LB特集B 〜山内薫平(観4)八文字悠(文4)〜
ラッシャーズの最上級生編 今回のLB特集も最終回を迎えた。ここまでの二人の会話のなかで浮かび上がってきたことが、この第3章で徐々に明らかになっていく。
普段人当たりよく朗らかな二人が、インタビューに答える表情にはラッシャーズの4年としての責任と自覚を漂わせていたのを今でも思い出す。なぜここまでアメリカンフットボールに二人は魅せられているのか。なぜラッシャーズというチームをこれほどまでに愛しているのか。
特集最後は山内から切り出されたアメフトのコミュニケーションの話から始まる。
山:アメフトってコミュニケーション大事だよね。アメフトってコミュニケーションないと成り立たないスポーツだから。試合中と かハドル(円陣)あるじゃん。あの中で色んな話してるんだよ。「今の(プレーで直接的に止めなきゃいけないのは)お前 んとこだけど、いけてないの」とかいう話もするから、試合中にそのくらい話できる競技ってないじゃん。だからコミュニケ ーションはすごい大事にしてる。 ――時には感情を出して 山:感情入るときもあれば、やっぱ冷静でいかなければいけない時もある。それは状況で、だよね? 八:そうだね。(山内が話している間)考えてたんだ、ずっと。特にコミュニケーションは大事だなと。何事も感謝だと思うな。 人間的にも成長できるよね、すごいと思う。俺、他のスポーツやってたらそんなに感謝とかそんな思わなかったかな。ス ポーツ以前の話で、(アメフトって)人間形成とかあると思うんだよね、すごく。アメフト以外にも教えてもらうことある。色 んなこと学べたし、逆にそれを俺たちが後輩たちに教えていかないといけないし。 ――ラッシャーズって大人と接する機会が多いですよね 山:多いねー。めちゃくちゃ多い。 八:これだけ恵まれてるのないよ。多分、確かに。 山:大人たちもラッシャーズっていうかチームをすごい愛してる人たちがすごい多いから、その監督、コーチだけじゃなく、O B会とか卒業生とかあんなに試合見てくれてるとこないと思うんだよね。 八:歴史あるしね。 山:嬉しいよね。来てくれたりすると「あの人だ」ってなるし、自分が活躍するところを見せなきゃって思う。それだけお世話 になってきてるから。
八:あいさつかなあ。人とのコミュニケーションかな あ。いろいろ昔から、それまではそんなに目上の 人とも下の人とも話したこともなかったし、ミーテ ィングなんかほとんどなかったし、まじめな話も聞 かなかったし話をしなかったんだけど、やっぱり 大学入ってからアメフトに不可欠で、その部分で コミュニケーションとかも考えさせられて、なんだ ろ、そのコミュニケーションの中で一番大切にし ているとしたらやっぱなんだろな、自分の意見を 一方的に押し付けるんじゃなくて。そうしてしまう のは一方通行的な感じじゃん? やっぱり相手 の意見を聞いた上で自分の意見を言う。単純な ことだけど、そうしないと下もついてこない。やっ ぱり下の意見もちゃんと聞いて、取り入れてあげ て、その上で自分の意見も言わないとコミュニケーションはとれないと思うし、両方がキャッチボールしていかないと。や っぱ上もそうだし、なんか疑問があったらすぐ言うし、そういうのはあるのかなあ。単純なことかもしれないけどね。簡単 なことのようでいてできていないことなのかもね。それができるようになったかな、ちょっと。 山:俺は特殊な環境で、小学校のフラッグフットボールの選抜チームになった時からラッシャーズと関わってて、伊藤Dって いたじゃん。伊藤さん(昨年度までラッシャーズでチームディレクターを務めていた方)、小5からずっと良くしてもらって いて、中学も重松(済4)とかと一緒にフラッグ(フラッグフットボール:アメフトの簡易型スポーツ)のチームで全国優勝 したり、高校にアメフト部がなかったから善波さん(2011年卒)と一緒で、練習生として大学生とやったり、目上の人た ちとすごい関わりがあって、練習生の時って一番下ですごい可愛がってもらったの。いざ最高学年になった時、自分が 可愛がってもらった時のように、後輩との接し方は昔のいい先輩たちと似たものになっているのかな。っていうのは自分 が長く後輩として接せられてきた分、その良い部分ってのを色んな人から吸収できたのかなって思うかな。
八:盛り上げる力、ムードメイク力。俺は性格が性格だしさ。練習中しょぼんってなってたらダメだし、ひとりが盛り上げたら 違うと思う。チームで自分の声に関して負けない自信がある。あとは統率力も負けない自信があるかな。LBってDFの 中間にいるし、フィールドの中で引っ張っていかないといけないし、なおかつ、今年DFリーダーもさせてもらっているし。 広い視野もってないと色んな事見れないし、やっぱり下級生に目を配って、どう思っているかも酌んであげなきゃいけな いし、やっぱりここもコミュニケーションが必要なんだよね。2年生、1年生から4年生に言うってすごい恐れ多くて言えな いんだけど、4年生からいけば言いやすいと思うし、それが何回か続けば…俺はそうだったから。後輩と絆深めるため に飯とか一緒に行ったり。統率力って感じになるのかな、気になったら後輩呼んで話したりしてるし、そういうのは負け ない自信あるかな。 山内のコメントの中でも触れたが、昨年度までラッシャーズでチームディレクターを務めておられた伊藤雅敏氏には私も大変お世話になった。毎週のようにラッシャーズにまつわるお話を聞き、さまざまな方たちを紹介していただいた。
日本のアメフトの父・ポール=ラッシュがどんな想いで、どれだけの強い意志で理想を持ってアメリカンフットボールを日本に持ち込み、さまざまな人たちの協力を得て夢を実現させたか。なぜラッシャーズが今でもさまざまな人から愛され続けるチームであるのかを伊藤氏は私たちに、時間をかけ丁寧に、そして熱い思いを持って語ってくれた。
そのポールの意思を現在でも受け継ぎ続けるのが、ラッシャーズというチームであり伝統であると思う。伝統は歴史のなかで育まれ、この山内や八文字の思いもまたその年輪に重ねられて育っている。伝統のなかで育てられ、今度は彼らがこの伝統を育てていく役目を負って日々の試合に学生生活を懸けている。青臭いかもしれないが、だからこそ私の目には戦いに臨むラッシャーズのフィールドに立つ姿が凛と輝いていて、美しく見えて仕方ない。
私はこのチームを取材できたことを、このチームに関わるすべての人と出会えたことに、私のできる精一杯の気持ちで感謝したい。
私からは最後に、2009年度立教大学ラッシャーズ主将の言葉をここに引用したいと思う。
この言葉に深く感謝の意味を与えてくださった伊藤雅敏氏と我々をチームの中に快く受け入れてくださったラッシャーズの皆様にこれまでの感謝の意を表してこのクローズアップの締めくくりとしたい。
『First Classになるのは非常に困難です。しかし挑戦者としての心とルーツ校としての自覚と誇り、そしてあらゆるものへの感謝の気持ちを忘れなければ不可能ではありません。フットボールだけでなくひとりの人間としても一流になるために、日々の練習で自らを鍛えていきます。
――新 諒平 立教大学RUSHERS 2009年度主将』 ――最後にアメフトを見てもらいたい人に何かメッセージを 八:俺が感銘受けた言葉ね。大学生活色んな過ごし方あるし、色んな人がいると思う。でも、皆によく大変だね、すごいね、 って言われるけど、別にそれって、そう言われるためにやっているわけではないし、アメフトが好きだからやってるわけじ ゃん。大前提として皆やっぱそうだよね。その中で俺は一日だけすごい楽しみたかったら友達と一晩中酒を飲む。一週 間楽しもうと思ったら一週間旅行いく。一年間楽しみたかったらサークルとかあると思う。でもやっぱ4年間、たった4年 間楽しむとしたら俺はもうアメフトしかないと思うんだよね、すごく。皆色んな大学生活あると思うけど、ほとんど遊ばずに 365日全部をこのアメフトに費やしてるこの学生、この学生たちの違った生き様を見に来てほしい。365日アメフトしか 考えていないやつらの学生生活のかけ方っていうのを見に来てほしい。 応援とか、試合の雰囲気とか他の学生スポーツにはない特 殊な状態っていうか、環境だと思うんだ。一回見に来てくれ れば結構はまる人多いと思うんだ。アメフトって一回見に来 ると、見に来てもらえれば雰囲気とかわかるし、ルールわか んなくってもすごいプレーはすごいから本当に。「うおお」 ってなるから。そうだね、部員がアドレナリンもんもんになって ガチガチやってるところを見に来てほしいかな。男らしさって いうかな、見せれれば、それはすごい楽しいと思うかな。 八:オフになってもアメフトの話とかしちゃうもんな。 山:家でYoutubeでアメフトの動画観ちゃうし、昔の試合のビデ オ観てしまうし。 八:一年中、365日ずっと考えてるんだよな。 山:オフなのに身体のコンディションとか考えて接骨院とか行っ ちゃうし。 ――アメフト人ですね 八:そうとしか言えないよね。 (11月12日・牛膓政孝)
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