──────────────────────────────────────── 社会意識に関する東京住民調査 調査員の手引き ──────────────────────────────────────── 1999年10月 立教大学社会学部 村瀬研究室 目次 ┌──────────────────────────────────────┐ │0.調査の概要 │ │1.調査員の仕事 │ │2.調査不能への対処 │ │3.携行品と当日の注意点 │ │4.対象者リスト(回収表)記入例 │ │5.緊急時の連絡 │ └──────────────────────────────────────┘  1と2が、当日の仕事の内容です。  まずはこれを、よく理解してください。 〒171-8501   東京都豊島区西池袋3-34-1                 立教大学産業関係研究所                 立教大学社会学部    専任講師  村瀬 洋一     電話:03-3XXX-XXXX(村瀬研究室直通) 0.調査の概要 0.1.調査の目的  本調査は、現代社会に対する人々の意識について、統計分析をもとに実証的に研究することを目的とする。人々が社会や政策に対してどのような意識を持っているかは、重要な問題である。多くの人々が、福祉政策に否定的であれば、今後、福祉政策は縮小される傾向にあるかもしれない。  また人々の対人ネットワークは、意識や行動にさまざまな影響を及ぼすと考えられる。諸外国では、対人ネットワークに関するいくつかの調査が行われ、重要な知見が得られているが、日本人の対人ネットワークについては、本格的な調査がほとんどない。本調査は、社会意識や対人関係について統計的調査データを得て、学術的に優れた分析を行うことを目的としている。 0.2.調査の体制と調査員の位置づけ 調査主体  立教大学産業関係研究所の研究員である村瀬が実施 調査資金  文部省科学研究費補助金の助成を受けている。その他、立教大学の研究費を用いる。 調査員の位置づけ  調査員として雇用されている期間は、立教大学の代表として調査対象者と接するということを自覚してほしい。対象者には、調査に協力していただくように「お願い」したのだから、くれぐれも失礼のないように対応すること。  また、調査の成否は調査票の回収率に大きく依存する。したがって、この調査を生かすも殺すも調査員の努力次第ということになる。自分の担当全ての調査票を回収できるように努力してほしい。 0.3.調査対象  東京都の住民1500人を対象に行うもので、文京区、板橋区、豊島区、北区の選挙人名簿から、くじ引きのような方法(無作為抽出)で選んだ。具体的には、確率比例2段抽出法により50地点を選び、1地点から30人を選んでいる。 1.調査員の仕事 1.1.仕事内容  上述の1500人の調査対象者には、すでに郵送で調査票をお送りしてある。各自は、担当地区内の30件のお宅を訪問し、調査票を回収する。  必ず、郵送でお送りしたあて名となっている方に記入していただく。  回収率が低いと、分析ができなくなってしまう。調査の成否は調査員のみなさんの活躍にかかっている。具体的には、以下の1)〜6)が仕事となる。 1)現地につき、対象者のお宅を確かめ、訪問する。 2)留守だった場合は、「訪問票」(別途、準備する緑の紙)を置き、再訪問する。  午前中、お昼頃、午後、夕方など時間帯を変えて、1日に可能な限り何度も訪問する。 3)対象者がまだ回答を記入していなかった場合  丁寧に記入をお願いし、回収の日時、方法を相談して決め、再訪問する。  日曜までの記入が難しい場合は、返送用封筒(別途、準備する)をお渡しする。 4)調査票を回収したら、回答者に「記入もれがないかどうかを、点検させていただいてよろしいでしょうか」と断ってから点検する。おおまかに見て記入もれがなければ、礼を述べる。調査票に関する感想などをきいてから、退出する。 5)回収した日時を、対象者リストに記入する(記入法は後半を参照)。  調査票が玄関先やポストに置いてあった場合は、「訪問票」の裏に「ご協力どうもありがとうございました。 調査員名」 と簡単なお礼状を書いて、ポストに置いてくる。 6)回収した調査票を研究室に届け、点検を受ける。  各地区の対象者リストの1〜30番の人が対象者である。  31〜35番の人は、予備サンプルである。原則として、31〜35の人は、とくに指示があったときのみ、訪問する。 1.2.回収時の日程  金曜日 ★9時までに必ず現地に着き、ついたらすぐに電話連絡をする。  現地に着いた時と、現地をはなれる時に、必ず電話連絡をする。  金曜のうちに、すべての家に訪問するように。  途中、休んでもいいので、スーパーや喫茶店やパチンコ屋などトイレ を借りれる場所を確認しておくとよい。  1時半過ぎまでは、対象者宅を訪問する。その後、2時間程度、お昼休みを取って良い。ただし、1時〜2時半の、下記の指定時間に、必ず経過報告の電話をする。  すべての対象者を訪問し終わった後(不在だった方は午後7時になるまでは何度も訪問する)、これから戻る旨を研究室に電話連絡する。  土曜日  9時までに必ず現地に着き、ついたらすぐに電話連絡をする。  1時半過ぎまでは、対象者宅を訪問する。その後、2時間程度、お昼休みを取って良い。ただし、1時〜2時半の、下記の指定時間に、必ず経過報告の電話をする。  すべての対象者を訪問し終わった後(不在だった方は午後7時になるまでは何度も訪問する)、これから戻る旨を研究室に電話連絡する。 日曜日  前日までに不在だった方を訪問する。前日に回収の約束をした場合は、忘れずに訪問すること。1日3回の電話連絡は前日と同じ。★村瀬研究室への定時連絡は確実に行う。  会えなかった人には、日曜の6時半以降にもう一度訪ねてみる。やはりお留守だったときは、返送用封筒とお願い状(土曜の夜に渡す)をポストに入れておく。 ┌─────────────────────────────────────┐   │   注意点 │ │ 風邪を引いたり事故にあったりしないよう、充分に注意すること。 │ │ 必ず学生証を携帯する。 │ │ 高回収率をあげるよう、最大限の努力をする。 │ │ 一日に何度も時間帯を変えて、対象者宅を訪問する。午前中、昼、午後、夕方。│ │世帯によって、在宅の時間が違う。 │ └─────────────────────────────────────┘  1.3.毎日の定時連絡(研究室の電話番号は表紙に記載)  上記のように1日3回、電話連絡をする。調査対象者から連絡があった場合など、研究室から調査員への連絡が必要になることもあるので、昼は、以下の指定された時間帯に必ず電話をすること。その他、困ったことが生じたら、いつでも電話する。なお、多数の調査員からの電話を受けるので、簡潔な連絡をするように。電話の内容は、「調査員の○○です。○件訪問して○件回収しました。これからまたまわります」とする。ただし、研究室からの連絡がある場合もあるので、研究室の応答を確認してから切ること。  昼の連絡時間  地区番号 01−08、26−33 1:00-1:30 09−16 34−41 1:30-2:00 17−25、42−50 2:00-2:30 1.4.回収期間  10月15日(金曜)〜17日(日曜)  原則として9時から午後7時までフルに利用して回収すること。回答者の都合で、それ以外の時間に訪問する必要が生じた場合は、研究室に連絡すること。日曜までにすべて回収できるように努力すること。調査員の努力不足により回収できない調査票が生じた場合には、月曜以降に回収してもらうことになる。 1.5.経過報告  毎日、午後7時を過ぎたら現地を離れ、池袋2号館2階の村瀬研究室まで来て、その日の成果を報告する。タッカー前の門が遅くまで開いている。やむをえない事情で来れない場合は、必ず電話連絡し、翌朝9時〜10時までに来室する。   報告事項  1)回収済みの調査票の点検         2)調査不能世帯について 2.調査不能への対処  対象世帯が、移転、旅行中などいろいろな理由で調査できないことがある。このようなやむを得ない理由で調査不能となる場合は、このこと自体が大切なデータであるから、調査不能の理由を、対象者リストにできるだけ詳しく記入しておく。 2.1.転居などによる場合 1)転居 東京都内に転居の場合は、近所で転居先の住所を詳しくきき、対象者リストに記入する。 2)該当者なし その家が見あたらない場合は、交番や区役所の出張所などでよく確かめる。 3)住所不明 交番などで確かめる。飛び番地や、番地が整理されていない場合はとくに注意すること。★飛び地などもあるので、住所が分からないときは近所できくか、交番や、米屋や酒屋など配達をする店できくとよい。図書館や公民館に地図があることもあります。 4)長期不在 近所の人にきいて、実査期間中に帰ってこないことがはっきりすれば、調査不能となる。  その他、何回行っても留守だったり、調査に応じてくれない場合がある。判断が難しい場合には、必ず研究室に連絡して指示をあおぐ。しかし、調査員の努力不足による調査不能が多いような場合は、調査結果の精度に関わることであるから、訪問を繰り返したり、時間を約束したりして調査できるように努めること。商店の人や仕事中で手が離せない人を調査する場合は、比較的暇な時間や、閉店時間などをきいて、再訪問する。 2.2.対象者の非協力による場合  対象者が調査への協力を拒否しようとするときには、「調査ご協力のお願い」の趣旨を繰り返し、必要があれば次のようなことをつけくわえる。 1)対象者の選び方について  緑の紙「調査ご協力のお願い」の裏面にありますとおり、選挙人名簿の上でくじ引きを行い対象者を決めました。特別の理由があって、お宅を選んだのではありません。  「回収数が少ないと、分析ができなくなってしまいますので、できましたら、ご協力をお願いできませんでしょうか。」と、低姿勢に、丁寧にお願いする。 2)プライバシーについて  この調査は統計調査ですから、どのような意見の人が何%くらいいるか、住んでいる場所によって意見が違うかどうか、などということを、統計表の数字の上で発表するだけです。したがって、お名前は絶対に公表しませんし、他人にも見せません。 3)結果の利用  「ご協力いただいた方には、分析終了次第、結果の概略をお知らせします。」その後のことをきかれたばあい、「研究上の貴重な資料として、学会報告や学術論文として研究目的で利用させていただきます。」 4)文部省との関係  研究予算をいただいていますが、文部省は調査内容に関知しません。立教大学産業関係研究所が自主的に企画して行っている調査です。 5)その他  「他に適当な人がいる」と言われたときは、「そのような人ばかりの意見をきいたのでは、全体の様子が分からないから、いろいろな人の意見を聞く必要があります」と答える。 6)いくら説明しても趣旨を理解してもらえない時は、調査票の表紙の問い合わせ先にたずねてもらうよう頼む。  ★なくしたと言われた場合  →予備の調査票をお渡しする。 3.携行品と当日の注意点 3.1.調査員の携行品 1)調査票予備と「調査ご協力のお願い」 2)対象者リスト(回収表) 3)担当地域の住宅地図 4)訪問票(緑のカード) 5)調査員の手引き 6)学生証 7)筆記用具    自分で用意する 8)雨具 3.2.調査当日、特に注意すべき事  1)秘密保持 調査対象者のプライバシーには充分に注意する。対象者リストは、対象者にも見せないようにする。プライバシーに関する話は絶対にしない。調査対象者の回答を他の人に見せたり、話したりは絶対にしない。調査員同士で回収した調査票や対象者リストを見せあうことも避ける。  2)丁寧な態度  お忙しい中、時間をいただいて、調査に協力していただくのだから、くれぐれも丁寧に接し、横柄な態度にならないように気をつけること。  3)交通手段  担当地域への交通手段は、電車、バスなどの公共交通機関のみを利用する。バイク、自動車、自転車などは絶対に使わない。これらを使って事故が起きたときには、立教大学や村瀬研究室は一切責任を負えない。 4.対象者リスト(回収表)記入例  調査票の最後のページ下の整理番号は、しも4桁の2桁が地区番号、2桁が個人番号。      例 「2012」は20地区12番の人  金曜は「第1次回収」、土曜は「第2次回収」、日曜は「第3次回収」の欄に記入  訪問した時間を細かく記入する。  回収できた時間、再訪問の約束をした時間は、必ず記入すること ★以下の形式で記入  留守だったとき      る とかいて時間  →る1005 る1220 る1520 る1730  対象者から回収できたとき か とかいて時間  →か1850  留守だったが記入済みのものが置いてあったとき お とかいて時間  →お1910  本人か家族にお会いできたが、未記入なので再訪問の約束をしたとき               再 とかいて時間  →再1430  調査不能         不能 とかく 5.緊急時の連絡  村瀬研究室(電話03-3XXX-XXXX)に、朝9時〜夜9時までは村瀬がいる。 この時間外の連絡は下記まで。なお、調査員が急に休むと、代わりの人を手配しなくてはならない。体調が悪いときなどは、無断で欠席せず、必ず連絡する。       村瀬自宅  03-3XXX-XXXX 村瀬PHS 070-XXXX-XXXX       メール    xxxxxx@rikkyo.ac.jp ◆調査員説明会時の注意点  以下のことを特に強調 ・プライバシーを保護する。   対象者リストをなくさない。内容を他人にはなさない。   丁寧な態度で、感謝の気持ちを忘れずに ・高回収率が大切である。   回収率が低いと、回答が歪む。若い人、一人暮らしの人のデータが欠ける傾向が強い。   会えるまで、繰り返し何度も訪問する。   面接法の調査は、相手に調査票を渡さず、あくまでもこちらが質問を読み上げて、こちらが答えを記入する。そうでないと、身代わり回答や、途中から無回答が増えたりするので。