書や論文は、「目的、方法、結果、結論」の4つの内容からなる。目的と仮説、結論の一貫性に注意。結論とは、結果の要約ではない。結果をもとに、何を主張できるのかを、明確に書くことが重要。分析結果とは、結論の根拠として用いるものである。自分の主張と、その根拠は、明確に分けて書くこと。

 

4.10.調査実施の際の注意点とこつ

1)無作為抽出(サンプリング)を適切に −地区別人口の表を入手(『社会調査演習』3.3参照)
  母集団を確定できるデータを取ることが原則。後述の補充サンプルの問題に注意する
2)高回収率のための工夫 −お願い状の作成、調査員の訓練(調査員の手引き見本は『社会調査演習』巻末を参照)
3)予算、やる気のある人の確保
 

 予算を確保し、サンプリングのために地区別人口の表を入手すれば、準備完了である。ただし、調査会社に調査実施を委託する場合、調査会社との連絡を十分にする必要がある。

 

調査会社による補充サンプルの問題

 ふつう調査会社は、見かけ上の回収率を挙げるため、調査主体(大学や役所、企業など)には無断で、正規サンプルとは別に補充サンプルを用意する。信用のある大きな調査会社は数社しかないが、それらでさえも、補充サンプルを密かに用いていることは多い。というか、用いないことはまずない。最近も、学問的調査でそのことがばれて、問題になったことがある。

 これを避けるためには、対象者名簿は、調査会社でなく、調査主体の大学などが、自分で作った方がよい。そうでなくとも、少なくとも対象者名簿ができた段階で、どの人が正規サンプルで、どの人が補充サンプルかを明確に決めておくことが必要である。

 そして、補充する場合のルールを明確にしておけば、調査後に混乱が起きることはない。具体的なルールとして、正規サンプルが転居または死亡と、明確に分かった場合のみ、補充サンプルによって代替する、と決めておけばよい。調査会社の多くは、不在や拒否の場合も補充サンプルを使ってしまうが、そのような場合、無作為抽出とはならなくなるので注意。実際に、対象地に住んでいない場合(死亡や転居など母集団にもともと存在していない場合)のみ、補充サンプルを用いれば、無作為抽出となる。

 

4.11.ウエイト

 調査により得られたデータは、普通、男性よりも女性が多めであり、若年層は回収率が低いので、実際の社会よりも高齢者が多い。つまりデータにはゆがみがある。多くの場合、転勤族や、労働時間の長い人、賃貸住宅に住む人、一人暮らしの人は、回収率が低い。低学歴、低収入の人の方が回収率は低い。ただし、現代日本では、高齢者は比較的低学歴なので(大学等に行っていない人が多い)、見かけ上、低学歴の人が多めに見える。実際には、木造アパートが多いような地区は、回収率が低く、下町のあたたかい雰囲気だと回収率が高い、などの現象はない。

 だからと言って、調査結果にウエイトをかけると、さらに問題が起きるので、かけないほうが良い。回収率の高いデータを得るのが大原則である。転勤族や、労働時間の長い人、深夜労働の人などは、データ中にかなり少ないので、性別、年齢や学歴でウエイトをかけたところで意味がない。ウエイトかけるとさらにゆがみが大きくなる。調査で回収できた人と、できていない人は、大きく異なるので、回収できているデータをもとにウエイトをかけても、ゆがみが大きくなるだけで、意味がないのである。米国で行われているようなウエイトは、日本で行っても、混乱が大きくなるだけでメリットは少ない。

 


5.参考文献  ★は村瀬による解説

 文献リスト形式は、必ず著者名と発行年を最初に書く。その後、書名と出版社(雑誌論文の場合は論文タイトルと雑誌タイトル)を書くこと。2行に渡るときは、以下の奈良の本のように、2行目を半角4つあける。文献は著者名のアルファベット順に並べる。また欧文著者名は姓を先に書く。
テキスト
 1)原純輔・海野道郎.2004.『社会調査演習 第2版』東京大学出版会.
    ★調査法のテキストとしてはもっともよくできている。各章の作業と問題
     をやるととても力がつく。作業はかなり大変ではあるが。

     巻末資料の、調査票や「調査員の手引き」は役に立つ。

 2)安田三郎・原純輔.1982.『社会調査ハンドブック(第3版)』有斐閣.
    ★古いがこれがもっともよくまとまっている。質問文例など参考になる。


大谷信介他編.2005.『社会調査へのアプローチ 第2版 −論理と方法』ミネルヴァ書房.
 ★不適切な質問文の例が多く役にたつ。職業の測定は記述が不適切。

与謝野有紀他編.2006.『社会の見方、測り方 −計量社会学への招待』勁草書房.
 ★各種分析法の解説。

原純輔・浅川達人.2005.『社会調査』放送大学教育振興会.
 ★実践的な内容について、よくまとまっている。

盛山和夫.2004.『社会調査法入門』有斐閣.
 ★かなり難解だが、私の講義準備用としてはとても有用。院生以上向き。


天野徹.2002.『統計学の想像力 −覚束ない未来のために』ハーベスト社.
朝野彦.1996.『入門多変量解析の実際』講談社.
ボーンシュテット・ノーキ.1990.『社会統計学』ハーベスト社.
原純輔他編.2000.『日本の階層システム』1〜6.東京大学出版会.
井上文夫他編.1995.『よりよい社会調査をめざして』創元社.
 ★郵送調査の具体的な実施法の記述は分かりやすい。
石村貞夫.1998.『SPSSによる多変量データ解析の手順』東京図書.
海保博之編.1985.『心理・教育データの解析法10講』福村出版.
狩野裕・三浦麻子.2002.『グラフィカル多変量解析―AMOS、EQS、CALISによる
  目で見る共分散構造分析』現代数学社. 
岸野洋久.1992.『社会現象の統計学 (シリーズ社会現象の計量分析1)』朝倉書店.
栗田宣義編.1999.『データブック社会学』川島書店.
 ★日本の代表的な社会調査のデータを紹介した資料集。
内閣総理大臣官房広報室編『世論調査年鑑 : 全国世論調査の現況』大蔵省印刷局.
 ★毎年発行される。日本での世論調査を集めたもの。質問文など参考になる。
直井優編.1983.『社会調査の基礎』サイエンス社.
直井優他編.1990.『現代日本の階層構造』第1〜4巻.東京大学出版会.
小野寺孝義他編.2004.『SPSS事典 BASE編』ナカニシヤ出版
Rodeghier, Mark. 1996. =西澤由隆・西澤浩美訳.1997.『誰にでもできるSPSSによ
  るサーベイリサーチ』丸善.
佐藤博樹他編.2000.『社会調査の公開データ 2次分析への招待』東京大学出版会.
谷岡一郎.2000.『「社会調査」のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ』文春新書.
渡部洋編.1988.『心理・教育のための多変量解析法入門 基礎編』福村出版.
 ★分析法について、初心者向けに分かりやすくまとまっている。
山際勇一郎・田中敏.1997.『ユーザーのための心理データの多変量解析法』教育出版.
安田三郎.1971.『社会移動の研究』東京大学出版会.
NHK放送文化研究所世論調査部編.1996.『世論調査事典』.東京: 大空社.
 ★調査の紹介、調査手法について詳しく記述がある。倫理、著作権についても記述がある。


6.各種資料

 ★調査員の手引き見本
  原・海野.2004.『社会調査演習 第2版』東京大学出版会 巻末の、手引きや調査票見本も見るとよい

 ★必要標本数nと誤差範囲の求め方エクセルファイル
  公式を簡単に計算するためのエクセルファイル。

 ★調査票の見本は冒頭の「練習用データファイルのページ」を見てください。

 ★調査企画書の見本ファイル 準備中
  調査準備には、よい企画書を書いて、周囲とよく相談することが重要です。

 ★調査費用の計算用エクセルファイル
  費用を計算するためのエクセルファイル

 エクセルファイルは、リンクを右クリックして「対象ファイルを保存」としてください。

 調査の標本数nは、誤差を5%ほど認める場合、400人程度となります(母集団人口により少し変わるが385人前後)。ただし、現実の調査では、結果を男女別に分析したい場合、800は必要なのです。また、当然ながら、男女別や年齢別の分析をすることは多いので、1600は必要となります。回収率が5割ならば、さらにこの倍3200人が必要です。理想的にはこのくらいのサンプル数はほしいところです。


7.仮説とは何か

 よい調査をするためには、よい仮説をもとに質問を作ることが重要。仮説とは、原因と結果の、2つの要素を含む文である。例えば、「環境に興味を持つ人は多い」のような文は、原因を含んでいないので、仮説とは言えない。「高年齢ほど、環境に興味を持つ」ならば、年齢と興味という2つの要素があるので良い仮説である。年齢、性別、学歴、職業など基礎項目に関する仮説は、すぐに作ることができるだろう。

 なお、統計的検定の際の帰無仮説とは、簡単に言うと、原因と結果が「無関連」という意味の仮説である。

 統計的検定とは、分析の初歩である。これは、関連の有無を見ているだけで、関連の大きさについては言及していない。有無について、1,0で考えると言って良い。関連の大きさについては、検定以外の方法で分析することになる。

 質問をいくつか作ろうとしても、基礎項目以外は、なかなかうまく作れないこともある。そのような時は、まず、いくつかの仮説を考えてみるとよい。その上で、必要な質問項目の候補について、自由にアイデアメモを書いてみると良いだろう。また、安田・原『社会調査ハンドブック 第3版』の中には、質問文例が豊富にあり、参考になる。


8.調査費用について ご参考まで

 調査費用の多くは、調査員の人件費である。例えば、サンプル数800人の標準的な社会調査で、50人の学生調査員を雇い、1万円ずつアルバイト代(と交通費)を払えば50万円、金−日の3日間で150万円かかる。回収率を高くするためには、さらに長期間の回収が必要である。東京など大都市では、回収率が低くなりがちなので、最低限、金−月の4日間、回収期間をとった方がよい。土日のみ、などだと、かなり回収率が低くなる。
 費用は、サンプリングやバイト代、謝礼代に予算を使わなければ、かなり安くすむ。つまり、学内で学生のみが答える調査は、調査票の印刷費数万円以内でできる。学外でも、学生実習として(学生にアルバイト代や交通費を払わずに)調査を実施すれば、事前のお願い状の郵送費と調査票印刷費だけで実施は可能である。1000サンプルの調査で50人の学生が参加しても、合計20万円もあればできるだろう。1票200円の計算である。
 ただし、高回収率をあげるためには、とくに土日の夜まで、しっかり調査員を働かせた方がよい。その場合、ふつうはかなりの人件費がかかる。また、謝礼やお礼状、調査本部の電話代なども必要である。

 なお、私の経験では、大学で調査実習をする場合は、無理に学外調査を、学部の調査実習としてやる必要はない。とくに1,2年生など訓練不十分だと、学外で実習をするのは、最近は難しいのである。苦情電話への対応や学外との連絡におわれて、その分、学生を指導する時間が少なくなる。ある程度、学生の訓練が終わった後に、研究目的で意味がある場合には、学外での調査実習をやるとよい。学生を学外に出すのは、学生にとってはかなり良い経験であり、調査の技能の継承のためにも必要であるが、訓練が終わっていない学生を突然外に出しても、苦情が殺到するだけで良い結果にはならない。まずは、学生を学内でしっかり訓練することが重要である。とくに、教員の調査経験が少なく、この数年以上、実際に無作為抽出等をやったことがなかったり、学外で調査をやったことがない教員ばかりの場合は、教員が、苦情や事故への対応がうまくできないので要注意である。まずは、学内でしっかりした調査実習をやることが重要。



9.調査実施時の注意点

 企画書を作り、質問項目を作り、サンプリングを行い、関係部署に挨拶し、予備調査を実施した後、調査票を完成させれば、調査準備は完了である。調査準備として何が必要か、具体的に書いていない調査法のテキストは、実は多いのである。本を読んでも、どうすれば高回収率でかつ歪みの少ない、適切なデータを得られるかは、分からないだろう。ただ『社会調査演習』の巻末資料には、「調査員の手引き」見本がある。具体的で参考になるので、見てみるとよい。

 回収率を上げるためには、とくに以下のことに注意すること。最近は不在が多く、人々のプライバシー意識も高く、治安の問題もあるので、かなり注意しないと回収率は厳しい。

 1)事前に対象者へお願い状を送る
    対象者の選び方、調査主体、調査の意義等を丁寧に説明。対象者の選び方を詳しく書かないと、なぜ住所を知ったのか、という苦情電話がたくさんくるが、説明不十分なお願い状は多い。
    白やクリーム色の紙に、必ず角印を押し、公式文書のような固い文書のイメージにすること。印象がよく信用がある。
    できれば手書きで数行、書き添えると良い。
    大学の封筒で、連絡先をきちんと書き、インチキ調査でなく、調査主体が大学だということを分かってもらえることが重要。
    連絡先電話(携帯でないもの)の他、Eメールやホームページアドレスを書いても良い。
 2)調査員の指導
    調査員のやる気がもっとも重要である。説明会にて、調査の意義をしっかり説明し理解してもらう。
    土日の夜を含めて複数回、訪問するように指導することが大切。
    不在のお宅には、繰り返し何度も訪問することを徹底させる。夜8時すぎまでは何度か訪問かないと、とくに単身世帯からの回収は難しい。
 3)調査時期
    月末、決算期など、人々が多忙で留守がちな時期は避ける。月の後半より前半がよい。
    回収率のためには、土日の夜を含め3日間以上は必要。
 4)調査員配置
    賃貸アパートが多い場所や、土日の夜は、調査員を多めに配置する。
    できれば男女1組で。女性は郊外の安全な住宅地が良い。
 5)調査本部を設置
    調査員へ連絡、苦情受け付け、事故待機、現場を巡回。
    当日は、何人かで調査現場を巡回し、調査員の様子を見て励ますとよい。


10.調査結果のデータ入力法


詳しくは応用調査実習ページ参照



 調査が終わったら、結果を数字のファイルにすれば、SPSSなどの分析ソフトで
簡単に分析できる。
 以下の例のように、半角数字のみを入れる。数字のみを入れると、
エクセルやSPSSに数字を入力するよりのとくらべ、半分以下の時間ですむ。


注意点
 半角数字のみを入れる。余計な空白や、とくに全角空白や余計な改行は入れないよう
注意。その点に注意すれば、とくに難しいところはない。
 改ページごとに半角空白を1つ入れる(分かりやすくするためでとくに意味はない)。

データの形式見本(2人分)

1101 32400232 10100011 110113110 22099 9621 4317
1102 13101421 11212111 121114112 12299 9631 4317

 この例だと、はじめの4桁はサンプル番号。その後、問1で3、問2で2、
問3で4と答えている。


その他注意点
・複数回答項目(Multiple Answers)は、○がついているものは1、ついていなければ0と入力
  例えば、問1-7まであり、234に○の場合、0111000 と入力
・無回答は9または99を入力
・始めにサンプル番号を入れると、どこまで入力したか分かるし、チェックの時によい
・ワードやメモ帳など何で入力しても良いが、保存時はテキストファイル形式で保存する。
 保存時に「名前をつけて保存」を選び、保存形式ボックスをクリックして形式を選択する。

★入力が終わったら、数字の打ち間違いがないか、再度確認する。2人1組で、調査票の数字を読み上げて、ファイルの数字と合っているか確認するとよい。
また、すべてのデータの空白位置がそろっているかどうか注意。
最後に余計な空白や改行マークがないように。
 データファイルが完成したら、SPSSやSASのプログラムを書いて、分析する。
応用調査実習やSPSSのページなどを参照。見本のSPSSシンタックスを見て
データ定義文を書くと良い。



あなたは1998年04月08日以来  回目のアクセスです。

    2002年 3月28日   3482 アクセスを記録

    2003年 3月26日   4980 アクセスを記録

    2005年 4月 1日   9329 アクセスを記録



村瀬研ページに戻る

All Rights Reserved, Copyright(c), MURASE,Yoichi
ご意見、お問い合わせは、お気軽にどうぞ E-mail : murase rikkyo.ac.jp