自己ベストと立大記録の更新、日本インカレB標準突破。男子2部百十bハードルで3位入賞を果たした長谷部(営3)だが、その快挙の陰には表彰台への強い思いがあった。
「決勝は順位だけを狙っていた」。第5レーンの長谷部の両隣にはインターハイ入賞経験のある高畠(東学大)と矢田(東学大)。「強い選手の隣で走れることは光栄」と謙遜しながらも、彼らには決して屈しない。今年は関カレ一本でいくと決め、コンディションを整えてきた。
スタートから真っすぐに前だけを見つめてハードルを軽快に跳び越える。次第に高まる歓声と共にスピードは加速していき、そのままゴールを迎えた。
「3着 長谷部君 立教大学 14秒39」。会心の記録を伝えるアナウンスが会場に響く。表彰台に立ち、鳴りやまない長谷部コールにガッツポーズで応えた。
【射撃部】
ハートで狙い撃ち!! 塚本 春関 女子 50MP60 2位
銃声こだまする春関の舞台で塚本麻由美(社3)が立大の歴史にその名を刻んだ。50MP60種目で自己新記録となる580点をマーク。3年間地道に撃ち続けてきた成果を実らせ、2位入賞の快挙をやってのけた。
めっちゃ悔しい!
各選手が昇順を合わせ、毎年ハイスコアが飛び交う春関。塚本が50MP60(スモールボアライフルを用いた50bの伏射)でその実力を知らしめた。
やり直しの利かない一発勝負。「最初は震えが止まらなかった」とその時の緊張を振り返る。射撃は精神的な強さがものを言うスポーツ。いかに集中力を持続させられるか、そしてそれを支えるだけの高いメンタリティーが要求される。
さらに50分以内で撃ち終えなければならないという制約もある。限られた時間でテンポよく撃つことに手を焼く射手が多い中、塚本は淡々と丁寧に自分のペースで撃ち続ける。優勝も視野に入る580点を叩き出してみせた。
全60発を撃ち終え、入賞への確かな手応えと共に周りの射手の様子を見渡す。隣のレーンで撃っていた高橋(日大)の581点が目に入った。「めっちゃ悔しい!」。目標だった自己ベスト更新と、立大史上最高順位となる2位入賞を果たした彼女。それでも僅差で優勝を逃した悔しさは隠しきれなかった。
喜びと悔しさが入り混じった複雑な心境。しかし、自分の入賞を喜ぶ仲間たちの姿が目に映ると、自然に笑みがこぼれていた。銀色のメダルを授与された彼女は「立教の名を残せてうれしい」と改めて自らの快挙を実感した。
ロックオン
文句なしの自己新記録。得意種目だというP60種目だが、始めたての昨季からすれば580点台は雲の上の点数だった。スモールボアライフルを扱い始めてから1年足らず。彼女は目覚しい成長を見せている。
大学から射撃を始め、真面目に自らとの戦いを積み重ねてきた。塚本のモチベーションは常に、過去の自分自身を超えること。「負けず嫌いとかはない。前の自分より成長したいという方が大きい」。
約7`の重さがある銃を支え、わずか0・5_の的の中心を狙う繊細な世界。わずかなズレが命取りになる。「標的を狙いすぎちゃダメ」。塚本がコーチから受けたアドバイスだ。自分の体が正しいポジショニングをとれていればおのずと10点に入る。競技中、疲れてきても銃口を下げないように自分に言い聞かせた。
彼女は射撃を「究極の個人戦」と表現する。仲間が後方でアシストについていても、競技中は孤独な戦いを強いられる。それだけに今後も自律的な姿勢がより必要になっていく。
次なる目標は、50M3×20(スモールボアライフルを用いた50bの立・膝・伏射それぞれ20発)での上位入賞。実力通りの力を出せれば十分射程圏内だ。充填(じゅうてん)期間は長くないが、目下の自分を超えるべく精神的な武器をさらに研ぎ澄ます。(大山稜)