2024年01月14日 Version 26.0
村瀬 洋一
なおAMOSでは、観測変数は連続変数(とダミー変数)のみを用いることができる。連続変数(連続量)として考えられないような変数、例えば職業カテゴリーなどは、基本的には使用できない。ただしAMOS7以降は、カテゴリカルデータにも一部、対応している。AMOSマニュアルの「順序- カテゴリカル データ」を読むとよい。カテゴリ化された回答に数値を代入する方法を使うことができる。ベイズ推定を使うので難しい。
実在する変数を「観測変数」(モデルでは四角でかく)、観測変数を用いて人工的に作る変数(楕円)を「潜在変数」と呼ぶ。潜在変数のことを因子ともよぶ。観測変数は、データファイルの中に、実際に存在する変数である。
サンプルモデル1 reg1s.amw 基本的な重回帰分析の例
サンプルモデル2 reg2s.amw 被説明変数を因子にした重回帰分析の例
サンプルモデル3 reg3s.amw 被説明変数を2つにした重回帰分析(パス解析)の例
サンプルモデル4 reg4s.amw 被説明変数をさらに増やしたパス解析の例
サンプルモデル5 factor1s.amw 基本的な因子分析の例
サンプルモデル6 reg5s.amw 基本的なPath解析の例
amosrei.zip 1〜6をまとめたzipファイル
13amos.pdf 操作法要約PDF
2) se97miss.sav 欠損値を削除したSPSS形式データファイルの例(仙台97年調査)元のデータよりかなり人数を減らしてある。
3) s7hyo03.rtf 仙台調査票 サンプルでは問6をもとに変数の方向は逆転した新変数や、年齢、学歴などの質問項目を使っている。
4) factrei.sps 通常型の探索的因子分析のSPSSシンタックス例
6) 15fukuv9rei.SPS SPSSシンタックス。福島2015年調査データでの例。
7) 15fuku9rei.sav SPSS形式データファイル。福島2015年調査データでの例。震災以前から福島市に住んでいた人に絞り、元のデータより人数を減らしてある。
8) 15FKhyomihon.docx 福島調査票。
まずSPSSシンタックスのselect文により、欠損値の人数を削除。必要ならば方向を揃えた新変数を作る。
新変数が問題なくできているか、度数分布を見て確認する。
その後、SPSSのデータ画面で、データファイルsavを、名前をつけて保存する。人数が減っているので注意。
→新しいデータをAMOSで使い分析。
/***** 欠損値を除く処理 *****/ SELECT IF Q6A <9. SELECT IF Q6B <9. SELECT IF Q6C <9. SELECT IF Q29A <9. SELECT IF Q29B <9. /***** 方向を逆転した新変数作成 *****/ COMPUTE TYONAI =5-Q6A. COMPUTE YAKUNIN=5-Q6B. COMPUTE GIIN =5-Q6C. COMPUTE axlife =5-Q29A. COMPUTE axincom=5-Q29B. FRE VAR= TYONAI YAKUNIN GIIN axlife axincom . ★参考 ダミー変数(二値変数)の作り方 構造方程式モデルでは、矢印が刺さっていない変数(以下の図1や図2で左端にある変数)ならば、 ダミー変数(0,1型の変数)を使ってもよい。 以下のように、何らかの新変数(名前は何でもよい。この場合はSELFEMPL)を作り、まず、全員を0にする。 その上で、IF文のかっこ内に条件を書き、条件に当てはまる人のみを1にすればよい。 以下を参考に、かっこ内には適切に条件を書く。これは2022年仙台市調査の例。問41が1,6,7の人のみ、 新変数の値を1にしてる。 COMPUTE SELFEMPL=0. IF (Q41=1 ) SELFEMPL=1. IF (Q41=6 OR Q41=7) SELFEMPL=1. 最初の行で、新変数SELFEMPLの中身を、全員ゼロにしている。 この3行を実行すると、新変数SELFEMPLは、自営業なら1、そうでないものは0となる。 ★例 従業上の地位(Occupational Status)が正規、非正規、自営、無職の4カテゴリーの場合 → 正規以外の3つのダミー変数を入れる。つまり、正規が基準カテゴリーとなる。 AMOSでは、→が刺さっている変数を二値変数にはできない。以下の図1や図2などで、左端にある最初の基本属性に、 自営業ダミー変数などがあるのは、問題はない。
★2007, 2010年調査データについて(学内のみ)
★2023練習用データのページ(学内のみ)
1)SPSSを起動してシンタックス・ウィンドウを開き、select 文により欠損値を削除して「人数を減らした SPSS形式データファイル」を作る。AMOSだけでは、欠損値があるケースの削除(リストワイズでの削除)が できないため。 例えば、Q5の回答が1,2,3,4 で欠損値が9の場合 select if Q5 < 5. と書いて実行すれば、回答が1-4の人のみがデータに残り、他の人は削除される。 実行しただけでは何も変わらないように見えるが、度数分布表を出すなど、SPSS上で何らかの分析をすると 削除されたデータが表示される。 SPSSシンタックス全般の解説は以下の説明か、「応用調査実習ホームページ」などを参照。 上記のシンタックス例を参考に、分析で用いるすべての変数について、このような処理を行い欠損値がない データを作り、 「SPSS形式データファイル(拡張子sav)」を、名前をつけて保存する。欠損値を含む人を減らしたデータ ファイルを保存。欠損値があると、AMOSは適合度係数の一部を作成できない。 欠損値を含んだデータを扱う時は以下の3)を参照。 2)AMOSを起動し、分析したいモデル(図)を描く。 上記のサンプルモデルのファイル(amw)をもとに書き換えると簡単。 あるいは、パソコンのProgram FilesフォルダのAMOSフォルダの中にあるExamplesを元に書き換える。画面上 「ファイル」をクリックしてモデルを開く。 ・実在する変数は四角、因子や誤差項は楕円や丸にする。 四角や楕円のボタンを押して描く。四角の中にSPSSデータの中に実在する変数名を正確に書く。テキスト出力の「推定値」を見ると、各係数について、推定値、標準誤差、検定統計量、確率ラベルが出ている。確率の部分が、各係数の有意水準。四角を右クリックして「オブジェクトのプロパティ」を選び、「変数名 ボックス」に自分が使いたい変数名を正確に書く。
変数ラベルや、楕円の変数名は好きなも のを適当に書けばよい。なお、データ内の変数一覧ボタンを押して変数を表示し、Q2などの変数名をつかんで 四角内に引っ張り、変数名を書き込むこともできる。 ・因果関係が左から右に流れ、右端の変数が最終的な被説明変数(目的変数)となるように図を描くのがこつ。 上から下などでも動くのだが、因果の流れが分かりやすいようにモデルを描くとよい。 ・この時、関連を表す矢印(path)が刺さっている変数には、必ず誤差項が付くようにする(両方向矢印は 相関なので気にしなくてよい)。「四角に誤差項をつけるボタン」を押して四角をクリックすると描いてくれる。 誤差項から出ている矢印には、必ずパラメーター1をつける。ボタンを押して誤差項をつければ、自動的に やってくれる。 詳しくは、以下に書いてある注意点や参考文献を参照。 ・因子から実在する変数への矢印も、必ず一つは、パラメーター1をつける。これは、どれか1つの実在 変数を元に因子を作るためである。「因子につく四角を増やす」ボタンで増やしていけば、自動的につけてくれる。 あるいは、矢印を右クリックして「オブジェクトのプロパティ」を選び、係数ボックスに1を入れればよい。 ・図のタイトルに、AGFIやRMSEAなど各種の適合度係数を書く。サンプルモデルのように書くと、分析後に、 自動的に係数が出る。 ・トラックのボタンを押してから変数をつかむと、変数を動かすことができる。タッチアップボタンは矢印の 位置を整える。その他、各種ボタンを適当に使うとよい。 ・なお画面上の「プラグイン」をクリックしてname unobserved variablesを選ぶと、誤差項にe1, e2 のよう に、自動的に名前を付けてくれる。 3)画面上の「表示」か「分析」をクリックして、「分析プロパティ」を選び、分析時の 条件を指定する。 普通は推定タブをクリックして最尤法を選び、「平均値と切片」は指定しない、「出力」タブでは、標準 化係数と「重相関係数の平方(R二乗のこと)」を選べばよい。 あとは、とくに選ばなくてよい。出力したいものを増やすと、他にもいろいろな数字が出る。 「分析プロパティ」で「平均値と切片」を指定すると、欠損値を含むデータでも分析結果(AMOS独自の方法で 推測して欠損値がないデータを作っている)を出すが、AGFIなどの 適合度係数に出ないものがある。社会調査データの場合は、あまり良い推測になっていないので、 欠損値を含むデータを使うのはやめた方が良い。 SPSS上にて、missing values コマンドなどで欠損値処理をしても、AMOSでデータファイルを読み込んだ時に 効果はない。 欠損値の人はselect文で削除して人数を減らしたデータファイルを保存すること。 4)画面上の「ファイル」をクリックして「データファイル」を選び、分析に 使うSPSS形式データ(拡張子savのファイル)を指定する。 ファイル名ボタンで選べばよい。 男女別の分析などをしたい時は、グループ化変数やグループ値ボタンを使うとよい。 5)推定値を計算ボタン(鍵盤のようなボタン)を押すと分析が実行される(あるいはctrl+F9)。 以下の図を参照。変数名が間違っていると動かないので、直すこと。エラーが出たら、以下 の3.を読み、問題点は直す。 6)図の左にある赤い↑キーを押し、結果を図に表示する。その下にある 「標準化推定値」と書いてあるところをクリックすると標準化された係数が表示される。 図では、結果の数字を移動したり、R二乗を太字にしたりして、結果を見やすくする。 サンプルモデルのようにするとよい。なお、以下の図は因子を使わないパス解析の見本。 7)「表示」をクリックしてテキスト出力を読み、有意でない矢印は何か確認する。
確率とは、関連(矢印の大きさ)が有意でない確率(つまり誤差である可能性、危険率、有意水準)のことである。
有意でないパスは削除してからモデルを保存し、再度分析する。それを繰り返すと最終的に、有意なパスのみがあるモデルとなる。詳しくはAMOSのマニュアルを読むこと。
8)有意でないパスは除いた最終的なモデルが、全体の適合度係数もよいはずである。その分析結果を採用する。
分析結果をワードなどの画面にコピーする。ワード画面に貼り付けた後、図を右クリックすると、画像サイズなどを調整できる。「トリミング」にして、余計な余白は削除するとよい。
社会調査データでパス解析をやる場合は、初めは、代表的な観測変数を用いて、因子(潜在変数)を使わないモデルでやった方が分かりやすいだろう。その後、少しだけ因子を使ったモデルをかいて分析してみるとよい。無理に因子を使う必要はない。上記の図は、一部のみを因子にしたもの。分かりやすい因子を、少しだけ入れたモデルから、初めてみると分かりやすいだろう。不自然な因子がある場合は、エラーが出て分析結果が出ないことがある。上記の図では、4つの観測変数で「中学校の成績」という1因子を作っている。4つが似ていれば、問題なく因子を作ることができるが、元々あまり似ていない場合は、1つの因子を作ることができないため、エラーとなり分析結果が出ないことがある。似ているかどうか、事前に相関係数を見るなどして確認しておくとよい。
この図では誤差項が7つある。誤差項からのパスは係数1をつける。矢印が刺さっている変数には誤差項がつくことを理解すること。
また、出力タブで、標準化推定値や、重相関係数の平方にチェックを入れると、標準化した回帰係数や、決定係数R二乗が出る。
範囲は0〜1。1に近いほど説明力のあるモデルといえる。しかし、多くの場合に0.90以上となってしまいで、あまり目安にならない。
AGFI(Adjusted Goodness of Fit Index;修正適合度指標)
範囲は0〜1となる。自由度調整をした指標。
RMR(Root Mean square Residual; 残差平方平均平方根)
値が0に近いほど、モデルが当てはまっているとする。モデルによって推定された分散と、実際のデータの分散の間の距離を表している。
AIC (Akaike's Information Criterion 赤池情報量基準)
モデルと現実の距離をあらわす。複数のモデルを比較する際には、値が小さい方がよい。
RMSEA(Root Mean Square Error of Approximation)
モデルに無駄に複雑な部分がないかについての値。小さい方がよい。
一般的には0.05以下であればかなりよいモデルであり、0.10以上であれば当てはまりが悪いとする。
自分のモデル内に、観測変数(四角)が5個あるなら、SELECT文を5行書くことになる。SPSSのシンタックスウィンドウに書いて実行すればよい。Q8Aなどの変数名は実在の名前を正確に書くこと。
SPSS上でシンタックスを書き、実行する。その後、単純集計表などを出すと、欠損値の人が削除され人数が減ったデータとなる。その後、名前をつけてSPSS形式データを保存し、AMOS上で、保存したデータファイルを読み込んで分析する。
なおこの図は、基本的な因子分析の例である。矢印の方向は、必ず、因子(楕円)から観測変数(四角)の向きとなることに注意。また、因子からの矢印のうち1つに、パラメーター1をつける。
ダミー変数作成のSPSSシンタックスの例 SPSSのシンタックスウィンドウにて、以下を実行する 以下は、dsenという新たなダミー変数を作る例である。dsenの値は、0,1である。 もともと存在する変数Q5をもとに、Q5が1と4の場合のみ、dsenの中身を1にする。 それ以外はdsenは0となるという例。1行目で、新変数dsenを作成している。 compute dsen=0. if (Q5 =1 ) dsen=1. if (Q5 =4 ) dsen=1.
また、自分が作ったモデルが動かない時は、上記3.2をよく読み、エラーが出る原因を理解することが重要。
ソフトの欠点は以下です。最低限、これらは早急に改善してほしいところです。
・図の矢印上に、数字をのせることができるようにする。係数が自由に動かない。
・SPSSデータを読み込んだ場合、欠損値処理を、平均値で置き換え以外にもできるようにする。
・2値変数(1−0型の変数)を扱えるようにする。現状ではリズレルやEQSを買うしかない(矢印がささっていない変数として2値変数を使うのは問題ない)。現実には、データ人数が約1000人以上いれば、2値変数を使っても、あまり問題ないようである。厳密には、モデルのあてはまりが悪くなる。また、以下を参考にすれば、AMOSでもある程度は2値変数を扱えるかもしれない
・有意水準を図上で表示可能にする。
Amosユーザーズガイド 英語版PDFファイル
あるいは以下を参考にする。
AMOSによる2値データの分析について
Amosユーザーズガイド 日本語版PDFファイル
AMOSでのカテゴリカル変数の扱いについては、AMOSのHELPで
Help->Contents in AMOS, Index tabを選択し, "Parameter identification with dichotomous variables" で検索する。
順序カテゴリカルrescaling は、AMOSにおいてベイジアン推定(Bayesian Estimation)によってのみ可能。最尤推定法のための分布の前提が当てはまらないデータの場合は、Bootstrappingを用いる。
Amosユーザーズガイド 日本語版PDFファイル 例33 順序カテゴリカルデータ
SEM with Amos PDFファイル
SEM with Amos2 PDFファイル
狩野裕・三浦麻子.2002.『グラフィカル多変量解析―AMOS、EQS、CALISによる目で見る共分散構造分析』現代数学社.
村瀬洋一・高田洋・廣瀬毅士. 2007. 『SPSSによる多変量解析』オーム社.
豊田秀樹. 2007. 『共分散構造分析 Amos編―構造方程式モデリング』東京図書.
与謝野有紀他編.2006.『社会の見方、測り方 −計量社会学への招待』勁草書房.
SmallWaters Corporation. 1997. Amos Users' Guide Version 3.6. SPSS.
Byrne, Barbara. 2009. Structural Equation Modeling With AMOS: Basic Concepts, Applications, and Programming (Multivariate Applications) 2 edition. Psychology Press.
SPSS形式データを読み込んでリズレルを使う方法
LISRELを使うには、素データの読み込みや、共分散行列の読み込みなど、データ読み込み法が何種類かあるが、SPSS形式データを読み込むのが、もっとも簡単であろう。その場合、リズレルのプログラム文(SIMPLISやLISREL)を書く前に、SPSS形式データを読み込み、プレリス形式データ(Prelis system file)を、まず作ることになる。以下の手順で操作する。
1)プレリス形式データの作成 画面上Fileをクリック → New Prelis Dataを選び OKボタンを押す 画面上Fileをクリック Import External Data Fileの種類ボックス→ SPSS for Windows 何もチェックせずにDoneボタン 名前をつけて保存する .psfとつくファイル名で保存 これで、プレリス形式データが保存される。 2)Simplisプログラム作成準備 画面上Fileをクリック → New Simplis Project projectとは命令文やデータやパス図などを1つにしたファイルである。 名前をつけて保存する .spjとつくファイル名で保存 これで、プログラム(これから書く)が保存される。 なお、.outが出力ファイル、 .pth がパス図のファイルである。 spjファイルの中に、これらがすべて入っている3)画面上Setupをクリック → Variablesを選ぶ Add/Read Variablesボタン Read from fileのボックスをクリックし、 ファイルの種類はPrelis system fileを選択 Browsボタンを押し、 .psfとつくファイルを読み込む データウィンドウが表示された状態で、画面上Dataをクリックし、Define Variablesを選択すると、欠損値指定等ができる 4)画面上Setupをクリック → Build SYMPLIS Syntaxを選択 以下のような命令文が自動的に生成される SYMPLISというのが分かりやすい形式のプログラム文である。 LISREL形式の文だと、Path DiagramをPD と書くなど省略されておりやや分かりにくい。 ★SYMPLIS文の例 SYSTEM FILE from file 'C:\data\test1k.DSF' Relationships Q5V2=Q1 Q5V2=Q4V1 Q1=Q4V1 Wide Print Print Residuals Path Diagram End of Problem 5)分析モデルを数式の形式で書く プログラム内の、Relationshipsの後に変数名と数式を書く。 以下の例のように書けばよい。イコールの左側が被説明変数Y Q3などはSPSSファイル内の変数名を書く 以下の例では、Q3をYとして、 Q1 Q4がXとしている。さらにQ1もYとなる、 2段階の重回帰モデル(パス解析モデル)となっている。 Q3=Q1 Q3=Q4 Q1=Q4 Path Diagram の上に Wide Print Print Residuals などの命令文を書いても良い。残差などが出力される。 6)モデルにもとづき計算実行 人が歩いているボタン(Lがついている)を押すと計算が始まる。上記の図を参照。 7)計算結果が出る パス図が表示された状態で、画面上の方のEstimates ボタンを押し、 Standaridized Solution 等を選ぶと、標準化解などが表示される。 Expected Change を選ぶと、入れるべきパスなども表示される 計算結果のファイルを適当な名前を付けて保存する
参考文献
白倉幸男.1991.「LISREL: リズレルモデル」.三宅一郎他編.『新版SPSS
X 3 解析編2』223-310.東洋経済新報社.
Joreskog&Sorbom. 1989. 『 LISREL7 :A Guide to Program and Applications.
2nd edition 』 SPSS
SPSS. 1990. 『SPSS LISREL7and PRELIS:user's guide and reference』SPSS.
謝辞
このマニュアルを作るに当たり、東北大学文学部行動科学研究室の神林氏より、プログラムの意味について細かい点まで教えていただいた。記して深く感謝します。ただし、文章はすべて村瀬が書いたものであり、このマニュアルやプログラム例についての文責は、すべて村瀬にあります。
SPSSリズレルのプログラムの例 SPSSのデータ定義文の後に、以下のようなプログラムを書いて実行すれば、 図3で示したようなモデルの分析ができるはずです。 ミスを見つけた方は、村瀬のメールアドレスまでどんどんご連絡下さい。 /*** 以下が、リズレルのプログラム ***/ /*** 変数FSCOREからCITYAまでが調査データに実在する観測変数 ***/ /*** 変数FSCOREは父親の社会的地位 EDUは本人学歴(教育年数)***/ /*** 変数GENは現職職業威信スコア INCは本人年収 ***/ /*** 変数ZAISANは保有財産数 ***/ /*** 変数MOTIIEは居住形態 NENREIは本人年齢 ***/ /*** 変数KIBOは従業先規模 CITYAは居住地の都市度 ***/ PRELIS /variables= FSCORE EDU GEN INC ZAISAN q01 q02 q03 q04 q05 q06 q07 q08 q09 q10 MOTIIE NENREI KIBO CITYA /matrix=out(*) /type=polychor . LISREL / "political awareness in SENDAI 1997" /da ni=19 no=889 ma=pm /la /father/gakureki/isin/syunyu/zaisan /keniaru/zibunno/meue /houritu/yono/fukuzatu/omakase /seiziman/fusin/sogai /kyojuu/nenrei/juugyou/tosi /mo ny=15 ne=6 nx=4 fi ly=fu be=fu ga=fu ps=di /fr ly(4,3) ly(5,3) ly(7,4) ly(8,4) ly(10,5) ly(11,5) ly(12,5) ly(14,6) ly(15,6) /fr be(2,1) be(2,4) be(3,1) be(3,2) be(4,1) be(5,1) be(5,2) be(5,3) be(5,4) be(6,1) be(6,2) be(6,3) be(6,4) /va 1 ly(1,1) ly(2,2) ly(3,3) ly(6,4) ly(9,5) ly(13,6) /fi te 1 te 2 /le /homenv/educ/status/econenv/author/polawr /ou se tv ss ad=off . ★★★ リズレルのプログラムの説明 ★★★ 0.共分散構造分析の基本 共分散構造分析で用いる変数は、 1)観測変数(実際に存在する変数) 2)潜在変数(因子) の大きく2種類に分かれます。 共分散構造分析のモデルも、大きく2つに分かれます。 1)測定方程式モデル 観測変数(実際に存在する変数)で潜在変数(因子)を作る。 因子分析の部分。 2)構造方程式モデル 潜在変数(因子)の間の因果関係のモデル。 潜在変数を用いたパス解析。 構造方程式モデルに、さらに、外生変数(これも実際に存在する変数)を加えること もある。つまり、いくつかの潜在変数と外生変数でパス解析を行う場合もある。 この文例では、一般的な因果モデルを外部から規定する要因として、4つの外生 変数(居住形態、年齢、従業先規模、都市度。プログラム例中の LISREL /laライン の最後の4つです)をモデルに投入している。 なお、この文例では、誤差間相関はなしとしている。 1.PRELISコマンドについて SPSSのデータのうち、LISRELで用いる変数を取り出す。 /variables以降の文で出ているのが、SPSSのデータ名である。 例えば、調査データに50個の変数があるが、分析に用いるのはそのうち19個 だけ、という場合、PRELISで19個取り出す。 /matrix=out(*) /type=polychor と書くと多聞相関のデータ行列を出力する。 /type=covariance と書くと共分散のデータ行列を出力する。 多分相関だと、5段階尺度のような、厳密には連続変数とは言えないような、 順位尺度による相関のゆがみを補正した相関になる。社会調査データでは、 これを用いた方が良い場合もある。 しかし、多聞相関に最尤推定法を使うと、尤度が大きく歪んでしまうので、 WLS推定法を使うべきかもしれない。PRELISでは、変数の種類を指定しないとデ フォルトの連続変数扱いになってしまうので、4段階尺度以下の場合なら、変 数に(OR)の指定をしたほうがよいらしい。5点尺度以上なら、むしろ、(CO)の ままにしておいたほうがいいというのが通説らしいが、まだ勉強中で、この辺 は詳しくは不明です。詳しくはリズレルのマニュアルを参照してください。 2.LISRELコマンドについて PRELISコマンドで取り出したデータを用いて、実際に分析を行う。 最初の行はタイトル。 ★/daの行(データ・ライン)の指定について ni 用いる変数の数 投入変数がprelisで指定した19個という意味 no 分析に用いるデータの人数が889人という意味。 面倒だが、PRELISの実行時に表示されるものを書く。 ma=pm PRELISで作成したpolychoric行列のデータを用いるという意味 pm多分相関 cm共分散 km相関 ★/laの行の指定について PRELISに書いてある19個の変数にラベルを付けている。 ★mo モデルの指定 ny 観測変数は15個 ne潜在変数6個 nx外生変数4個 nyとnxを足すと19個である fi 外生変数を入れるときに入れる命令(外生変数を入れないときは書かなくて良い) ly ラムダワイの行列(因子から観測変数へ行くパス) be β行列(内生潜在変数間のパス) ga ガンマ行列(外生変数から内生変数へのパス) ps 内生変数の誤差間相関 ぷさい fu行列の型の指定 −非対称行列、という意味 たいていの場合fuと書いておけばよい di行列の型の指定 −対角行列 ★fr ly ラムダワイ(測定モデル)のフリーパラメータについて ly(観測変数の番号,潜在変数の番号) ly(4,3)は、ラベル行4番目のsyunyuによって潜在変数3番を測定、の意味 このプログラム例では、潜在変数3番は、観測変数4,5とva行の観測変数3で測定 されていることになる。 ★fr be 潜在変数間の因果関係の指定 (2,1) 1から2へのパス le行(後述)でいうとhomenvからeducのパス ★va 固定母数 1にする ly(1,1) (観測変数の番号,潜在変数の番号) このプログラム例では、潜在変数1番と2番は、固定母数の観測変数のみで測定して いることになる。観測変数1つで潜在変数を測定しているモデルになる。 複数の観測変数で潜在変数を作る場合、ふつう、観測変数のどれか一つを固定母数1 とする。 ★fi te 1 潜在変数1は誤差を0にする、という意味 ★le 潜在変数(イータ)にラベルをつける ★ou アウトプット 何を出力するかの指定 se標準誤差、tvt値 ss標準化解 ad反復推定の回数をデフォルトより多くさせる。 ou all だとすべて出力される。 外生変数(モデルの中で矢印を受けてない変数)について ガンマについてはどの変数を用いるか指定していないので、/fr lyや/vaで指定して いない変数がすべて外生変数になる。この文例では、19個の投入変数のうち15個 しか指定していないので、残り4つは外生変数として用いられる。 この文例だと、すべての外生変数から内生変数(因子)へのパスが存在する。 外生変数からのパスを削りたい場合以下の通り。 /fi ga(1,4)という行を挿入すると、外生変数4から内生変数1へのパスが削られる。 外生変数4とは、この文例では、19番目の投入変数tosiのこと。 ( ,)内の原則は、カンマの前半の数字が結果(受け取る変数)、後半が原因 より詳しい説明は、参考文献にあげたリズレルの英文マニュアルを見てください。 付録 図2のモデルについてのプログラム PRELIS /variables=FSCORE EDU GEN INC ZAISAN q01 q02 q03 q04 q05 q06 MOTIIE NENREI KIBO CITYA /matrix=out(*) /type=polychor . LISREL /"murase's sample model" /da ni=15 no=919 ma=pm /la /father/gakureki/isin/syunyu/zaisan /keniaru/zibunno/meue /houritu/yono/fukuzatu /kyojuu/nenrei/juugyou/tosi /mo ny=11 ne=5 nx=4 fi ly=fu be=fu ga=fu ps=di /fr ly(4,3) ly(5,3) ly(7,4) ly(8,4) ly(10,5) ly(11,5) be(2,1) be(2,4) be(3,1) be(3,2) be(4,1) be(5,1) be(5,2) be(5,3) be(5,3) be(5,4) /fi ga(1,1) ga(1,3) ga(1,4) ga(2,1) ga(2,3) ga(4,1) ga(4,3) ga(4,4) /va 1 ly(1,1) ly(2,2) ly(3,3) ly(6,4) ly(9,5) /fi te 1 te 2 /le /father/educ/status/econenv/polawr /ou se tv ss ad=off .
SPSSで通常のパス解析を行うには、以下のような重回帰分析のプログラムを シンタックスウィンドウに書いて、実行すればよい。私の周辺には、共分散構造分 析のように、わざわざ因子得点を使って分かりにくい変数で分析するよりも、通常 のパス解析の方がよほどよい、と言う人間がたくさんいる。 パス解析とは、通常の重回帰分析の繰り返しである。ただし、有意でないパスは 削除して、繰り返し分析を行い、最終的なモデルにたどりつくとよい。 以下のプログラムは、複数の重回帰式を分析することになる。 /MISSING LISTWISE の行によって、欠損値がある人のデータはすべて削り、 各重回帰式の分析対象の人数をすべて同じにしている。LISTWISEのかわりにMEANSUB と書くと、欠損値を平均値で置き換える。 ★なお、以前のSPSSは、複数の/DEPENDENT 行を、1つのREGRESSIONシンタックス の中に書く(つまり、複数のモデルを一度に実行する)ことができたが、現在はでき ないようだ。複数のモデルを書くと、どのモデルも、すべて欠損値を削除して同じ人数 になるというのがメリットだが、人数が減ってしまう。 REGRESSION /MISSING LISTWISE /DESCRIPTIVES MEAN STDDEV CORR SIG N /STATISTICS COEFF OUTS R ANOVA /CRITERIA=PIN(.05) POUT(.10) /NOORIGIN /DEPENDENT q10 /METHOD=ENTER age edu q5 q8 q9 . REGRESSION /MISSING LISTWISE /DESCRIPTIVES MEAN STDDEV CORR SIG N /STATISTICS COEFF OUTS R ANOVA /CRITERIA=PIN(.05) POUT(.10) /NOORIGIN /DEPENDENT q8 /METHOD=ENTER age edu q5. REGRESSION /MISSING LISTWISE /DESCRIPTIVES MEAN STDDEV CORR SIG N /STATISTICS COEFF OUTS R ANOVA /CRITERIA=PIN(.05) POUT(.10) /NOORIGIN /DEPENDENT q9 /METHOD=ENTER age edu q5 .
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