立教スポーツ第171号
<4月1日更新>

ホッケー部女子 華麗に決めた1部昇格

 

ホッケー部女子 華麗に決めた1部昇格
つかみかけた「昇格」の二文字がこぼれ落ち、涙をのんだあの日から数ヶ月。彼女たちはついにその栄光を手にした――。
 昨年9月17日〜11月23日にかけて法大多摩グラウンドなどで平成19年度秋季関東学生ホッケーリーグが行われた。本学ホッケー部女子は2部リーグで全勝無失点優勝。そして、入れ替え戦を制し念願の1部昇格を果たす。創部17年目にして、彼女たちは強いきずなで1部への壁を打ち破るという初の快挙を成し遂げた。


頂点見つめ
2季連続で2部2位という結果に沈んだ本学。しかし、今季彼女たちは悔しさをバネに着実に成長していた。目標はただ一つ、優勝そして昇格だけだ。
 リーグ初戦、本学は東女大に挑む。試合開始1分、先制点を挙げたのは本学であった。その後も安定したボール運びで得点を追加していく。後半、相手がボール運びをキープする時間が増えるが正確なパス回しとカットを重ねて6−0と圧勝。実力の差を見せつけた。この結果に主将の和田(観4)は「得点力強化のためにシュート練習を重点的に行った成果が出た」と笑顔を見せる。「次の試合では10得点を目指したい」と彼女は力強く抱負を語った。
 続く武蔵大戦でも試合は終始本学のペースで進み、5−0で快勝。コンビネーションプレーがさえ渡り大量得点を挙げる。しかし、SC(ショートコーナー)からの得点が1点にとどまったことで不安を残す試合内容となった。
 そして、この不安は次の津田塾大戦で的中。1−0で勝利を収めるもここにきて得点力不足を痛感することとなる。
 迎えた順位決定予選、対するは上智大だ。開始直後から何度もゴール前へ攻め込む本学であるが、決定打が出ずに0−0で前半を折り返す。しかし、ここで負けられない本学。流れを引き寄せて2−0で接戦を物にし、入れ替え戦出場を決めた。和田は「絶対に2部優勝する」と宣言。チームは合宿で最終調整を行い、順位決定戦に備える。
 


熱戦を制する時
 とうとう訪れた順位決定戦。本学は東女大と再戦する。当初本学優勢と予想されたが、リーグ優勝をかけた一戦に意地と意地がぶつかり合う。
開始直後から一進一退の攻防を繰り広げる両チームはなかなかゴールを奪えずに前半を終える。後半、選手たちに焦りが見え始めるが、時間だけが刻々と過ぎて延長戦に突入。延長前半7分、相手にSCの権利を与えてしまう。立教イレブンに緊張が走るが強い気持ちで守り切る。そして延長後半30秒、ついに小祝(こいわい=法4)がゴールに押し込んで得点。見事全勝優勝を果たす。ここで本学は1部の扉に手を掛けた。
「昇格するしかない」と熱い思いを胸に臨んだ運命の入れ替え戦。緊迫した空気の中、東海大との戦いが始まった。走ってパスをつなぐ相手に対して本学はディフェンスに徹する。息もつかせぬ戦いに声援が一層大きくなった前半33分。相手のすきをついて本学は果敢にゴールを狙うが、GKにはじかれてしまう。だがそのボールを小祝が押し込み貴重な1点を挙げる。その後、少しずつ調子を上げた本学はSCで相手を脅かす。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、重圧から解き放たれた選手たちのほおに喜びの涙が伝う。
「やり残したことは何もない」と晴れ晴れとした表情で語る和田。そして「立教史上最高のチームだ」と激戦を戦い抜いた仲間をたたえる。仲間がいることが何よりの力になったのだ。
最高の結果をつかみ取った本学。近いようで遠かった昇格への道程を経て、彼女たちは新たな歴史を築き上げた。    

                                        (西村(彩))


共に歩みて
リーグ全勝無失点優勝という輝かしい結果を残した本学。その攻撃の要がFWの小祝と中村(済3)だ。二人は本学が得点した16点中13点で得点、またはアシストを記録し、活躍した。
 特に小祝は最後の二戦で決勝点を挙げてチームの1部昇格に貢献した。「みんなの思いが一つになったから安心してチャンスを生かせた」と振り返る小祝。得点できず自己嫌悪に陥った時もチームに助けられたと感謝する。
 また、守護神・石川(法4)はどんな劣勢でも好セーブでゴールを守り続け、多大な功績を残した。だが、リーグ無失点を達成したことを「私の力ではない。FWやDFが相手にプレッシャーをかけてくれたから」と言い切る。
 二人が言うように立教ホッケーは「支え合う」ことで成り立つ。攻守に連携のとれたプレー。その根底には思いやりがあるのだ。そしてこれはチームの得点源である中村をはじめ、後輩たちにすでに受け継がれている。支え合うことで強くなった彼女たち。1部でさらなる成長を見せるに違いない。 

                                        (西村(彩))


陸上競技部 箱根路で魅せた!!「R」の勇姿

その瞬間、止まっていた時が動き出した。1月2日・3日に行われた第84回東京箱根間往復大学駅伝競走。正月の風物詩となっている歴史のあるこの大会に、40年ぶりに「R」のユニホームが姿を現した。本学の主将・中村(嘉)(コ3)が関東学連選抜(以下学連選抜)に選出され、戸塚〜鶴見間の9区を力走。本学にとって1968年以来の快挙を果たした。


新春の挑戦
 年が明けて間もない1月3日。中村(嘉)は復路・9区のスタート地点である戸塚中継所に立っていた。前日の往路で学連選抜は並み居る強豪校と対等に渡り合い、4位という好成績でゴール。復路でも快調にたすきをつなぎ、8区で3位に浮上する。予想以上の好順位と、今までに経験したことのない大舞台に中村(嘉)の気持ちは高まっていく。
 ついにその時は来た。学連選抜の第8走者が中継所に姿を現す。「笑顔で渡そうと約束していた」と話す通り、中村(嘉)は満面の笑みでたすきを受け取り力強く走り出す。箱根路への挑戦が幕を開けた。
 スタートしてすぐに山梨学大の選手に抜かれ、順位を4位に落とす。だが「タイムは自分の方が上。引っ張ってもらおう」と焦らず追走を始めた。さらに区間1位となった中央学大の選手にもかわされるが、これも計算の内。ペースをしっかりとつくり、後半まで体力を温存する。
 沿道からの声援を受けながら順調にコースを進み、ゴールまで約9`の横浜駅前に差し掛かる。ここから中村(嘉)はスパートをかけた。かなりのハイペースで山梨学大の選手を置き去りにし、ただひたすらにゴールを目指す。自分の持てるすべての力を注ぎ込み必死に駆け抜けた。
 とうとう鶴見中継所が視界に入る。最後の踏ん張りで次の走者の元へと進んでいく中村(嘉)。約束通りに笑顔でたすきを託し、区間9位となる1時間11分29秒の記録で走り終えた。鳴り止まぬ歓声を背に万感の思いが巡る。たすきをつなげたことに安心したのか興奮冷めやらぬ彼の目には涙が浮かんでいた。

彼を支えたもの
 「これまで本当につらかった」。そう中村(嘉)は振り返る。昨年11月の学連選抜メンバー入りから苦悩の日日は始まっていた。
 各大学から選出された16人のうち、実際に箱根を走ることができるのは10人。その座を懸け中村(嘉)は懸命に走ったが、12月9日の仮メンバー発表で彼の名が呼ばれることはなかった。厳しい現実に「すごくショックを受けた」と落胆を隠せなかった。
 そんな状況から彼を救ったもの――。それは応援し続けてくれた部員や監督の存在だった。彼らのためにも「ベストを尽くす。それでも選ばれなければ仕方ない」と決意する。残されたわずかなチャンスを物にするため、12月15日の最後の合同練習日で中村(嘉)は全身全霊をかけて走った。
 そして迎えた12月26日の正式メンバー発表。天は彼を見放さなかった。練習での努力が認められ、復路の9区を任されたのだ。一時は苦汁をなめただけに「余計にうれしかった」と後に彼は語る。流した汗は決して無駄ではなかった。
 中村(嘉)のように選ばれた者がいれば、選外となった選手もいた。だが彼らはその事実を受け止め、仲間たちのサポートに徹してくれた。本来はあくまでも即席のチームに過ぎない学連選抜。その中で、いつの間にか強いきずなが生まれていた。「走れない人の分もがんばろうと思った」と中村(嘉)は当時を思い返す。彼が見せた快走の裏には男たちの熱い友情があった。
 険しい道のりであったが幾多の思いに後押しされ、たどり着いた念願の地。そこでの体験は抱えきれないほど大きな財産となった。沿道に駆け付けてくれた人人や、ともに戦ったチームメイト。「(彼らへの)感謝の気持ちを忘れない」と中村(嘉)は話した。その表情はどこか照れくさそうで、しかしとても幸せに満ちあふれていた。   

                                           (尾形)

ラグビー部 涙のAグループ復帰

 
昨年9月9日〜11月24日にかけて熊谷ラグビー場などで行われた関東大学対抗戦Bグループ。本学はこの対抗戦で全勝優勝し、さらに12月8日の入れ替え戦にも勝利。見事Aグループ昇格を決めた。降格から一年。悔しさを胸に戦ってきたBグループに別れを告げた瞬間であった。


再起への階段
「REVIVE」。それが本学の掲げたスローガンであった。一年に一度しかない昇格のチャンスをものにし、再びAグループへ返り咲くという願いが込められている。明確な目標の下昇格に向け練習を積んできた。すべては対抗戦を全勝で突破し入れ替え戦に駒を進め、
そして勝利をつかむため。主将・安武(やすたけ=法4)が「今年はバランスが良く、可能性を秘めたチーム」と評するその実力を見せる時が来たのだ。
 始まった対抗戦の初戦の相手は上智大。本学はこの試合に81−0という大差で勝利し、上々のスタートを切る。続く明学大、一橋大東大、成城大と順調に勝利を重ね、6戦目の武蔵大にも勝利し入れ替え戦出場を決めた。全試合が30点以上の差をつけた圧勝で、選手たちも昇格への手応えを十分に感じていた。
 そして全勝のまま迎えた最終戦。相手は本学と同じくここまで無敗の学習院大である。入れ替え戦出場が決まっている油断からか苦戦を強いられた。だが14−10で辛くも勝利。対抗戦1位通過となったものの、初めて接戦を経験し選手たちは気を引き締めた。
 入れ替え戦に向け「すべての気持ちをぶつける」と安武は意気込む。数々の苦難を乗り越え、たどり着いたAグループへの扉。その先にある栄光を求めて選手たちは運命の一戦に挑む。


仲間たちと掴む 
迎えた入れ替え戦当日。この試合で敗れれば、一年間やってきたことが無駄になると言っても過言ではない。相手はAグループ8位の青学大。大事な試合であるのは相手にとっても同じだ。それでも再びAグループでプレーするために、本学は絶対に負けるわけにはいかない。
 一年前は逆の立場で入れ替え戦を戦い8−13で成蹊大に敗れた。降格の悔しさを味わった時と同じ熊谷ラグビー場。応援のため駆け付けた多くの観衆が見守る中、試合は始まった。
 試合序盤は両チームとも得点機会を作れない締まった展開となる。本学はFW戦で優位に立ち試合をうまくコントロールする。均衡状態が続いていた前半17分敵陣ゴール前でのスクラムからのアタックで茂野(法4)がトライを決め先制。続く29分、敵陣ラインアウトからFWが前進し素早く金澤(コ4)から広石(法3)へボールをつなぎ、左隅にトライを奪う。さらに37分にも緒方(観2)がトライを決め、前半を17−0で折り返した。
 後半に入っても本学のペースで試合は進む。後半13分には、安武がゴール中央にトライを決め引き離す。その後青学大に2トライを奪い返されるものの、選手たちの気持ちが切れることはなかった。
 鳴り響く試合終了を告げる笛――。その瞬間、客席から歓声が巻き起こる。選手たちは崩れ落ち、互いに抱き合い、そして歓喜の涙を流した。「出られなかった選手もマネジャーもみんなで勝てた」。そう語る主将の言葉通りチーム全員で円陣を組み部歌を歌い勝利の喜びを分かち合う。さまざまな思いの詰まった歌声は、熊谷の地にいつまでも響き渡っていた。

                                             (加納)

熱き魂の伝承
 「最高です」。入れ替え戦を終えた後、試合の感想について主将・安武(写真)は笑顔でそう答えた。
 一年間主将としてチームを引っ張ってきた彼にとって、この一勝は計り知れないほど大きなものであった。「すべてが終わったと思った。先が真っ暗になった」と言う、昨季の降格から一年。Aグループ復帰という悲願を達成した直後は「解放されたという安心感がある」と主将ならではの本音を語った安武。四年間の大学生活をラグビーにささげた男の競技に懸ける思いは強い。それだけに自身が感じる重圧も大きかったのだ。
 Aグループという舞台で来季は後輩たちが安武ら4年生の抜けた穴を埋め、戦っていく。「土台はできた。立教はこれからも強くなれる」と彼は話す。部にとって大きな意味のある勝利で引退を飾った安武は夢の続きを後輩たちに託した。   

                                                                                                  (加納)

スケート部フィギュア部門 感動をありがとう鳥居 全日本13位 

フィギュアの選手であれば誰しもがあこがれる夢の舞台――。昨年12月26日〜28日、なみはやドームにおいて第76回全日本フィギュアスケート選手権大会が行われた。今季で15年の選手生活を終える鳥居(済4)は男子の部に出場。有終の美を飾るべく彼は銀盤へと滑り出した。

不屈の滑り
 大会初日のショートプログラム(以下SP)。鳥居は開始直後のトリプルサルコーと3―2回転のコンビネーションジャンプで転倒してしまう。その後もリズムに乗れないまま演技を終えた。三つのジャンプすべてが基礎点からマイナスされたことが響き、得点41・92で18位と出遅れる。
 このとき、鳥居は右足首を故障していた。一時は歩けなくなるほどに症状が悪化。右足のエッジを突いて跳び上がるルッツやフリップの練習は大会一週間前まで控えていた。「やるしかない」と腹をくくっていた鳥居であったが、厳しい現実を前にして決意が揺らいでしまった。
 そして始まった大会二日目。鳥居は多くの人から励まされ、「(全日本は)最後だから楽しもう」と気持ちを切り替える。まさに正念場となるフリースケーティング(以下FS)本番で鳥居は意地を見せた。まず初めの3連続ジャンプを鮮やかに着氷すると、トリプルサルコーとダブルトーループのコンビネーションジャンプなどを次々を決めていく。ステップで点の取りこぼしがあったが、ジャンプの成功もあり94・80をマーク。見事巻き返し、総合得点136・72で総合13位という結果を残す。
 大会後、「すべてを出し切った」とあんどの表情で語る鳥居。逆境の中でもベストを尽くしたこと。そして自己をコントロールして士気を高めたことが状況を好転させた。鳥居はまた一回り成長したのだ。
 

ラストダンス
 
全日本を終えた鳥居は本学代表として滑る最後の大会に臨んだ。1月5日〜8日にかけて沼ノ端スケートセンターで行われた第80回日本学生氷上競技選手権大会。鳥居はAクラス男子の部に出場した。
 まずSPではトリプルサルコーを落ち着いて成功させ、6位につける。続くFSではプログラム全体をまとめ上げることに集中し、「1秒を大切に滑りたい」という言葉通りの演技を披露した。その結果、総合得点136・91でSPから順位を一つ上げ、総合5位に輝く。鳥居らしさを全面に押し出した滑りが得点に結びついた。
 何度も挫折を経験し、成長してきた15年間。彼はどんな時でも「スケートは自分らしさを最大限に表現するもの」と考え、見る人にメッセージを送り続けてきた。その鳥居の引退試合となったのが国体である。序盤、硬さが残るもノーミスでSPを終えた。本人も会心の出来に会場からはスタンディングオベーションが起こる。FSではラストの試合を楽しんで滑り切り、10位という成績を残した。
 「自分が音楽を表現してさらに引き立てることができる」とスケートの魅力を語る鳥居は、芸術的側面を重視してきた。引退を迎え「人の心を動かす演技ができてうれしい」と15年間の競技人生を振り返る。思いを込めて滑り続けた鳥居。人々を魅了してやまないその演技はリンクに、そして観客の心に深く刻み込まれた。     

                                            (西村(彩))










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