【テニス部女子】
ウィナ―を狙え! 寺田 史上初 インカレ 8強
今季三つ目の立大史上初の快挙だ。寺田美邑(コ4)が春関・夏関でのダブルスベスト4に続き、全日本学生選手権シングルスでベスト8入りを果たした。多彩なテクニックと強い精神力で、全国の強豪たちを打ち破った。
後悔しない
今季がラストイヤーとなる立大の絶対的エース・寺田。大躍進の裏には、彼女が4年間の競技生活の中で培ってきた精神的な強さがあった。
予選を難なく勝ち上がり迎えた本戦。相手を冷静に分析し、1回戦ではサーブとコースの打ち分け、2回戦ではドライブボレーを効果的に使用し、3回戦に駒を進めた。
一人で抱えていた重圧から解放され、失いかけていた自分を取り戻した。そして仲間への一層の感謝を胸に最後の夏を迎えた。
次なる相手は亜大・伊波。寺田自身カギとなったと語る一戦は一進一退の激しい展開に。ファーストセットをタイブレークの末奪ったものの、セカンドセットは競り合いの中で落としてしまう。
今までであればこの状況で弱気になることが多かった彼女。しかし「弱気になったら絶対に後悔する」。経験のある強豪に対して強気なプレーを見せると相手にミスが出始める。最後は気持ちで押し切り、見事勝利を収めた。
8強入りを懸けた4回戦。3回戦での勝利で自信をつけた寺田だったが「簡単には勝たせてくれなかった」。リードして巻き返される場面もあり、勝負は最終セットへ。強気の姿勢はその局面でも光る。攻めのテニスを展開し、ベスト8の座を勝ち取った。立大のパイオニアがまた一つ金字塔を打ち立てた瞬間だった。
いざ最終決戦
これまでは同期の吉田(法4)と組むダブルスでの活躍が目立っていた彼女。しかし自分でプレーを組み立て、最大限に持ち味を発揮できるシングルスでも成果を残した。
寺田の持ち味は絶対に諦めない心。一球一球を最後まで追いかけ、粘り強くキャッチしていく。そんな精神的な強さがインカレでは存分に発揮された。また、技術面でも苦手としていたフォアハンドを徹底的に練習。得意のバックハンドのストレートにはさらに磨きをかけた。「これが本当に勝っていけた要因」。積み上げた努力が結実し、確かな成長につながった。
さらに普段の練習の中でアドバイスをしてくれた同期、球出しをしてくれた後輩。彼女たちの存在が寺田にとって大きな原動力となっていた。
その仲間と迎える現役最後の大一番がインカレ後のリーグ戦だ。寺田個人としてもチーム全体としても1部昇格に対する思いは強い。エースとして、主将として、一選手として。1試合1試合、一瞬一瞬が大切なものとなってくる。「後悔しないプレーをすれば絶対に勝てる」。次はチームとして、寺田がまた一つ立大テニス部の歴史に名前を刻む日は、すぐそこまで迫っている。(古川香菜子)
【柔道部】
小宮組、チーム愛で有終飾る 史上初 インカレ ベスト 8
小宮(コ4)率いる立大柔ら三人娘が栄光をつかんだ。創部史上初の全日本学生ベスト8入り。今年で柔道着を脱ぐ小宮とチームの努力が畳の上で結実した。
再登畳
「積み上げてきたものは実績だけじゃない」と4年間を振り返る小宮。そこにはチームの絆と柔道への思いがあった。
小宮は入部当初たった一人の女子部員だった。男子部員に一方的に投げられるばかりの練習はつらく、寂しいという思いが胸に募っていく。練習に対する熱を失い、目標も定まらず何度も退部を考えた。
しかしそんな小宮に転機が訪れる。黒澤(コ3)、小林慶(コ3)という後輩の入部だ。「本当にうれしくて、かわいくて」。彼女は食事に誘うなど後輩と交流を深め、絆を築いた。それはチームとしての力にもつながる。チームへの愛が団体での勝利という共通の目標を生んだ。
しかし昨年の全日学で小宮は実力を出せなかった。2回戦でチームを勢いづけることができず、0―3と惨敗。この悔しさを晴らすため、小宮を中心とするチームは改革を始めた。
5月に行われた東京学生の後には出稽古の回数を大幅に増やした。意識を高めるため積極的に強豪校へ足を運び、厳しい練習を重ねる。様々なタイプの選手と対戦ができることも大きな収穫だった。追い込んだ練習は自信につながり、大舞台への準備が整った。
開拓者より
そして立った全日学の大舞台。順当に2回戦へ駒を進め、ベスト8入りを懸けた関大との対戦が始まる。小宮は1番手として畳に上がった。
試合の流れを左右する先鋒(せんぽう)戦。ここを確実に取ることがチームに必要だった。「勝つことに徹した」と小宮は攻めの柔道を見せる。強い思いを前面に出すことで相手を圧倒し、指導を与えての優勢勝ち。チームは勢いそのまま2―1と勝利した。
最上級生としてチームを鼓舞しベスト8へ導いた小宮。有終の美を飾り「いい思い出ができた」とすがすがしい表情を浮かべた。
彼女が去ってからも残される後輩の挑戦は続く。小宮は成績、絆ともに「さらに上を目指してほしい」とその背を押した。今や実力者ぞろいの女子部員たち。さらなる高み、全日学での3位入賞を目指す。
立大柔道部女子の歴史を切り開いてきた小宮。3年前無気力だった彼女は、後輩という仲間を得たことによって柔道が好きだと感じられるようになった。「変えてくれたのは、あなたたちだよ」。照れながらも優しくほほ笑む。「ありがとう」。最後の言葉は強い絆で結ばれた後輩に確かに届いている。(深川葉子)