立教スポーツ第169号
<10月5日更新>

自動車部 やったぜ!!牛島日本一

 
自動車部 やったぜ!!牛島日本一

 コンマ1秒を争う世界。激戦を制し、本学のエースが部の歴史に残る偉業を成し遂げた――。
 8月25日・26日に鈴鹿サーキット南コースにおいて全日本ジムカーナ選手権大会が行われた。関東1位という成績で、強豪が集う今大会に臨んだ主将・牛島(社4)。のしかかる重圧をはねのけ彼は念願の優勝をつかみ取る。
 ついに手に入れた栄冠。これは4年間ひたむきな努力を続けた牛島と、共に困難を乗り越えてきた仲間たちで得たものだ。

挑戦あるのみ
 レーサーの聖地・鈴鹿。今年のこの地で熱戦の火ぶたが切って落とされた。
 各大学から3名が出場し走行タイムで順位を競うこの大会。本学は経験を積んだ4年生の井原(観4)、甲原(観4)、牛島というメンバーで試合に挑む。
 この大会では、例年関西勢が上位を独占している。関東の覇者・牛島でさえも自信を失うほどの実力校揃いだ。しかもコースは直線が非常に長いため、他大と比べてエンジンの馬力が劣る本学は不利である。苦しい戦いになるのを誰もが予想していた。
 しかし、事前の練習走行で牛島はマシンの仕上がりに手応えを感じる。「もしかしたらいけるかも」と、期待を胸に予選を迎えた。
 A決勝に進むためには予選で14位以内に入らなければならない。彼らはコースアウトの危険性が高まるのを意識しつつも、ひるまず走る抜くことを選択する。
 まずは井原が無事に完走し、後続に託す。次の甲原も快走して、良い流れを作った。そして第三走者・牛島。「失敗を恐れず集中してできた」と語るように、大胆ながらもミスのない走りで見事に予選を2位通過する。また、甲原が13位、井原が31位と健闘しチームに大きく貢献。団体でも2位となり、堂々のA決勝進出を果たした。


ひとつになって
 一層厳しい展開が予想される決勝。その直前に思わぬ事態が発生した。予選後の整備中、実はエンジンが故障していたことが発覚したのだ。しかしそれを修理したことによって最大馬力は大きく上昇。結果的に状況は好転する。
 車への不安が取り除かれ牛島たちは自信を持って決勝に臨む。まず、先頭の井原がコースの状態などを的確に伝えつつタイムを残した。続く甲原も上位に食い込む良い走りを見せる。
 また2年生も積極的にサポートする。この大会では夏場50度に上る路面温度の中を走るため、部品の劣化でタイムを落とすチームが多い。だが本学はタイヤの冷却や運転に集中できる環境づくりを念入りに行うことで、ドライバーの能力を最大限に引き出していた。
 仲間に支えられ、ついに牛島がアクセルを踏む。巧みな運転技術にスピードが加わり、彼の走りは今までにない冴え(さえ)を見せる。結果は2位を2秒近く引き離す85秒89で96人中1位。他の選手を寄せ付けない圧倒的な走りだった。また、団体でも総合3位に入賞。皆が全力を尽くした勲章であった。


                                        
強き思いを持ち
 「最高の全日本だった」と誇らしげな表情で大会を振り返った牛島。最高学年となる彼らにとって、この結果は4年間の努力のたまものであった。
 現在の4年生は部員不足のため2年次に幹部となった。その当時は右も左も分からず、車の整備から部の運営まで手探りの状態が続く。大会でも思うように成績が残せない中、下級生が皆辞めてしまうというつらい経験も味わった。
 それでも彼らは決して立ち止まらなかった。短期間で結果を出そうとせず、先を見据えて着実に進むことを決意する。まず自分たちの技術を磨くことに専念し次第に後輩たちの育成に目を向け始めた。そして結果を求めて臨んだ最後の年、牛島は日本の頂点に立ち、チームでも表彰台に上るという功績を成し遂げる。
 「この三人だからここまで来れた」と話す井原。また甲原も「うまく連携できた」と言う。主将を3年間務めた牛島も、「一人では成し遂げられなかった」と同期の存在の大きさを改めて感じていた。
 度重なる苦難も仲間がいたから乗り越えられた。三人で懸命に駆け抜けてきた4年間。今まで積み上げてきたものが、最後に全国の舞台で実を結び大きく花開いた。

                                            (今村、尾形)
                                           


合気道部 精鋭揃い 全国優勝

 一人ひとりが着実に技を決めていくことで五人が一体となり、勝利をチームの下へ引き寄せた。
 7月1日に第32回学生合気道選手権大会が国立競技場霞ヶ丘室内体育館にて行われた。本学は実に6年ぶりとなる団体戦での優勝を成し遂げる。
 団体戦メンバーの5人中4人を4年生が占めた今大会。彼らは昨年の4位という雪辱を果たすために仲間と己を信じて戦った―。



破竹の勢いで
 本学が出場する大会で、唯一団体戦がある学生選手権。団体戦は先鋒(せんぽう)、中堅、大将が綜合乱取試合を行い、次鋒、副将が捕技乱取試合を行う。
 シードにより2回戦からの出場となった本学がまず対するのは、北大水産。先鋒の主将・加藤(法4)は積極的に攻め続け、大事な初戦を物にする。しかし、次鋒戦で瀬上(法4)が惜しくも敗れてしまった。1勝1敗で迎えた中堅戦。一進一退の戦いの中で、土井(理3)が確実に技を決めていき勝利する。続く副将戦には、昨年の学生選手権の捕獲乱取の部にて優勝をした三井(文4)が出場。苦戦を強いられたものの、最後には三井が相手を破った。3勝した本学は準決勝へと駒を進め、東京電機大戦へ臨むこととなる。
 気合十分で試合に挑んだ彼らだったが、先鋒戦で思いがけないアクシデントが発生する。加藤が足首を痛めてしまったのだ。棄権も危ぶまれていたが試合を続行。見事に戦いを制した。「最後の大会ということもあって試合をつなげたいと思った」と自身で振り返った。
 加藤が主将として、最上級生としてあきらめない姿勢を見せたことにほかの選手も触発されていく。次鋒瀬上は粘りを見せて引き分け、土井は力強い技で一本を取る。三井は丁寧に技を繰り出して連勝する。そして二回戦で敗北を喫した大将・清水(文4)が登場。試合後に、本人が「満足している」と語るように相手を圧倒し、下した。4勝1引き分けと1敗もすることなく準決勝を終えた本学は、とうとう決勝戦への切符を手にした。


掴み取った栄冠
 4年生を軸に確かな力を見せつけ、決勝戦へ進んだ本学。対戦校は昨年本大会で準決勝を飾り、優勝候補でもある北星学園大。緊張感が場内を包む中、先鋒戦が始まった。けがをしていた加藤だが、引き分けとし部の中心としての役割を果たす。流れを大きく左右する次鋒戦では瀬上が力を存分に発揮。判定勝ちとして中堅戦へ弾みをつける。ここまで負け無しで迎えた中堅戦では土井が力強い攻めから一本を奪い、本学を全国制覇へと近づけた。
 優勝を目の前にした副将戦。だが相手も意地を見せ三井が判定の結果0-2で敗れてしまう。続く大将戦でも相手と互角の戦いを見せ、判定へ持ち込んだ清水だったが0-2で敗北。優勝の行方は代表による綜合乱取試合へともつれ込む。
 代表戦にはここまで安定した戦いを見せてきた土井が挑んだ。「自分の戦い方をした。」というように得意の投げ技を狙い続けたが相手も譲らずに、結果は判定へ。場内の視線が一点へ注がれた審判の手は土井へと挙げられた。2-0の判定で土井が勝利したと同時に本学が全国の覇者として輝いた瞬間だった。
 主将としてチームを引っ張ってきた加藤は「自分の技を追求していく事を後輩へ期待したい」と語った。次代へ託された連覇の夢。大舞台で積んだ経験を糧に本学の頂点への道は続いてゆく。
 
                                         (浅岡、青山)


ボート部 逆風しのぎ、不屈の闘志で復活

 ライバルたちが集う中、彼らは意地を見せつけた。
 8月23日~26日にかけて、戸田ボートコースにて行われた第34回全日本大学選手権大会。本学は4種目に出場し、女子舵手(だしゅ)付きクォドルプル6位、男子舵手なしフォア8位という成績を収めた。
 昨年は低迷に悩んだ本学。厳しい鍛錬の成果が、ようやく結果となって表れたのである。


見せた熱戦
 予選を2着で終えた、女子舵手付きクォドルプル。迎えた敗者復活戦(以下、敗復)は序盤本学を含む4校が横一線で並んだ。後半に入り本学と鹿屋体大が前へ出る。ゴール直前、2校がデットヒートを繰り広げた末、見事に本学が1位となった。
 準決勝は仙台大、明大、そして前日競り勝った鹿屋体大にも敗れ、4着。決勝進出はならず、順位決定戦へ臨んだ。スタートに成功し、先頭を漕ぎ(こぎ)進んでいく本学。しかし徐々に法大がスピードを上げて、抜かれてしまう。さらにまたしても同じ組となった鹿屋体大が迫ってくる。全力を尽くし、宿敵の猛追を振り切った本学が2着でゴール。総合6位となった。
 このクルーを引っ張ってきた渡辺(経4)、大堀(文4)。二人の先輩について古崎(社3)は「大好きでとても頼りにしていた先輩。もう一緒に乗れないと思うとさみしくて…」と目に涙を浮かべ言葉を詰まらせた。強いきずなに支えられたクルーが、戦いの日々を終えた。


ベスト出し切り
 クルー全員が4年生の男子舵手なしフォア。泣いても笑っても最後の大会だ。四年間の集大成を見せるべく、男たちは漕ぎ出した。
 初日の予選で3着となり敗復へ回った本学。2着以上で準決勝に進むことができる。レースは序盤から抜け出した中大を他艇が追う展開。1000㍍辺りから2位争いは本学と明大の一騎打ちとなる。そして両艇は並んだままゴールへ。結果、本学が0秒33の小差で勝利して敗復を突破した。
 迎えた準決勝ではスタートで出遅れ4着。順位決定戦への出場が決まった。気持ちを切り替えて臨んだ最終日。本学は強豪相手に必死に食い下がる。だが力及ばず4着でゴールし、総合8位という結果を残した。
 レース後、四年間を振り返り「皆、体も顔つきも変わった。つらい日々の中で成長してきた」と平賀(法4)は語る。ボートにささげた青春。たくましくなった彼らがそこにはいた。
 

                                      
新たな出発
「今日だけは泣かせてください」。大会後、主将・寺内(経4)が流した涙はボート部が直面した数々の試練を物語っていた。
 昨年の春に始まった艇庫兼合宿所改築のため、部員は仮合宿所への移動を強いられる。ボートコースが遠くなり、練習環境は厳しくなった。そして昨年のインカレは全クルーが敗復で敗退に終わった。
 屈辱を味わい、再起を誓った部員たち。その先頭に立って部をけん引してきたのが4年生だ。妥協せず懸命に努力する彼らの姿は、後輩の励みとなった。
 全員が一丸となることで苦難の時を乗り越えたボート部。渡辺は後輩へ「4年生が残すものを受け継ぎ、今年を復活の一年目にしてほしい」と語った。そして新主将となる古崎も「来年はインカレで優勝します」と力強く宣言する。先輩の熱き思いを胸に、彼らは次の夏へと動き出す。

                                        (片岡、上甲、川添)









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