立教スポーツ第197号

<6月6日更新>
   

    
【ソフトテニス部女子】  
負けん気全開!!私が一番!!
上野 関東学生シングルス 優勝
 

  潮風吹き荒れる白子町で新女王が誕生した。上野美穂(コ2)が関東学生シングルス選手権で優勝。1部リーグ上位の猛者たちとの熱戦を制し立大史上初の快挙を成し遂げた。

"徹庭"
 2年生にして関東学生268人の頂点に上り詰めた上野。その結果は地道にテニスと向き合い続けた彼女にとって、最高のご褒美となった。  
  昨年同大会のベスト8入りによりシード権を得て4回戦から出場。3人と戦い取られたのは計3セットのみ。準々決勝まで順調に勝ち進んだ。
  迎えた準決勝は、2歳上の姉、上野(日体大)と対戦。「私と当たるまでは負けないって言っていて、上がってこないと思ってたんですけど、びっくりしました」と驚くも、姉妹対決をセットカウント4−3で試合を制した。
  決勝で待ち受けていたのは昨年度インカレでベスト8の岸川(東女体大)。前日の団体戦ではストレート勝ちを果たし、勢いに乗ると思われた。しかし連戦による疲労で思うように足が動かない。
  「なんで調子が悪いんだよ、私との試合はもっとサーブ入ってたでしょ!」と姉からの厳しいげきが飛んだ。周囲の声援を背中に受け、思いをラケットに込める。残り少ない力を振り絞り、必死にボールに食らいついていく。試合はフルセットにもつれこんだ。
  「マッチポイントになるまで、優勝するとは思わなかった」。激闘の末、4−3でついに勝利をつかみとった。
  日体大や東女体大らの強豪を抑えての優勝。わずか1年間で頭角を現した上野の強さは、勝負に対する強い執着心にあった。

"追球"
 上野は自らの性格を「負けず嫌い」と評する。優勝という結果に喜びながらも「当たりたかった人が途中で棄権したのでそれがちょっと心残り」と悔しさをにじませた。
  また彼女は現状に満足せず常に完璧な勝利を望んでいる。試合中、油断するなと自分に言い聞かせるかのように先取点を奪っても表情を崩さない。雨が降りしきる試合でも、セット間の休憩では自分のリズムを整えるために淡々とアップを繰り返す。
  コートに立つと、水を得た魚のように全身に力をみなぎらせる。激しいラリーにも負けず、ぎりぎりまでボールを追う。徐々に相手を追い詰め、勝利をものにするプレースタイルを得意としている。
  大学入学から本格的に始めたシングルス。ダブルス以上に、諦めず粘り続けることが要求される。この春から男子相手に練習を重ねプレーに磨きをかけ、迎えた大舞台。その結果身についた厳しいコースのスマッシュや妥協しないサーブが彼女を優勝に導いた。
  ダブルスが主流のソフトテニスで今大会を一人で勝ち抜いた。しかし、「勝利よりも、皆がテニスを楽しんでくれるのがうれしい」と仲間想いな一面もある。
  持ち前の負けん気の強さとチームを思う気持ちは彼女をこれからも支え続けるだろう。団体でのシングルス戦を担う上野にチームの命運が懸かっている。立大悲願の団体戦優勝が叶う日は近い。 (築田まり絵)






【剣道部】
己で拓いた剣の道 齋藤 関東学生 3位


  創部史上二人目の快挙だ! 関東学生の舞台で、齋藤勝将(コ4)が3位入賞。無念の1回戦敗退を喫した昨年。大躍進を遂げて雪辱を果たした。

 

死力尽くして
「かなりキツかった」と齋藤は大会を振り返った。彼が戦い抜いた8試合のうち延長は5試合。楽な試合は一つもなく、体力も限界だった。  
  1回戦、相手は上段構えの選手。一瞬も気を抜けない展開のまま、勝負は1本先取の延長戦にもつれこんだ。ここで昨年の経験が役に立つ。 「去年も35分くらいの試合をして、その経験はすごく生きた」。30分を越え集中力が切れた相手から、最後はこてを奪って1本勝ち。当初の目標だった1回戦突破を果たした。  
  2〜4回戦も接戦を勝ち抜き、迎えた5回戦。相手は全国的に有名な秀徳(法大)だった。しかし齋藤は動じない。「胸を借りるつもりでいったら、意外とリラックスできた」と、相手の鋭い攻めをいなし続ける。そのまま試合は延長へ。彼は相手の出ばなのこてを捉える技ありの一打で、熱戦に終止符を打った。  
  続く準々決勝。齋藤の疲労はピークに達していたが、強い精神力でカバーし強豪選手を下した。この瞬間、立大勢としては35年ぶり、史上二人目となるベスト4進出が決定。準決勝で惜しくも敗れてしまったが、堂々の3位に輝き、その名を一挙に知らしめた。

 

雪どけの時

「自分にとって冬だった」と齋藤は不振にあえいだ昨年度をこう表現した。順調だった1,2年時とは一転、結果を残せずに無念のレギュラー落ちを経験した。しかし、あるきっかけが彼を不振から救った。  
  昨年末、埼玉県内の小さな大会で優勝したという齋藤。そこで生まれた交流をきっかけに、オフシーズンは学外へと稽古の場を広げた。相手が限られてしまう学内だけではなく、初対面の人と手合わせすることで、常に緊張感を保つことができる出稽古。本番さながらの環境で見に付けた試合に対する心構えが、今大会の躍進につながった。
  「うれしいよりも驚きの方が大きい」。齋藤は3位になった感想をこう話す。しかし、彼が地道に努力をしたからこそ得られた栄光だ。土屋監督(86年度卒)も「彼は自分で求めて稽古をしていたから。この結果は偶然ではない」と彼のひたむきな姿勢を称賛した。  
  「4分間で勝負をつける剣道をできるようにしたい」と秋の団体戦に向け課題を語った齋藤。全ては、昨年逃した団体での全日本学生出場を果たすため。苦難を乗り越え立大に頼もしい男が戻ってきた。 (岡田祐樹)  

                          

 



 

【テニス部女子】
初夏に輝く勝利 吉田 寺田 春関ダブルス ベスト4位


照りつける日差しの下、2人のエースが躍進した。春季関東大会で寺田美邑(コ4)・吉田恵美(法4)ペアがベスト4入り。立大の歴史を切り開く第一歩となった。

貫いたスタイル
強豪ぞろいの春関の舞台で、彼女たちが貫き通したもの。それは、今や2人の代名詞ともなった「攻めの姿勢」だった。初戦となった第2ラウンド。「動きの硬い部分もあった」と2人が語るように第1セットは一進一退の攻防。そんな時に生きたのが彼女たちの実力と積み上げた経験だ。
  昨年のインカレではベスト16入り。立大のエースペアに成長した寺田はここぞという場面で勝負強さを発揮する。ボールをつないでくる相手に対して、自分たちの形を作ろうと積極的にボレーやスマッシュを仕掛けた。「引いてしまったら負ける」。決して後ろには下がらなかった。
  前に出るテニスで徐々にペースをつかむと、力強いサーブとキレのあるショットで相手を圧倒。難しいとされる初戦を突破し、勢いに乗った。続く第3ラウンドとその後の準々決勝でも彼女たちは攻めのテニスを崩さない。要所で好プレーを見せ、勝利を収めた。迎えた準決勝の相手は昨年のインカレで対戦し敗れた因縁のペア。彼女たちらしいテニスで挑むも、ショットの力や技で及ばず敗戦。雪辱は果たせなかったものの、創部史上初の春関ベスト4.新たな歴史を刻んだ2人からは、初夏の日差しよりもまぶしい笑みがこぼれた。

立教の核
「忘れられないくらい悔しかった」。春に行われた新進選手権で第1ラウンド敗退。自分たちのプレーができなかったこの大会を契機に、2人は奮起した。
  ペアを組んで4年目。2人は実力をつけ、数多くの経験を積んできた。「相手がシングルスで強くてもダブルスでは負けない」。揺るぎない自信が彼女たちにはある。今季は立大でのラストイヤー。後輩を引っ張る立場となった。これまでは「個人で結果を出す」という意識で戦ってきた2人。だが今は「立教の核」としてチームを代表し戦うという自覚も強くなっている。加えて、後輩の存在やOB・OGの応援が彼女たちを後押しした。「感謝の気持ちは、プレーでしか表せない」。その思いが春関ベスト4という形で実を結んだ。
  それでも彼女たちはさらなる高みを目指す。今大会の自分たちの出来は「90点」。伸びしろを信じて、ストイックに努力を重ねる。「現状に満足することなく、よりよいものを作りたい」と語る彼女たちは目標へ向かって前進している。「インカレ優勝」へ。2人のあくなき挑戦は、最終章を迎える。(古川香菜子)

 



 

 


 
 






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