立教スポーツ第146号
<4月5日更新>
ラグビー部・濃紺の猛攻 異様なほどの熱気。立ち上がる観客、やまぬ歓声…。それは戦いのすべてに勝ち続けてきた男たちへ向けた最高の賛辞であり、敬意だった。その日、主将・沼田(社4)が歓喜の涙を流しながら、高々と宙を舞った―。
昨年12月8日、秩父宮ラグビー場。本学は東大との関東大学対抗戦A・Bグループ入れ替え戦を堂々たるプレーで制し、見事昇格を決めた。
立大栄光の日
東大との決戦の日、選手たちの胸には不安よりも強い勝利への決意があった。
中でも、チームの中心的存在である石原(観4)の気迫にはすさまじいものがあった。昨シーズンに味わったまさかの最下位。「今年こそは」との思いが彼を突き動かした。
4年生の勝利への執念は下級生へと確かに伝わった。「勝ちたい」。皆思いは一つだ。粘り強いFWがセットプレーを制し、BKが鋭く縦へと駆け抜ける。それはまさにひたすら前進し続けてきた立大ラグビーの姿そのものだった。
力を尽くして戦い抜いた本学。終わってみればダブルスコアの圧勝だった。本学の歴史に新たに刻まれた栄光。それはリーグ戦で全勝してもなお、高みを見続ける飽くなき闘争心ゆえの勝利だった。(写真=精神的支柱・石原が執念のトライを決める)
伝説を築くとき
昨シーズンに味わった最下位の屈辱が選手たちを駆り立てた。練習方法を改め、FWはモールやスクラム、BKはタックルやアタックを徹底的に強化。巻き返しを図るチームはそれまで欠けていた「力強さ」を求め続けた。
昨年9月15日〜11月30日に学習院大グラウンドなどで行われた関東大学対抗戦Bグループ。昨シーズン、初戦の敗北から崩れた本学は不安とともに開幕を迎える。だが大事な初戦を苦しみながらもものにすると、本学は波に乗り4戦全勝で終盤戦へ臨んだ。残り3戦はすべて上位との直接対決。負ければ後がない相手は捨て身で挑んできたが本学はそれを上回る闘志で接戦を制する。彼らの勢いはもはや止まらず、全勝優勝、そして昇格へと一気に駆け抜けた。
快進撃の背景には、1年生ながらレギュラーに定着した西田(社1)が「みんなで遠慮なく言い合えた」と語るようなチームの活性化がある。その意識の変化が、チームに団結をもたらした。それを象徴するように、得点源として活躍した堂内(どううち=観3)は言う。「僕のトライはチーム全体のトライ―」。
強豪が待ち受けるAグループでは苦戦が予想され、互角に戦うには改善点も多い。しかし、選手たちは「楽しみ」と口をそろえ、新主将・飛田(経3)も「課題が見えやすいから成長しやすい」と先を見据える。今年は創部80周年の節目の年。苦境からはい上がってたどり着いた光の地で濃紺の戦士たちは新たなる伝説を築く。
(小林、小見)
〜記事抜粋〜
アメリカンフットボール部・
誓いの場所へいざ出陣
二年前は入れ替え戦で涙をのんだ本学。1部に復帰することだけを目指して今季を戦ってきた。
昨年9月7日〜11月24日まで、東工大グラウンドなどで行われた関東大学アメリカンフットボールリーグ戦。着実に勝利を重ね本学は入れ替え戦へ。そして男たちはついに目標を成し遂げた。1部の舞台というスタート地点にようやく戻ってきた本学。2部降格から3年、その道は決してたやすくはなかった。
再起をかけて
誓うことはただ一つ「1部復帰」だ。1部を離れ3年目となる2002年。再起をかけた挑戦が再び始まった。
初戦は創価大。26−7で勝ったものの、主将・原(観4)は「まだ粗削りなところがあるし(TD=タッチダウンを)一本取られたので満足はしていない」と厳しい表情を見せる。第2戦の明学大、第3戦の学習院大には連勝したがチーム全体に漂う厳しい雰囲気が崩れることはなかった。
順調に勝ち星を重ねてきた本学だが、第4戦の防大戦でまさかの試練が待ち構えていた。開始から3プレー目、先発QB(クオーターバック)を任されている柿沼(大)(観3)が右足じん帯を負傷。戦線から離れる事態となった。結局この試合はプレーがかみ合わずに敗戦。入れ替え戦出場を確実にするためにはもう負けることは許されない。
エースQBを欠いた本学は、新たなQBに小林(理4)を起用。柿沼(大)は蓄積されたデータや攻撃パターンなど持てるすべてを小林に託した。
後半戦の東工大、神大、城西大との試合はまさに総力戦であった。強肩である小林のパスと、最前列で相手と対峙(たいじ)する攻守の両ライン、そしてスピードのある本学RB(ランニングバック)陣などの活躍で3連勝。2部Bブロックを無事1位通過し、1部Aブロック最下位の山学大との入れ替え戦に出場を決めた。1部復帰まで残すところあと1勝である。(写真=どんなタックルもものともせず前へ進むRB・柵木)
勝つしかない
主将・原は「負けたら意味がないんです」とリーグ最終戦の後、入れ替え戦に向け語った。「勝って当たり前」のリーグ中は過程にこだわった原だったが、1部復帰を目の前に結果を重視し、ただならぬ意気込みを見せた。
運命の一戦は12月7日。雨模様の大井第二球技場でキックオフを迎えた。
本学の攻撃から始まった第一Q(クオーター)。順調にヤードを奪い敵陣へと攻め込んでいく。開始3分本学はゴールライン手前までボールを運んだが、一瞬のすきをつかれインターセプトTDを喫し先制を許してしまう。しかし本学の勢いは衰えなかった。RB・柵木(ませき=経4)を中心に陣を広げていく。
第1Q、第2QにRB・小笠原(法3)がTDを決め逆転。さらに点を加えたい本学だが、前半が終わりに差しかかるころ柵木が右足を骨折してしまう。しかし後輩RB陣の小笠原や1年生などが柵木の抜けた穴を埋め、果敢に攻めていく。そして第3Qにフィールドゴールで山学大を突き離し17−7で1部復帰を果たした。
今季は4季ぶりに1部で戦う。かつて1部で戦ったメンバーは一新され、一からの出発となる。気持ちを新たに挑戦者として向かっていってほしい。
(江幡)
〜記事抜粋〜
スケート部フィギュア部門・実りの年へ
今までも何度となく本紙を飾ってきたスケート部フィギュア部門。1月6日〜8日に苫小牧ハイランドスケートセンター屋内で行われた第75回日本学生氷上競技選手権大会で、アイスダンスに出場した加賀山(法2)・小田(慶大)ペアがその頂点に立った。また、一部女子では宇田川(観1)も上位に食い込んだ。全日本レベルの選手が競い合う中で、彼らの技術の高さは結果となって示された
飛躍へのステップ
新たに迎えた年でのさらなる飛躍を誓うかのように、今や部の中心となっている加賀山が早くも結果を出した。昨年の10月には関カレ優勝。さらに成長した姿で、彼はリンクに立っていた。
加賀山と小田のペアは昨年2月に結成。練習日程を合わせる難しさはあったものの「長い目で見て練習してきた」と言うように着実に呼吸を合わせていった。そして、積み上げてきた自信を胸に臨んだこの舞台で、彼らの抜群のコンビネーションはいかんなく発揮された。
最初のコンパルソリー・ダンスでの演技はスターライトとキリアンの2種目。「いかに曲に合わせて滑れるか」を課題にしていた彼らは、音響設備の違いに戸惑いながらも、基本に忠実な演技を意識して危なげない滑りを見せる。続くフリー・ダンスでは、リフトを3度織り交ぜるなど、難易度の高い技を成功させ技術の高さをアピール。これが総合で平均4点台の高得点につながった。
ペア結成からわずか一年足らずで勝ち取った栄冠。加賀山は「基礎点をコンスタントに取れるようになりたい」と語る。目指すものは、さらなる技術の向上だ。手にした「王者」の肩書きに甘んじることなく、彼は己を磨き続ける。(写真=通い合う心を確かに感じ、加賀山ペアが滑り出す)
自分に勝って
同大会、一部女子シングルに出場した宇田川。ショートプログラムは減点法で評価されるので、ミスは避けたいところだ。
大会一日目ショートプログラム。いまひとつスピードが出ない中で、スピン後に進行方向を間違えてしまう。焦りは隠し切れず、不本意な16位に終わった。
翌日のフリー本番直前、攻めの気持ちを取り戻せずにいた宇田川にコーチがげきを飛ばす。「守ってどうするの」。その言葉でいつもの滑りの感覚が戻った。
心機一転、迎えたフリー演技。宇田川は、苦手とするダブルアクセル(二回転半)を最初に持ってくると決めていた。緊張感が高まる一瞬。宇田川は見事着地してみせた。そのまま勢いに乗ってさらに3回のコンビネーションジャンプもすべて成功させる。トリプルジャンプこそ1回も決まらなかったものの、フリーは10位。総合11位となった。
宇田川は今後の課題としてトリプルジャンプと表現力を挙げる。克服すれば目標とする入賞も見えてくる。彼女の限りない才能はまだ発揮され始めたばかりだ。
(小見、小林)
〜記事抜粋〜
ホッケー部女子・見せた女の意地 2部昇格
一瞬の静寂―。次の瞬間、澄んだ青空に歓喜の声が響き渡る。本学ホッケー部女子が5年ぶりに2部昇格を勝ち取ったのだ。
昨年9月1日から11月17日に法大多摩グラウンドなどで、本学は秋季関東学生ホッケーリーグを戦った。入れ替え戦での惜敗から一年を経て悲願を達成した彼女たち。一戦一戦を勝ち抜く中で養われた「団結力」が、そこにはあった。
激戦への序章
9月15日、対東京女大戦から本学の秋季リーグは始まった。本学は3得点し、3−1で勝利した。続く横浜市大戦では相手を0点に抑えながら4度ゴールを奪い、一勝を確実なものにする。次に本学が迎え撃ったのはフェリス女学院大。押され気味ではあったものの、同点で試合終了。苦戦を強いられながらも2勝1分でBプール1位となった。
そして迎えた3部優勝決定戦、対上智大。相手の強固な守りを崩せず、勝敗はペナルティー・ストローク戦(PS戦)へ。本学の守護神・棗田(なつめだ=経4)がゴールを守り抜き、「気持ちでは勝っていた」本学が、2−0で勝利をつかんだ。この勢いで昨年の悔しさを晴らしたい。入れ替え戦に向けて、彼女たちは勝利への自信にあふれていた。(写真=ゴール目指し果敢に攻める瀬尾)
誇りを胸に
「不思議と負ける気がしなかった」。試合後に主将・瀬尾(文4)はそう語った。慶大日吉グラウンドで行なわれた入れ替え戦。本学は勝利を固く誓い合い、この大舞台に臨んだ。
立ち上がりから激しいボールの奪い合いが展開された。吉田(文4)が素早く奪取したボールをセンター付近の瀬尾に送る。そこから一気に攻め上がるが、ゴール目前で相手DFに阻まれてしまう。また、相手に攻められ危うい場面も多々あった。だが本学は一丸となりゴールを死守。その後の延長戦へともつれ込んだ。
このPS戦は棗田にとって特別な意味を持っていた。昨年の入れ替え戦もPS戦によって敗れていたからだ。そしてついに来た雪辱の時、「絶対昇格」の思いを胸に棗田はゴール前に立ちはだかった。
結果、本学は3−2でPS戦を制した。それはまさに、チームの願いがかなった瞬間。本学は一年越しの2部昇格を決めた。
チームの団結力を強め執念で勝ち取った、昇格という喜び。その誇りを胸に本学は今春、新たな舞台へと挑む。
(杉野、小林)
〜記事抜粋〜
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