アメリカ社会学会 ASA大会について
 
村瀬 洋一
 
 
2014年の出張記録

 アメリカ社会学会には、2001年以降毎年参加している。2014年は、8月16〜19日までサンフランシスコのヒルトンホテルを会場として行われた。8月15日は会長講演が行われた。約550の部会があり、私は震災後の社会調査結果について発表した。2014のプログラムは以下内容である。なお、2015年大会はシカゴで行われる。

  ASA 2014

 私はシカゴでの発表後、ウィスコンシン州マディソンへ行き、9月初めから1年間の海外研究のため社会学部に滞在予定である。2011年9月からの海外研究後、14年ぶりの滞在となる。ウィスコンシン大学マディソン校は、社会学部が充実しており評価が高く有名である。計量社会学や社会階層研究が盛んである。以下の大学院ランキングブックで社会学1位となっている。

  Sociology Rankings, Best Graduate Schools



2013年の出張報告書記録

 2013年は、8月10〜13日まで、ニューヨークのヒルトン・ミッドタウンホテルを会場として行われた。8月9日は会長講演が行われた。約550の部会があり、私は8月10 日のDisaster部会にて、震災後の社会調査結果について発表した。部会は以下の内容である。


Regular Session. Disaster
  Session Organizer: Miruna G. Petrescu-Prahova,University of Washington
  Presider: Christine A. Bevc, University of North Carolina-Chapel Hill

Housing Displacement and Mental and Physical Healthafter Hurricane Katrina. 
Elizabeth Fussell,Washington State University; Sarah Ryan Lowe,Columbia University

Resilient Inequalities: Ethnoracial Diversity and Recoveryin Post-Katrina New Orleans. 
Kevin Fox Gotham,Tulane University; Richard Campanella, TulaneUniversity

Warning Tweets: Serial Transmission of Warning Messages during a Disaster Event. 
Jeannette Sutton,University of Colorado-Colorado Springs; Emma S.Spiro, University of 
California-Irvine; Britta Johnson,University of Colorado-Colorado Springs; SeanFitzhugh, 
University of California-Irvine; CharlesGibson, University of California-Irvine; 
Carter T. Butts,University of California-Irvine

Lost in the Great East Japan Earthquake and Anxietyabout the Future. Yoichi Murase, Rikkyo University

When Bad Things Happen To Good People: OnlineCommunication Dynamics During Natural Hazard
Events. Emma S. Spiro, University of California-Irvine; Carter T. Butts, 
University of California-Irvine017. Regular Session. Economic Sociolog

 その他、分析手法や、社会階層に関する部会にいくつか参加し、勉強になった。学会の後、ウィスコンシン大学マディソン校を訪問し、図書館で情報収集する他、社会学部の教授などにお会いして意見交換をした。世界金融危機後のアメリカ経済は、不景気といっても、最近は消費の統計をみると活発な部分があり、やはり底力があると感じた。地域によっては回復傾向にあるようだが、マディソンの街は、人口が増えるにつれ、貧困層が流入し、治安の問題を感じたり、公立小学校がややすさんでくるなど、住民達の間で話題になっているとのことで、大変興味深く感じた。


2012年の出張報告書記録

 8月16〜20日のアメリカ社会学会(ASA)大会に参加し、最近の不平等研究や分析の方法論、政治社会学などに関して、情報収集を行った。階層や不平等に関するいくつかの部会に出た他、会長講演はウィスコンシン大学のE.O.ライトによる不平等に関するものを聴いたが、とても参考になった。計量社会学、データ分析、調査方法論、政治社会学など、多くの部会に出席した。2014年の横浜での国際社会学会の宣伝も少し行われた。

 21日からは、2001年に訪問研究員として滞在していたウィスコンシン大学マディソン校へ行き、社会学部の教授などにお会いして最近の米国における社会学研究の動向や、世界的な不景気、日本の震災の影響に関して意見交換をした他、図書館へ行き資料収集をした。また、ウィスコンシン大学ホワイトウォーター校の社会学部長のNeuman教授にもお会いして、同様に意見交換した。


2011年の出張報告書記録

 2011年8月20〜23日のアメリカ社会学会(ASA)大会に参加し、最近の不平等研究や方法論、社会階層研究、政治社会学などに関して、情報収集を行った。出張報告書を書いたので、少し加筆してここに載せることにした。ASA大会は、は規模も大きく、充実していておすすめである。

 今年はラスベガスの、シーザーズパレスホテルにある大規模なコンベンション・センターで行われた。ASAの大会には、2001年以降、毎年参加しており、これで10年連続の参加である。何回か発表もしたのだが、今回は、調査実施や他の仕事のため多忙で発表せず参加のみである。最近の米国社会はかなりの不景気であり、多くの発表で、グローバリズム批判や、資本主義再考などの内容があり、非常に参考になった。大会前日の19日のシンポジウムと歓迎レセプションにも出席した。最近の米国において、残念ながら日本に興味を持つ社会学者は少なく、日本語を話せる人も、実績ある社会学者の中では、数名しかいない。しかし、それらの何人かに直接お会いしてお話しでき、非常に良かった。

 4日間で550以上の部会があり、巨大なコンベンション・センターで実施される。web上にプログラムがあるので、自分が興味あるキーワードで部会を検索し、時間を確認して、どれを見るか確認した方がいいだろう。以下の写真にあるように、本屋の展示や、各種のレセプション(立食パーティー)があるので、そこで知り合いを探したり、人脈を広げるとよい。大会前日には歓迎レセプション、初日夜には、International Scholarのためのレセプションがあり、来年はそこで、日本に興味がある人を集めて夕食へ行く予定。ただ巨大なので、なかなか知人にも会えないから、事前に誰かと約束しておいた方が良い。なお2012年はデンバーで開催予定。昨年の会長は日系人のエベリーン・ナカノ・グレン。今年はランドール・コリンズである。充実した学会なのだが、冷房が効きすぎで冷え切ってしまうのと食事が問題。長袖や上着が必要。お茶ティーバッグやインスタント味噌汁を持参するとよい。ラスベガスは砂漠で、あまりにも暑くて乾燥していた。

 24日からウィスコンシン大学マディソン校へ行き、以前お世話になった教授などにお会いして、最近の米国における社会学研究の動向などについて意見交換をした他、図書館へ行き資料収集をした。また、ウィスコンシン大学ホワイトウォーター校の社会学部長のNeuman教授にもお会いして、同様に意見交換した。10年ぶりにWhitewaterへ行き、学内を案内していただいた。Madisonから車で1時間弱である。一見、不景気には見えず、新しい立派な建物も増えていたが、最近は不況で予算も厳しいようだ。Madisonは公務員と大学の街であり、不況の影響は受けにくいが、それでも何かと厳しい。全米で不動産価格が暴落し、失業率が高く大不況である。米国のバブル崩壊は深刻で、不況はこれからが本番という感じであった。今回はラスベガスで6泊、マディソンで5泊しかしなかったが、実際のアメリカ社会を見て、いろいろな話しをすることは重要な体験であった。もっと長くいるべきであったが、他の仕事もあるので贅沢は言えない。渡米前に研究会と調査準備とゼミ合宿、帰国後はいくつかの学会と新学期で、時間に余裕がなかった。


アメリカ社会学会とその後行ったマディソンの写真

ASA American Sociological Association

村瀬研究室ページ