立教スポーツ第167号
<6月7日更新>

水泳部 根岸 全日本選手権7位
不滅なる翼

 
水泳部 根岸 日本選手権7位 不滅なる翼

 仲間がいること。それが彼女の強さに変わる――。
 4月5日~8日、千葉県国際総合水泳場において第83回日本選手権水泳競技大会が行われた。国際大会の選考も兼ね、国内トップレベルの選手が数多く集うこの大会。本学からは4名の選手が出場。中でも2年ぶりの出場となった根岸(社4)が女子二百㍍バタフライで7位に輝くなど素晴らしい活躍を見せる。
 大学4年間で最高の結果を残した根岸。日本水泳界の頂上決戦に、彼女が再び帰ってきた。


快挙支えたもの
 昨年は故障もあり苦しい日々を過ごした根岸。彼女の新たな一年が始まる。 
 3月3日・4日、第48回日本短水路選手権が東京辰巳国際水泳場で行われた。日本選手権の前哨戦となるこの大会。三種目すべてで決勝に進出し、見事に復活を果たした。試合後、次へ向けて「狙うは決勝」と言い切った根岸。その表情からは、確かな自信と強い意志が感じられた。
 ついに訪れた日本選手権当日。五十㍍バタフライでいきなり自己ベストを更新し、改めて実力を見せつける。勢いに乗って迎えた2日目。二百㍍バタフライは専門種目なだけにレースに懸ける気持ちもひときわ強い。予選を8位で通過し決勝に進出。場内に漂う雰囲気がさらに緊迫していく中でも、根岸の泳ぎは変わらなかった。予選を上回る7位でゴールし、自己最高の成績で泳ぎ切る。
 本当に自分の泳ぎができるのか。「まだおびえている部分がある」と語るように、思うように調整ができないまま今大会に臨んでいた。調子は万全でなかったが共に戦う後輩たちの存在が彼女を奮い立たせる。今まで女子部から一人で出場することの多かった根岸。だが今年は3人となり、「皆目標に向かって頑張っていることが励みになった」と語った。同じ場所での後輩たちの活躍は、自らを鼓舞してくれるものである。
 それぞれが全力を尽くしているからこそ、自分も頑張りたい。その思いが彼女の糧となり、輝かしい結果へとつながった。

光放ち進む
 「入学当初から目標とし背中を追いかけてきた」。根岸について冷清水(ひやしみず=観3)はそう語った。同じ種目を専門とする彼女にとって、根岸はあこがれの存在である。「先輩と同じ舞台に立ちたい」という言葉を繰り返し発してきた彼女が、最近目覚ましい成長を見せている。
 出場するためには標準記録を突破する必要がある全日本の大会。今年の初めに二種目でそれを破り、自分もいつか泳ぎたいと願っていた地に冷清水は足を踏み入れることとなった。日本短水路選手権では、五十㍍バタフライに出場。今大会で泳ぐことを「楽しみにしていた」と語る一方で、初めて感じる全日本の空気に緊張の色をのぞかせた。しかし、周りに惑わされまいと自分の泳ぎに集中して挑みB決勝(9位~16位決定戦)進出。B決勝では7位でゴールした。レース後彼女はほっとした表情を浮かべ素直に喜びを表した。
 続く日本選手権では、決勝には届かなかったものの百㍍バタフライで自己ベストを大幅に更新。今後への大きな自信となった。
 これら2つの大会を通して、冷清水は根岸との違いをさらに意識するようになった。出ている大会は同じでも戦いのレベルに差を見いだしたのだ。身をもって実感したことにより、彼女のモチベーションはより高まった。そして新たな目標を口にする。「先輩と競れるようになりたい」。
 目指すべきものは明確なところにあり、常に一歩前を行く。その環境が強さの要因の一つとなり、彼女に進化をやめない力を与え続ける。
                                        (今村・鈴木(明))

色褪せぬ誓い
1年生の頃から「水泳部を引っ張れる存在になりたい」と思い続けてきた大野(コ2)。だが長い間、納得のいく泳ぎができなかった。日本短水路選手権、レースを控えた彼女はまだ不安を抱えていた。
 五十㍍背泳予選。16位でB決勝に進出する。体のコンディションが優れず、大野は棄権を考えていた。しかし、どうしても泳ぎ切りたい理由があった。それは祖母に対する特別な思いである。
 大野の祖母はかつて同大会で3位となったこともある水泳選手だった。そんな祖母でさえ果たせなかったオリンピック出場。いつしか祖母の夢は大野に受け継がれていった。「オリンピックに出ることは難しい話。だからこそ、この大会に出場するだけではなくベストを出し続けることが大切」と大野は語る。祖母が応援に来てくれた今大会で、その気持ちは一層強くなっていた。
 そしていよいよB決勝。得意のドルフィンキックで大野は好調なスタートを切る。そのまま最後まで泳ぎ抜き、2位でゴール。タイムは2年ぶりの自己ベストだった。「うれしくて涙が出そうだった」と声を弾ませ笑顔を見せた。
 今大会で彼女は葛藤(かっとう)の末の達成感、夢に近づく喜びを再度味わった。次の目標は関カレでの表彰台。これをかなえるため自分との戦いに終わりはない。 
                                               (今山)
                                           


ローラーホッケー部 王者へ接近

 4月14日~21日にかけてつくばローラースタジアムにて行われた第44回東日本ローラーホッケー選手権大会。社会人チームの強豪が多く参加する中で男子が4位、女子が準優勝と力を見せつけた。格上の相手でも勝利を求めて戦う熱い気持ちがこの結果を導いた。

障壁に臨む
社会人と対戦できる貴重な機会である今大会。男子の一回戦の相手は東洋大である。インカレ優勝を目標に掲げている本学は、ここで学生チームに負けるわけにはいかない。
 しかし、初戦の緊張により攻めても得点に結びつかない。雰囲気が変わったのは前半17分。岩城(理3)が相手からボールを奪ってシュートを決めた。その後1点を返されるものの、緊張の解けた本学は残り2分で追加点を決め、リードしたまま前半を終える。後半は積極的に攻めさらに1点を奪い3-1で下す。
 続くセントポール戦は相手のGKがフィールドプレーヤーだったこともあり、次々と得点を重ねて7―1で快勝。準決勝のMJC戦へと駒を進めた。
 MJCは全日本でもトップクラスのチーム。立ち上がりから苦しい展開になるが、相手に1点目をとられた直後に小坂(理3)が大事な1点を決める。その後は相手の攻めに押され、1-7で敗れる。残るは3位決定戦。相手はMJCに並ぶ実力を持つXXX(トリプルエックス)だ。終始相手に主導権を握られ、0-2で試合を終える。結果は4位にとどまった。
 しかし4位とは言え、上位3チームは全て社会人。学生の中ではトップの成績だ。また敢闘賞を受賞した小坂は「実力を上げて強いチームと全日本でまた戦いたい」と前向きに語った。一歩前進するたびに、さらなる高みを目指す彼ら。そのひたむきな姿勢が目標を現実へ変えていくだろう。

歩み止めずに
一方、女子は昨年の同じ大会で準優勝しているが、今年は初戦から社会人チームに当たるなど厳しい戦いが強いられた。
 1回戦に対するvariousは各大学の前年度主将によって構成されたエースぞろいのチーム。相手の巧みな技術を前に苦戦するも、試合終了直前に、ゴール前ではじかれたボールを冨田(文2)が押し込み、1-0で勝利をもぎとる。
 続く準決勝はSTNとの対戦。実力派のベテランチームである。1点を奪われるが、前半終了間際に、主将・加納(文4)の得点で追いつく。後半にさらに1点を加えるが、素早いカウンターを決められ同点となり、そのまま試合終了。延長戦へと突入した。相手の度重なるシュートに対してGKの宇津木(経3)が好セーブを続け、0-0で延長戦も終える。結果は両チーム5名ずつのフリーシュート戦に委ねられた。緊迫した中、「思いっきり打ってこい」という加納の言葉に後輩が応え、2-1で激戦をものにした。
 そして決勝の相手はMJC。日本一とも言われる強豪相手に挑戦者として臨んだ。前半はうまく守ったが後半に次々と失点し、0-7で準優勝となった。
 新チームとなり2回目となる今大会。今後につながる課題が見えた。今回敢闘賞を受賞した加納の下、どれだけ下級生が伸びるのかがポイントとなる。続くリーグ戦、インカレと戦いは始まったばかりだ。
                                           (村田、倉持)



柔道部 オールミッション2部連覇 上を目指し一途に

試合前からすでに決まっている大きな一敗。しかし、彼らはそんな逆境には負けなかった。
 4月22日、講道館にて第53回全日本基督教関係大学柔道大会が行われた。2部に属する本学は、5人戦の団体戦を4人のみで戦い、昨年に続いて優勝。入れ替え戦で惜しくも敗れたが、連覇という快挙を成し遂げた。一人ひとりが何があっても最後まであきらめなかったからこそつかんだ栄光であった。


行先迷いなし
 1試合で2選手が負けると敗戦が決まってしまう本学柔道部。この戦いに主将・高橋(理4)、待田(経3)、進藤(コ2)、渕上(ふちがみ=済1)の4人が挑んだ。
 初戦の相手は、誰もが口をそろえて「絶対に負けられない」と言った明学大戦。先鋒がいない本学は不戦敗となり、ここから彼らの戦いが始まった。まずは次鋒・高橋が勝利。続く中堅・待田は「自分が頑張らないと」と自らを奮い立たせ、相手の動きを封じ込み一本を決めた。流れを呼び込んだチームは3勝2敗と良い滑り出しを見せた。続くは上智大との対戦だ。勢いに乗った本学だったが途中、高橋が右手小指を脱臼するというアクシデントに見舞われてしまう。しかし、彼は戦うことをやめなかった。「どんな痛みもつらさも勝ちたい、という気持ちで消えてしまう」と語った高橋。その姿勢が仲間に気合を入れ、全員勝利で試合を終えた。
 最終戦は最大の正念場対西南学大である。1勝2敗で試合に向かうは渕上。格上の相手に対し引き分けに持ち込み可能性を大将戦へとつなぐ。
 振り返れば苦しい道のりだった。部員不足、大会の早期開催により削られた練習時間。不安の中で必死に練習してきた。
 そんな彼らの2部リーグ戦最後の試合を主将・高橋が合わせ技一本で、文句なしの勝利。最終的な勝敗数は同じだったが試合内容の勝る立大が西南学大を下し優勝をつかみとった。
 しかし、今年の柔道部にとってこの優勝は始まりにすぎない。1部昇格を果たす、その目標を胸に青学大との入れ替え戦が今、幕を開けた。

たゆまぬ精神
 入れ替え戦は5人戦の2部リーグ戦とは異なり7人戦で行われる。一層大きなハンデを背負った本学だが、負けるわけにはいかない。彼らが越えるべき壁はここにある。
 1部への昇格に必要な条件はただ一つ、全員の勝利だ。先鋒、次鋒と不戦敗で迎えた三戦目の選手は進藤。プレッシャーのかかる中、奮闘を見せる。激しくぶつかり合う試合の中で、進藤は軟骨を折るけがを負ってしまう。しかし「何としてでも勝とう」という勝利への強い気持ちで戦い抜いた。結果は優勢勝ちで、中堅の待田につないだ。体の小さい待田は自分よりも大きな相手のすきを突いて攻めるが、決定打を出せずに引き分ける。続く三将・渕上は粘り強く戦うものの優勢負けを喫した。この時点で本学の1部昇格への道は絶たれていたが、大将・高橋は最後まで気を抜くことはなかった。けがの痛みも忘れるほどに目の前の相手に集中し、巧みな合わせ技一本で勝利した。
 最終的には2勝4敗1分けで昇格を逃してしまった。高橋はこの結果を「残念だ」としながらも「来年こそは果たしてくれるはず」と、後輩への信頼と期待をこめた言葉を残した。昨年と比べても試合内容は変わり、質が上がった。人数は減少したにもかかわらず勝ち星は増え、敗退した選手も一人のみ。部として確実に成長を遂げている。
 人数不足を彼らは言い訳にはしない。少ないからこそ「自分がやらねば」と皆が感じ、一つの目標に向かっていく――。通じ合った心が生み出す結束力はさらに彼らを強くする。


                                        (今山、鈴木(明))









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