立教スポーツ第175号
<12月5日更新>

A号軟式野球部 総力を結集し準優勝
 

A号軟式野球部 総力を結集し準優勝

  一球に懸ける思いが、彼らを夢の舞台へと導いた。
 六大学の王者を決めるとともに、第29回東日本大学軟式野球選手権大会(以下東日本大会)への出場権を争う今大会。序盤苦しむも徐々に勝ち星を重ねて準優勝。17年ぶりに東日本大会へ進んだ。白球を追い続けた立大ナイン。その努力が実を結んだ。

 

上昇への序章
 近年Bクラスに低迷していた本学であるが、今年の彼らは一味違った。迎えた開幕戦の対法大。エース・岡本(法3)が好投するも本学の打線が沈黙し引き分ける。続く2戦目も敗戦して苦しい出だしとなる。
 だが第3戦の慶大戦で本学はようやく本領を発揮。初回に相手投手の暴投も絡んで出塁すると、三宅(済2)と斉藤(社1)の2者連続安打で一挙3得点を挙げる。1年生中心の若いチームが躍動した。それに応えて七回には関口(社4)が適時三塁打を放ち、1点を追加する。結果、4−2で初白星を飾った。しかし失策が原因で相手に得点を許したこともあり、主将・高野(営3)は「集中力が足りない」とチームにハッパを掛ける。
 士気を高めた本学は次に東大と対戦。先制されはしたが、四回に小倉(済1)が右中間に勝ち越しの本塁打を放ち、リズムを作る。六回には三宅が無死からの三塁打で出塁して山本(済3)の投ゴロで生還。6−4で逆転勝利を収めた。
 そして6戦を終えて、3勝2敗1分けとした本学は早大を相手に迎える。前試合は「勝てる試合だった」と部員たちが言うように、0−1で明大に痛い1敗を喫していた。だが、チーム全体は少しずつ、しかし確実に一つになっていた。
 守備で山本が打撃の不振をばん回する好プレーを見せると、七回に打線がつながる。斉藤の右前適時打で同点に追いついて、三宅の犠飛で逆転。投打がかみ合い、5−4で見事接戦を物にした。
 「試合を重ねるごとに成長している」と高野が評価するように、チームは変革期にあった。リーグ戦上位2校が出場できる東日本大会の出場権獲得へ向け、本学は活気づいていく。

 

 

「らしさ」貫き
 勝てば念願の東日本大会出場が決まる東大戦。勝利への強い思いを胸に彼らは試合に挑んだ。
初回、足で揺さぶりをかけた本学は、相手投手の制球が定まらないことと相まって先制に成功する。しかし直後に4安打を浴び、同点にされてしまう。焦るチームメートを落ち着かせたのは高野だった。「今は我慢するとき」。そう言い聞かせることで気持ちを切らさず、試合に集中させた。すると三回、四死球などから二死満塁のチャンスを作ると、山本の二塁打で2点を追加。一気に試合を決定づけた。その後、岡本が力投し、東大の反撃を許さず5―3で勝利。目標としていた東日本大会出場を現実のものとした。
喜びに浸る間もなく行われた明大戦。優勝の可能性を残したこの試合。四回まではリーグ戦初登板の床井(とこい=済1)が無失点に抑え、一歩も譲らなかった。しかし打線が救護できず、先制点を奪えない。すると五回からマウンドに登った岡本が二失点を許してしまう。九回にどうにか1点を返したものの、1―2で敗れてしまった。
準優勝が懸かる早大とのリーグ最終戦。明大戦で決勝点を献上してしまい、悔しい思いをした岡本。「大学野球生活最後のピッチングだと思って投げた」。そう試合後に語ったように、7回を散発の3安打に封じ込める文句無しの快投を見せる。打線も岡本の好投に応え、三回と六回で1点ずつ挙げ、2―0で勝利することができた。
最後は彼ららしく「楽しく野球をやって勝つ」ことができ、準優勝という素晴らしい結果を残した本学。この秋手にした自信を胸に次なる春のリーグを見据える彼ら。だが今は、変わらぬ笑顔でグラウンドを後にする。  (西村(彩)、北尾)


 革新遂げて
 秋季リーグ準優勝、そして東日本大会出場。言葉にすれば短いが、彼らにとっては特別な思いが込められている――。
3年生を中心としたチームで臨んだ春季リーグでは5位となった。しかし春から一転して、秋は6勝を挙げて準優勝。メンバーを1年生中心に切り替えてつかみ取った結果である。
 今リーグ途中から監督業に専念していた高野は「(1年生は)思い切りが良く、失敗を恐れていない。チームには全体が一つになった雰囲気がある」と語る。副将の山本は「レギュラーの3年生は自分と岡本だけ。1年生の手前手は抜けず、責任が重いものがある」と上級生の立場の難しさを話す。一方で「若いときから経験が積めてチームの底上げにつながる」と今季中盤から捕手を務めた小久保(観1)はチームへの思いを口にする。
 本学を支える若き力。優勝の二文字はもはや夢物語ではない。(片岡)

 

 


女子バスケットボール部 感涙溢れる2部昇格

 悔し涙はもう流さない。どんな試練も仲間と共に乗り越えていくと心に誓って。
 秋季リーグ戦は、年に一度の昇格のチャンス。昨年は3部2位で挑んだ入れ替え戦で無念にも敗北していた。
 あれから1年。一人一人が全員のために試合をする、「全員バスケ」を目標に厳しい練習を重ねてきた。すべては抱いてきた思いを形にするために。

 

 

進むしかない
 1年前、2部昇格を目前に夢断たれた本学女子バスケットボール部にとって、今年に懸ける思いはただならぬものがあった。リーグ戦は7校と対戦。チームの核となるのは春から力を入れて練習してきたディフェンスだ。リーグ戦序盤は、練習の成果を発揮し順調に4連勝。良い流れで慶大との一戦を迎えた。気迫のこもった相手の応援に対し、劣らぬ声援でコートのメンバーを後押しした本学ベンチ。32点の大差をつけての勝利は、まさに全員の力を合わせた戦いの成果であった。
 続く相手は東京医療保健大。事前にビデオを見て十分な対策を行ったこともあり、連携の取れた試合運びで快勝する。そして、入れ替え戦進出の鍵を握る千葉大との一戦へ。一進一退を繰り返し、勝負は最後までもつれる。均衡状態の中、残り6秒で執念の3ポイントシュートを決めたのは松島(営3)。試合後、「相手の流れは気持ちでひっくり返すしかない」と語った彼女の強い思いが、勝利へと通じた瞬間であった。
 5点差の接戦を制し、Bブロック全勝優勝を遂げた本学。その勢いが止まることはないと思われた。しかし、入れ替え戦の命運を大きく左右する3部順位決定戦で秋草短大に13点差、国士大に2点差でまさかの2連敗を喫してしまう。
 高く立ちはだかった壁を前に、精神的に追い込まれた彼女たち。これまでの試合で積み重ねてきた自信が失われかけていた。

 

切なる願い
 順位決定戦の結果、入れ替え戦の相手は和洋女大となった。昨年の入れ替え戦で敗れた相手だけに気後れしてしまうが、昇格への思いは捨てられない。気持ちを切り替え彼女たちはひたすら練習に励んだ。基礎練習に始まり、和洋女大を想定した実践練習に至るまで一丸となって取り組んだ。
 こうした練習などで積極的な声掛けを行い、良い雰囲気を作り上げてきたのが4年生だ。レギュラーメンバーこそ下級生が中心だが「4年生は心の支え」(松島)であり、不可欠な存在だ。感謝の気持ちから、入れ替え戦では4年生に有終の美を飾らせたい、と下級生たちは意気込んだ。
 入れ替え戦当日。開始20秒で先制点を決めたのは鈴木(観3)だった。さらに第1Q(クオーター)終了間際に吉松(文1)のシュートが決まり、1点差ながらも本学がリード。勢いに乗ったチームはその後もリードを保ち、第4Qまでに4点差をつけた。ここで、4年生をコートに迎えようと松島らが奮闘。一気に和洋女大を引き離し、残り時間8秒で4年生プレーヤー全員がコートに立った。そして72−61で勝敗が決すると、コート上の選手をはじめ一同が泣きながら歓声を上げる。悲願の2部昇格を果たした瞬間であった。
 「昇格は入部当時からの夢だった」と語る主将・中島(済4)。今、その願いがかなった。来季から2部という舞台に立つ彼女たちは新たにどんな夢を見るのだろうか。(村松、太田)

栄光支えた礎
 昇格を遂げた本学。その陰にはさまざまな人の努力があった。
 毎回、試合に駆け付け声援を送るOG。応援だけにとどまらず、入れ替え戦に向けて横断幕を作り、選手に熱い思いを伝えた。
 選手以外の部員は選手の精神的支柱となった。学生コーチを務めた村瀬(社4)。彼女の役割は監督と選手の間に立ち橋渡しをすること。「心を鬼にして厳しく接した」と語るように、チームを客観的に見て皆の士気を高めてきた。また今年に入り新たにマネジャーが入部。縁の下の力持ち的存在の彼女たちにより、選手が練習に専念できる環境が整い始めている。
 試合中実際にコートに立てるのは選手のみ。しかし選手だけでこの栄冠を手にすることはできなかった。多くの支えがあったからこそ部が成り立ち、2部への道が開かれたのだ。(関)




ローラーホッケー部 終わりなき興奮と感動 女子連覇 男子準優勝 

   今こそ、決戦の時。学生最強の座を懸けて覇者の誇りを胸に勝負に挑む。昨年は男女そろって優勝を果たした本学。連覇を目標に一年間励んできた。彼らがすべてを懸けた今大会、実力が拮抗(きっこう)し激闘を繰り広げた末、男子は準優勝、女子初見事優勝を成し遂げた。

 


熾烈な戦い
 アベック連覇を目指す本学。昨年の成績によって、男女共にシードで準決勝から出場した。
  女子は国学院大と対戦。「出だしが勝負」と女子キャプテンの村瀬(法4)が話すように、本学は試合開始から積極的にシュートを放ち得点を狙っていく。絶好の機会はすぐに訪れた。前半2分、ゴール前の混戦から滝沢(理4)がシュートし、こぼれ球を村瀬が押し込み先制。本学が1点リードして前半を折り返す。
  後半に入ると立ち上がりは劣勢になるものの、その後は追加点を奪いに行く。しかし長年のライバルとだけあって国学院大も譲らない。そして一進一退の攻防を制したのは本学。1―0で勝利し決勝に進出した。
一方、男子は専大と対決した。8月に破れた相手だけにビデオを見て対策を練ってきた。最初にシュートを打ったのは専大。だが本学も負けじと相手ゴールに迫る。試合は両者無得点のまま延長戦へ突入した。
 延長戦に入っても互いに譲らず前半を終える。「死んでも負けたくない」と小坂(理4)は主将の意地を見せつけ、終了わずか1分前にシュートを放つ。惜しくもGKにはじかれるが、こぼれ球に大久保(済2)が反応し、ゴールネットを揺らした。本学はこの1点を最後まで守り抜き、白熱した一戦を物にした。
 男女共に準決勝から手に汗握る展開で勝利を収めた本学は、優勝に王手をかけた。そして、いよいよ決勝の舞台へと挑む。

 


運命の最終戦 
  男女共にこれまでの集大成を出し切るときが来た。
 迎えた決勝、先に女子の東京国際大戦が行われた。本学は序盤から果敢に相手ゴールに向かっていく。前半2分に先制すると村瀬、滝沢、冨田(文3)を中心に次々と得点を重ねる。4−0とリードして迎えた後半も本学は攻撃の手を緩めない。その結果6−0の大差で勝利。念願の連覇を達成した。村瀬は「全員でつかんだ勝利。みんなの笑顔を見ることができて良かった」と喜びの表情を浮かべた。
 女子の勢いに続きたい男子は日大戦に臨む。前半から両チームとも激しいシュートの打ち合いで、互いのゴールを脅かす。しかし共に堅い守りで失点を防ぎ、0−0のまま延長戦へ。ここでも決着はつかず、フリーシュート戦となった。だがまたしても同点となりサドンデスに。本学は小坂に試合の勝敗を託した。後に「緊張した」と小坂が語ったように本来の力が出せずなかなか決められない。一方、GK上野(理4)は相手のシュートを防ぎ、粘り続けた。しかしついに相手の5本目のシュートがゴールに入った。夢が破れた瞬間だった。息詰まる接戦に敗北し悔しさをかみしめる男子部員たち。だが小坂は「期待に応えることができなかったのは残念。だけど結果に悔いはないし良い試合ができた」とすがすがしく語った。
 アベック優勝という目標には、惜しくも届かなかった。しかし、本学ローラーホッケー部は過去の実績に恥じない素晴らしい結果を残した。(関、菊地)

次代に残した功績
 家族のような存在。試合を終えた小坂と村瀬は全く同じ言葉でチームの温かい雰囲気を表現した。心の底から信じ合える、強く揺るがぬ信頼で結ばれた仲間たち。その中心には、いつも主将の2人がいた。
 「奇跡的な世代」と村瀬が言う通り、2人が過ごした4年間はまさに激動の時代だった。入部当初はチームも彼ら自身も実力がなく苦しんだ。楽しいこともつらいことも、たくさんの出来事を経験しながらチームと共に成長してきた。そして今大会ですべての思いをぶつけ、戦い抜いた両主将。それは長き4年間のフィナーレを飾るにふさわしい堂々たる姿であった。
 今では部員も増え、強豪と呼ばれるまでになった。引退を迎えた4年生が築き上げた財産は、全日本決勝の空気を部全体で共有できたこと。今年は外から見ていた後輩が、次は主役になる番だ。「この舞台に立ってみたいだろ」。小坂の言葉を胸に刻み、後輩たちは自らの手で新たな未来の形を描いてゆく。(加納)

陸上競技部 有終の美へ 中村(嘉)

   中村(嘉)(コ4)が箱根路に舞い戻る。
 今年の1月2日・3日に行われた第84回東京箱根間往復大学駅伝競走(以下箱根駅伝)。関東学連選抜チーム(以下学連選抜)の一員として、さらに立大選手としては40年ぶりの出場を遂げ、私たちに大きな感動を与えてくれたあの時から8ヵ月。さらなる鍛錬を重ね、一回り大きくなった中村(嘉)が、2年連続となる箱根駅伝出場にあと一歩と迫った。
 来春の箱根駅伝は、第85回の記念大会。中村(嘉)が陸上人生の集大成を懸けて、この大会に挑む。

 


自信が生む快速
 今シーズンの中村(嘉)は波に乗っている。9月12日〜14日に行われた第77回日本学生陸上競技選手権大会に一万bで出場。全国から強豪選手が集う中、30分25秒44のタイムで10位に食い込む健闘を見せた。
 さらに、9月27日に行われた日体大長距離記録会にも一万bで出場。この記録会で29分19秒13の自己ベストタイムをたたき出し、自身の持つ立大記録を更新。トラック種目で良い結果を残した上で、予選会に挑むこととなった。
 迎えた予選会。当日は、最高気温20度を超える、暑さを感じる中でのレースとなった。この暑さがレースの明暗を分ける鍵となる。
 午前9時、521人のランナーが一斉にスタートラインを飛び出す。各選手、学校の威信と己のプライドを懸けた20`のサバイバルレースが始まった。
 「前半は抑え気味に走った」と語るように、暑さでの体力消耗を考慮し、自分のピッチでレースを展開。「周りのペースが落ちてきたところで、自分のペースを上げた」と語る中村(嘉)。10`地点で90位前後だった順位を徐々に上げていき、15`地点で74位まで上り詰める。さらにそこから着実に順位を伸ばし、53位(1時間1分31秒)でフィニッシュした。
 53位は本選出場校選手を除くと10位に入る好成績。この結果、本選に出場しない大学の記録上位者「16名で構成される学連選抜に2年連続で選出された。中村(嘉)は「達成感はあるが、本選があるのでまだ終わったという感じはしない」と、すでに目の前の大舞台を見据えていた。


万感込めて 
  中村(嘉)にとって、予選会はあくまで通過点にすぎない。「去年は『挑戦』。今年は学連選抜に選ばれるという前提でどこまで走れるかが課題だった」という。一度箱根を走った彼だからこそ、箱根に懸ける特別な思いがある。
 「応援してくれたみんなは『おめでとう』ではなく『ありがとう』と言ってくれた」と昨年を振り返る中村(嘉)。本選を経験し、自分の走りが周囲にパワーを与えられると実感した。「もう一回箱根を走りたい」という純粋な思い。それが彼の原動力になっている。
 また、「陸上は大学で辞める。だから頑張れるのは今しかない」と意気込みを見せる中村(嘉)。そこで今夏は昨年の自分を超えるための厳しい練習を自身に課した。基礎である走り込みを増やし、昨年900`走ったところを今年は1050`こなした。その成果は自己ベストの更新という形で表れている。「今回の予選会は去年より走りに余裕があった。力がついてきたのを実感した」と本選への自信をのぞかせる。
 「応援に対する恩返しは走りで示す」。中村(嘉)はそう決意を固めた。周囲への感謝とランナーとしてのプライドが彼を練習に駆り立てる。脚光を浴びれば浴びるほど、一層走りに磨きをかける彼なら、必ずや期待に応えてくれるだろう。ラストランの思いを胸に、昨年から一段と成長した中村(嘉)が箱根路を駆けるその日は近い。(伊藤(聖)、太田)

箱根に行こう 
  このままいけば来年の正月にも「R」のユニホームを見ることができそうだ。新春はまったりこたつでテレビ観戦…それも良いが、箱根路を走る母校の勇姿はぜひとも現地で目に焼きつけてほしい。生でしか味わえない興奮と感動が、そこにあるのだから――。
 時は1月3日までさかのぼる。この日、中村(嘉)は学連選抜のメンバーとして復路・9区に登場。本学の選手としては40年ぶりの箱根駅伝出場となった。
 「史上最強」と言われた第84回大会の学連選抜。そのチームの最終的な走者10名に中村(嘉)が残ることは容易ではなかった。しかし、必死の追い込みが評価され大舞台への切符を見事につかむ。悲願がついにかなった瞬間だった。
 学連選抜のたすきを4位で受けた中村(嘉)は戸塚〜鶴見間を力強く駆け抜けた。後半勝負という自分のスタイルを貫き、区間9位のタイムでゴール。この快走は、本学にかかわるすべての人に勇気を与えたに違いない。そんな彼が、もう一度箱根の地へ帰ってくる。この機会に、沿道に赴いて声援を送ってみてはいかがだろうか。(尾形)

 

バレーボール部 笑顔はじける4部昇格 

   彼らの勢いはとどまることを知らない――。春季リーグで全勝優勝し、5部へ乗り込んだ本学。昇格直後にもかかわらず今季もまた7戦全勝、他大を全く寄せ付けず4部昇格を成し遂げた。
 今まで上級生が築き上げてきた土台。そこに若い力が加わり、本学の強さは確かなものとなった。

 


優勝への大一番
 さらなる強さを求め、夏の間も連日練習に明け暮れた本学。幾度となく繰り返された強豪校との練習試合は合計で50セット以上にも及んだ。大量の特訓を経て得たものは、絶対的な実力と自信。「昇格は間違いない」と主将・土屋(済4)も断言する。万全の体勢で秋季リーグに挑むことになった。
 リーグが開幕すると、夏の猛特訓の効果がはっきりと表れる。圧倒的な力の差を見せつけ、順当に勝利を重ねていった。6試合を終え、落としたセット数はわずかに2。全勝で最終戦の対埼玉大を迎えた。
 互いに全勝同士、さらに失ったセット数まで同じというまさに頂上決戦。本学は新妻(済3)と蕪木(かぶらぎ=コ3)の両エースがサイドから強烈なスパイクをたたき込む。一方の埼玉大も素早い攻撃で対抗。双方共に譲らぬ攻防を繰り広げていく。そして24−24で迎えた大事な局面。伊崎(済1)が絶妙なトスを上げ、蕪木が鋭くスパイク。続く埼玉大のアタックも伊崎がブロックし、26−24と僅差(きんさ)ながら第1セットを物にした。
 第2セットでは一転、劣勢からのスタートとなる。一時は6−12と、6点ものリードを許す苦しい展開。しかし、蕪木や伊崎のブロックで徐々に体勢を立て直しついに18−17と逆転、完全に流れを引き寄せる。本学はその後も気迫のこもったプレーを続け、敵陣に次次とアタック。気おされた埼玉大のミスもあり、結果25−23と苦境からの鮮やかな逆転劇を演じた。


最高のチームで 
  ところが続く第3セットで埼玉大が勝ちへの執念を見せる。第2セット同様に序盤は完全に相手ペース。それでも本学はサービスエースや連続ポイントなどで一時は16−15と逆転に成功する。このまま逃げ切りたいところだが、ジュースになってから本当の戦いが始まった。最後の1点を懸け互いに一歩も譲らず、全く決着がつかない。
 しかし30点を超え、ようやく試合は動き出す。埼玉大がフェイントで本学を揺さぶり1点リード。本学も最後まで相手の攻撃に食らい付くが、死闘の末31−33とわずかに及ばなかった。
 惜しくも第3セットを落とした本学だったが、優勝へ向け一層力が入った。序盤の一進一退の展開も、山崎(コ3)のブロックなどで相手の攻撃を封じ込め波に乗る。そして迎えたマッチポイント。セッターの伊崎のトスに山崎が合わせ豪快にクイックで打ち込む。その瞬間、本学の優勝が決定。部員全員の胴上げで、今季で引退となる土屋と谷口(済4)の体が宙に舞った。
 「今までのすべてが吹き飛んだ」と優勝の瞬間を土屋は語る。下級生のときも主将になってからも多くの辛苦を経験してきたのだ。それでも乗り越えられたのは共に支え合ってきた同期と、ついてきてくれた下級生の存在があったから。
 「皆バレーを楽しんで、どんどんうまくなっていって、一瞬一瞬がまぶしかった」とうれしそうにこれまでを振り返った土屋。そう語る表情は、今季最高の笑顔だった。 (尾形、一力)

 


 









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