エースが魅せた。全国レベルの大会で強豪と競い銅メダルを獲得。華々しい結果だが、ここは彼の終着地点ではない。
「何も考えず、捨て身で挑んだ」と栗山(済4)が語った準決勝。レース序盤から果敢に前に出る。強い向かい風の中、栗山は集中を切らすことなく最後までゴールに突き進んだ。「3位かなと思ったら2位だった」と本人すら驚きの決勝進出。決死の覚悟が導いた結果に、彼は大きなガッツポーズを見せた。
迎えた決勝。対戦相手はUー23日本代表経験者が4人。猛者に囲まれてのレースだったが、栗山はひるまない。得意のスタートダッシュで食らいつく。途中で後れをとるも、ラスト300bで隣のレーンの諏訪(NTT東日本)を視界に捉えると、一気にスパート。諏訪こそ抜けなかったものの順位を上げ、3位でゴールラインを越えた。
以前は好スタートの貯金で逃げ切るレースをしていた彼だがオフシーズンに中盤での粘りを強化。レース全体を通して組み立てる能力を身につけた。冬の成果が発揮されての結果に「うれしかったですね。多分(笑)」とニンマリ。普段は満足感を表に出さない彼も、この日は喜びを隠しきれなかった。
栗山の競技歴は10年。「人生の半分ボートをやっていた」。これまでも輝かしい成績を残してきた彼だが、まだ全国レベルの大会では無冠。栗山の目標、それはインカレ優勝。「ボート人生の集大成を形に残せるように」。エースのラストイヤーが幕を開けた。(熊手ちはる)
【自転車競技部】
渡辺だけじゃない!! 最強世代支える長距離のエース
森田 全日本アマチュアロード U23 9位
23歳以下におけるロード最速を決する大会で森田雅士(文2)が快走!! 黄金世代に新たな強さが加わった。
飛翔の序章
完走を目指して走った去年のインカレ。その目標を達成してから、オフを経て、今回の成績をつかんだ。今年は森田の躍動の年となりそうだ。
今回のロードレースは170`にも及ぶ山道を平均時速約40`で走行する。4時間を超える過酷なレースの中、選手は食事をとるなどしながら勝利を目指す。そもそも完走することすら難しいロードは、その協議の特性からトラックレースと大別される。
授業が始まったため練習に集中できない日が続くも「テクニックに関しては去年より良くなっている」と話す森田。今回の結果に対しても「1桁順位を取れて良かった」と胸をなで下ろした。
だが、森田はこの結果に満足していない。入賞である8位の壁には届かなかったからだ。「賞状をもらっていない」。
コースが平たんと下り中心だったこともあり逃げが決まりにくいと踏んだ森田。レース序盤から数名の選手が逃げを図るが、多くの有力選手がメイン集団に残る。森田も深追いは避け、その集団にとどまる。結果、レースの縦長の展開に。そのままの形を保ってレースは静かに後半へと向かった。
もっと上へ
後半に入るとメイン集団内で単独で逃げを図る選手が現れ始める。それにより集団のペースは一気に加速。競争は激化する。集団から3人ほどが抜け出しを狙った。
森田はそれをあえて少し逃がす。直後、下りでペースが落ちたところを狙い一気に集団で逃げをかける。逃げ出しを狙った選手、さらには先頭集団をも差しにかかった。
森田のカウンターアタックに集団は反応。5人ほどの追走態勢が整う。終盤には吸収し競り合いの中、ゴールへ。
迎えた最後の登り。集団は分散する。得意なはずの登りだった。しかしすでに足を使い切っていた森田はその集団の1番後ろ、9位でのフィニッシュとなった。
「地足の差が出た。まだまだという感じ」と悔しさをにじませた。だがこの結果は森田にとって大きな自信となった。
次なる目標は6月上旬に行われる個人ロードと8月末のインカレで表彰台に登ることだ。「大会までの時間しっかり調整して結果出す。(主将で絶対的なエースの)渡辺さん(社3)にも勝たなきゃ1番になれない」と語る森田。激しい競争意識も立大の強さを支えている。(川村亮太)