【陸上競技部】岡田 国体成年女子10000mW 2年連続2位
安定した歩みは今年も健在だった。岡田久美子(社2)が国体成年女子一万㍍競歩で2年連続の2位入賞。強豪相手に互角の勝負を演じ、今後待ち受ける大会に弾みをつけた。
示した存在感
日本の競歩界をけん引するのは大利(富士通)、渕瀬(大塚製薬)、川崎(富士通)の3選手。今大会はこの3人に存在感を示すことが岡田の目標だった。
レース序盤「速いペースに驚いて、付いていけなかった」と大利の飛び出しに圧倒される。また「気持ちで負けた。一秒でも一歩でも大利さんの前を歩きたかった」と勝負に対し消極的になったことを悔やんだ。
岡田は渕瀬と激しい2位争いを繰り広げることに。渕瀬にぴったりと付き、様子をうかがった。レース中盤、競歩の醍醐味(だいごみ)の駆け引きが勝負を白熱させる。手に汗握るデッドヒートは渕瀬に軍配が上がり、岡田は3位でフィニッシュ。しかし、渕瀬の失
格によって2年連続の2位が決まった。「今大会はトップの3選手を焦らせるレースをしたかった」。渕瀬とは互角の勝負を演じた岡田。トップ選手を相手に十分戦えることを確かに証明した。
来年2月には、ロンドン五輪の選考会を兼ねた日本選手権が控えている。岡田は「(今大会で)優勝を逃したのは悔しい」と話す一方で「負けたことでやる気が出た」と振り返る。「日本選手権に向けてモチベーションが上がった。今燃えている!」と闘志を前面に押し出す。確かな自信と今後への意欲を高めた岡田。日本選手権に大きな一歩を踏み出した価値ある大会となった。
すべてを競歩に
ロンドン五輪――岡田が競歩を始めてから目標としてきた夢の舞台。その切符を懸けた戦いが刻々と迫っている。
五輪出場には、二つの大きな壁を乗り越えなければならない。一つは参加標準記録の1時間33分30秒を切ること。岡田の自己ベストは1時間34分30秒。20㌔競歩の経験は浅く成長途中のため、練習を重ねれば記録突破の可能性は高い。もう一つは強力なライバルたちを抑え、2位以内に入ることだ。世界で戦う経験豊富な相手に岡田がどのように勝負を挑むかがレース最大の焦点となる。
トップ選手と競い合い、レベルの高さを肌で感じた岡田。それがいい刺激となり、モチベーションを高く維持できている。五輪を視野に入れたハードな練習から、それは明らかだ。長い距離に慣れるため、週に1度25㌔を歩くなど、1週間で累計88㌔の距離を踏んでいる。「最初は憂鬱(ゆううつ)だったけど、ほかの選手もやっているから負けられない」と厳しい練習にも決して妥協しない。
また調整と視察を兼ねた元旦競歩に出場するため、正月も返上。日本選手権に向けて万全を期す。
ここまで彼女を突き動かすのは競歩が好きという強い思いだ。「大学生活、今しかできないことは今やるべき」。今この瞬間を競歩にささげる岡田の努力が実る時、ロンドン五輪への道が開かれる。(髙野佑太)
【軟式野球部】秋リーグ戦連覇 全日本出場
彼らが今年もやってくれた!! 軟式野球部がリーグ戦秋連覇、全日本出場の「Wで史上初」の快挙を達成。優勝を決めた試合では東大に1―0と接戦をものにした。彼らはこのリーグにさまざまな「思い」を懸けていた。
ひとつになって
「俺たちの秋」。この城崎(法3)の言葉には深い意味が隠されていた。
6連勝でマジックを1として迎えた東大戦。先発のエース・中道(コ4)は安定感のある投球でスコアボードに「0」の字を描く。一方、打線は突破口を開けず投手戦の様相を呈した。
だが4回、試合が動く。立大の4番・鈴木(法3)が二塁への強烈な打球で出塁するとベンチは盛り上がる。その後6番・城崎の内野安打などでこの試合初めて三塁に走者を進めた。続く菅原(コ3)に主将兼監督の小島(コ3)はささやく。「ノーサイン」。打球は浅い中飛。三塁走者の鈴木は「ここしかない」とスタートを切る。際どいタイミングだったが主審の両手が広がり、立大は大きな「1」点を刻んだ。
その裏、1死三塁のピンチも捕手の城崎がけん制で走者を刺し、相手に流れを与えない。「ありがたかった」と中道。息の詰まる投げ合いは続き9回裏、マウンドにナインが集まる。「ここにいる9人だけじゃない。チームメイトみんなのためにアウトを」。最後の打者を外角いっぱいの直球で三振に切ると選手たちは史上初の喜びをかみしめた。
「今の3年生が絡んでの試合がなく今年が最初で最後のチャンス。優勝を狙う」。そんな思いが「俺たちの秋」に込められていた。(川村亮太)