立教スポーツ第192号

<6月7日更新>
   

    
【ボート部】  
決戦の夏へ!! 女子舵手付きクォドルプル
男子シングルスカル 栗山 銅
 

 春の戸田。強風で各校が散っていく中、立大の桜は咲き誇っていた。今季初戦となる今大会。全国レベルの強豪と肩を並べ、女子舵手(だしゅ)付きクォドルプルと男子シングルスカルがそろって3位入賞。今年の活躍を大いに期待させるスタートを切った。

冬を越えた蕾
 昨年のインカレで決勝進出を逃し、涙をのんだ女子舵手付きクォドルプル。あの悔しさから8カ月、彼女たちは表彰台の上で笑顔を見せていた。今大会での3位入賞は、5人が手応えをつかむには十分な結果だった。  
  「2年生のメンタルが本当に強くなった」と語るのはクルーリーダーの山野(現4)。今クルーの漕手(そうしゅ)4人は昨年のインカレ同種目で6位入賞を果たしたクルーのメンバーだ。1年生のころから上級生と共に漕(こ)いでいた島津(コ2)と松本(観2)は、先輩たちのボートに対する真面目な姿勢を間近で見てきた。それによい刺激を受けた彼女たち。上級生の背中を追うため、冬の間は基礎体力の強化とフォーム修正に力を注いだ。その結果、今では4年生にしっかりと着いていくことができるようになった。
  4人の漕手に加え今年新たな戦力となったのが、舵手の村崎(法1)。先輩にも臆することなく意見を言える強さを持った選手だ。「クルーの雰囲気を変えようとしているのが分かる」と岩坪(文4)は感心。4人の起爆剤になってくれるだろう。
  立大にとって最重要の大会はインカレ。目標はその表彰台に登ること。「10歩で目標達成だとしたら、もう5〜6歩まで進んでいる」(山野)。彼女たちの艇が向かう先、そこには栄光のゴールがあるに違いない。

ラストイヤー
 エースが魅せた。全国レベルの大会で強豪と競い銅メダルを獲得。華々しい結果だが、ここは彼の終着地点ではない。
  「何も考えず、捨て身で挑んだ」と栗山(済4)が語った準決勝。レース序盤から果敢に前に出る。強い向かい風の中、栗山は集中を切らすことなく最後までゴールに突き進んだ。「3位かなと思ったら2位だった」と本人すら驚きの決勝進出。決死の覚悟が導いた結果に、彼は大きなガッツポーズを見せた。
  迎えた決勝。対戦相手はUー23日本代表経験者が4人。猛者に囲まれてのレースだったが、栗山はひるまない。得意のスタートダッシュで食らいつく。途中で後れをとるも、ラスト300bで隣のレーンの諏訪(NTT東日本)を視界に捉えると、一気にスパート。諏訪こそ抜けなかったものの順位を上げ、3位でゴールラインを越えた。
  以前は好スタートの貯金で逃げ切るレースをしていた彼だがオフシーズンに中盤での粘りを強化。レース全体を通して組み立てる能力を身につけた。冬の成果が発揮されての結果に「うれしかったですね。多分(笑)」とニンマリ。普段は満足感を表に出さない彼も、この日は喜びを隠しきれなかった。
  栗山の競技歴は10年。「人生の半分ボートをやっていた」。これまでも輝かしい成績を残してきた彼だが、まだ全国レベルの大会では無冠。栗山の目標、それはインカレ優勝。「ボート人生の集大成を形に残せるように」。エースのラストイヤーが幕を開けた。(熊手ちはる)






【自転車競技部】
渡辺だけじゃない!! 最強世代支える長距離のエース 
森田 全日本アマチュアロード U23 9位


  23歳以下におけるロード最速を決する大会で森田雅士(文2)が快走!! 黄金世代に新たな強さが加わった。

 

飛翔の序章
 完走を目指して走った去年のインカレ。その目標を達成してから、オフを経て、今回の成績をつかんだ。今年は森田の躍動の年となりそうだ。  
  今回のロードレースは170`にも及ぶ山道を平均時速約40`で走行する。4時間を超える過酷なレースの中、選手は食事をとるなどしながら勝利を目指す。そもそも完走することすら難しいロードは、その協議の特性からトラックレースと大別される。  
  授業が始まったため練習に集中できない日が続くも「テクニックに関しては去年より良くなっている」と話す森田。今回の結果に対しても「1桁順位を取れて良かった」と胸をなで下ろした。  
  だが、森田はこの結果に満足していない。入賞である8位の壁には届かなかったからだ。「賞状をもらっていない」。  
  コースが平たんと下り中心だったこともあり逃げが決まりにくいと踏んだ森田。レース序盤から数名の選手が逃げを図るが、多くの有力選手がメイン集団に残る。森田も深追いは避け、その集団にとどまる。結果、レースの縦長の展開に。そのままの形を保ってレースは静かに後半へと向かった。  

 

もっと上へ

後半に入るとメイン集団内で単独で逃げを図る選手が現れ始める。それにより集団のペースは一気に加速。競争は激化する。集団から3人ほどが抜け出しを狙った。  
  森田はそれをあえて少し逃がす。直後、下りでペースが落ちたところを狙い一気に集団で逃げをかける。逃げ出しを狙った選手、さらには先頭集団をも差しにかかった。  
  森田のカウンターアタックに集団は反応。5人ほどの追走態勢が整う。終盤には吸収し競り合いの中、ゴールへ。  
  迎えた最後の登り。集団は分散する。得意なはずの登りだった。しかしすでに足を使い切っていた森田はその集団の1番後ろ、9位でのフィニッシュとなった。  
  「地足の差が出た。まだまだという感じ」と悔しさをにじませた。だがこの結果は森田にとって大きな自信となった。  
  次なる目標は6月上旬に行われる個人ロードと8月末のインカレで表彰台に登ることだ。「大会までの時間しっかり調整して結果出す。(主将で絶対的なエースの)渡辺さん(社3)にも勝たなきゃ1番になれない」と語る森田。激しい競争意識も立大の強さを支えている。(川村亮太)  

                          

 



 

【洋弓部】
未来を射抜く 史上初 王座 出場決定


洋弓部の歴史に新たなページが刻まれた。王座出場決定。全国の強豪校がしのぎを削る大会に、立大が初めて足を踏み入れる。リーグ戦を通してまた一回り大きく成長を遂げた彼女たち。チーム一丸となって、まだ見ぬステージへと歩みを進めていく。

己との戦い
史上初の快挙。これを達成する道のりは自分たちとの戦いだった。  
  初戦は不戦勝で勝ち星を得ると、その日行われた記録会で2483点のチーム新記録をマーク。王座出場に向け確かな手応えを感じた。「王座を目指すのにふさわしい点数を取りたい」と女子リーダーの作田(観4)は意気込んだ。  
  第2戦の相手は全国トップの強豪・日体大。それでもひるまずに挑んでいく。敗れはしたが、2484点で初戦の点数を上回る。選手たちは進化を実感した。
  しかし第3戦。格下の上智大に苦戦を強いられた。気持ちが空回りし、思うように得点が伸びない。チーム新を更新し続けてきただけに、選手たちの顔に悔しさがにじんだ。  
  運命の最終戦。雪辱を晴らすべく、各々の課題に取り組んだ。4年生の2人が活躍を見せ成蹊大を相手にハイペースで試合は進む。得点板には高得点を意味する赤字が並んだ。2486点。最後にまたもチーム新記録を更新し、立大は王座出場を決めた。
  厳しいリーグ戦を通して遂げてきた成長。それは1点ずつ形となって表れた。新たに塗り替えられた部の歴史。夢の舞台へと場所を移し、戦いは続いていく。  

結束が結果に
昨年のブロック5位から立大が飛躍を遂げた理由。それはチーム力の向上だ。
  チームを技術面でも精神面でも引っ張ってきた作田と小山(現4)。 たった2人の同期だったからこそ良きライバルであり仲間だった。「小山がいなかったら女子リーダーをやれていなかった」と語る作田。2人の絆は強かった。
  2人の姿はチームに好影響を与える。太田(文3)は「先輩たちを越えたい」と練習に熱を入れた。大学から洋弓を始めた後輩たちも今やチームを支える重要な存在だ。中でも斎藤(現3)は上智大戦で自己新記録を更新。不調に苦しむチームを救った。同じ目標に向かう彼女たちも、練習を終えれば上下関係なく冗談を言って笑い合う。日々の生活を通して築き上げたチームワークが、立大を強豪と互角に渡り合うまでに強くさせた。
  そんな彼女たちが向かう王座決定戦。試合形式も70bの長距離になる。出場校のレベルも格段に上がり、厳しい戦いとなるだろう。しかし、彼女たちにはチーム力という武器がある。
  「王座で一つでも多く勝つことが目標」と語る小山の志は高い。新たなステージへと彼女たちは駆け上がっていく。  (菅沼遥)

 



 

 


 
 






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