We are going to be a star.かWe are going to be stars.か?
Weがふたりの場合を考えて見ます。 常識的には、主語の数と補語の数を合せますから、starsと複数にするのが正しい。
でも、そうでない場合もあります。
次のせりふはMagicという映画の一場面です。

We're gonna be a star.
(Magic:1978:00:15:49)

この映画を見たことがない人は、どのような場面での台詞かお分かりでしょうか。
ふたりでひとりのスターになる状況ですから、いろいろ考えられます。歌手とそのマネジャーでもよいでしょう。マネジャーは表には出ませんが、歌手を支えます。歌手もマネジャーを信頼しています。そのようなお互いが信頼しあい、マネジャーも表に出なくて満足している関係であれば一心同体です。そういう状況ではWe are a star.と言えるでしょう。
 この映画では、腹話術師と人形の関係です。人形がこの台詞を言います。

We are a team.
と文型は同じですが、starは、
We (two) are stars.
と言えますが、
We (two) are teams.
というのは、ふたりがそれぞれ別々のチームを一人で構成しているというという特殊な状況を除いて、言うことはできません。名詞の特性が異なるところがあるからです。
逆に、

We (two) are a star.

というのも、一心同体関係である二人の存在がなければ成り立ちません。腹話術師とその人形の関係がまさにそういう存在です。
二人でひとりの存在です。
漫才コンビも二人でひとりだと考えていればそのように言うことが可能です。もちろん、二人のそれぞれがスターになるという意味でしたら、starsと言ってもよいことになります。
 腹話術師は相手が人形であり、その意志を司るのは人間ですから、人間の考え方によって使い方は決まるでしょう。この映画の台詞の場合は、ふたりで一つのスターになるのだ、という意味で人間の側が人形にそう言わせています。人形には意志がありませんから、口をぱくぱくさせているだけです。
もちろん、人間の側が人形を人間扱いしていれば、starsと言わせたでしょう。
さて、この映画では人間と人形の関係はどのようになっていくのでしょうか。


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