立教スポーツ第202号

<6月5日更新>
   

    
【航空部】  
空前絶後の大飛行!!
平田
全日本学生 4位
 

 立大航空部が初の偉業を達成した! 第54回全日本学生グライダ―競技選手権大会で平田昂之(たかゆき=法4)が4位入賞を果たした。グライダ―競技に情熱を注いできた彼は、努力の成果を大空で羽ばたかせ、自らの実力を証明した。

苦闘の日々
   平田にとって、最初で最後の全国大会。「一番良いフライトができた」と4位入賞という結果に喜びと驚きの表情を見せた。監督やОBも自分の結果のように喜ぶほどの歴史的快挙が誕生した。
  前回は役員として参加した。全国大会の雰囲気は実感できたが、今回は選手としての出場。フライトできる楽しみと同時に、全国で対等に勝負できるかどうかという不安も抱えていた。
  昨年12月に行われた関東大会では、クラブ機クラス優勝を果たした。結果には満足していたが、悪天候のため、決してハイレベルな大会ではなかった。「手応えはあったけれど、偶然と思われているかもしれない。だから全国で結果を残したい」。 そこから大舞台への挑戦が始まったが、万事快調とはいかなかった。
  本来実力を蓄える時期に襲った冬場の大雪。滑走路が埋もれてフライトができない日々が続いた。その中でも出場経験者に体験談を聞き、過去の大会のフライトを見直し、自分なりに準備を進める。それでも実際に上空に飛んで訓練ができたのはわずか1日だった。「早く感覚を取り戻したい」と彼の中には不安が残っていた。
  そして8日間に渡る全国大会が始まった。序盤は悪条件や十分な訓練ができていない不安で、思った通りのフライトができない。高度も稼げず上空での滞空時間も短かった。「悔しいフライトをしてしまったから何とかしたい」。 焦りを抱えながら、平田は大会3日目に進んだ。

有終の飛び
 迎えた3日目は、風がほとんど吹かない絶好の気象条件だった。序盤の上昇気流で大きく高度を稼ぎ、一つ目の旋回点を通過する。「コース取りがうまくできた」とその後も今までの高度を維持し、二つ目の旋回にも成功し、そのまま滑走路に着陸した。
  「理想のフライトができた」。 その言葉通り、全選手の中で最も速く周り、最高得点の1000点を獲得。失っていたフライトの感覚が一気によみがえった。
  3日目以降、悪条件で競技の中止やポイントにつながらないフライトが続く。他の機体が早く降りてしまう中で、苦しみながらも高度を稼ぎ、旋回にチャレンジした平田。満足のフライトを見せて最終日へとつなげた。
  大会が進むにつれ、「入賞したい」という思いは、強くなっていく。最終日も好条件とは言えず、粘りのフライトが続いた。強い上昇気流を捉えて一つ目の旋回点をクリア。しかし、判断ミスが影響し、時間をロスしてしまう。それでも、ここから今までの経験を生かし、挽回。再び強い上昇気流を見つけて旋回して滑走路へ着陸した。
  この日、平田は877点を獲得し、その日の1位となった。大きく順位を伸ばして自らの手で4位入賞をつかんだ。下級生の時は他大学との力の差を感じ、悔しい思いをしてきた。「成長した実感がすごくあるし、4年間続けてきて良かった」。 誰よりも勝つことにこだわってきた平田。立大航空部のエースとして活躍してきた彼のフライトは大空で輝きを放っていた。(藤井俊)

 





【水泳部】
私は立教のエースになる!!! 川上 日本選手権 100m自由形 B決勝 4位


  本当の笑顔が戻ってきた瞬間だった。トップスイマーの集う日本選手権で、川上真央(現2)がB決勝4位。水泳人生最大の苦難に見舞われたこの一年を乗り越え、春の辰巳で復活の狼煙(のろし)を上げた。       

 

泣いて

 止まっていた時計の針がようやく動き始めた。かつては18年ぶりに高校記録を塗り替え、日本代表にも選出されたほどの実績を持つ川上。そんな実力者でありながら彼女は勝負に固執しない。「純粋に泳ぐことが好き」。 どんな場所でも笑顔で水泳を楽しむ姿勢を貫いてきた。
  止まっていた時計の針がようやく動き始めた。かつては18年ぶりに高校記録を塗り替え、日本代表にも選出されたほどの実績を持つ川上。そんな実力者でありながら彼女は勝負に固執しない。「純粋に泳ぐことが好き」。 どんな場所でも笑顔で水泳を楽しむ姿勢を貫いてきた。
  次なる活躍の場に立大水泳部を選んだのも、楽しそうに練習に励む部員の姿にひかれたから。期待された新鋭は、大学水泳界でもその名をとどろかせるはずだった。
  しかし春先の合宿で肩を故障。いきなり水から離れる生活を余儀なくされる。仲間の泳ぎを陸から眺めるだけの歯がゆさに、陰で一人涙をこぼした。復帰後も自分の感覚と身体の動きがかみ合わず、納得いく泳ぎができない日々の連続。「今までの水泳人生の中で一番きつかった」。
  本来の調子を取り戻せないまま2年目の春を迎えた。そのスタートとなる日本選手権は「私にとって思い入れの多い大会」。 初めて出場した中学3年のときから、決勝でタイムを縮めるたびに自分の成長を確かめた場所だった。緊張と高揚の中で、高校以来の舞台に臨んだ。

笑って
「私、こんなに遅く泳いでたの?!」。 まさかの17位で予選落ち。自己ベストから程遠いタイムにがく然とした。後に繰り上がりでB決勝進出が決まったが、今までは自分の力で決勝へ進んでいただけに複雑な心境だった。
  それでも巡ってきたチャンス。監督からの激励やマネジャーの後押しも力に、再びスタート台に足をかけた。
  前半50bを最後方で折り返す。「まだいける!」。 壁を蹴るとそこから一気に横一線の泳者を抜いた。あの頃と同じ力強いタッチ。予選よりタイムを上げての4位だった。「あー、良かったなあ!」 水中で胸をなで下ろす。川上真央復活の兆しを見せるレースだった。
  この一年の葛藤の中にも、彼女なりに見つけた目標がある。「立大のエースに私はなる」。 チームは今、自由形の選手が枯渇している状況。そこで彼女が起爆剤となり部を引っ張る存在となるのは間違いない。「自分が結果を出さなければ」と気合も十分だ。
  この結果は通過点。休む間もなく彼女はまた水と向き合う。真の強さを取り戻しつつある若きエースの、熱い夏が始まる。(末藤亜弥)

 




【洋弓部】
劇的勝利で射止めた!! 王座進出 


  2年ぶりの夢の舞台へ。洋弓部女子チームが快挙を成し遂げた。強豪ぞろいの春季リーグ戦を一丸となって戦い抜き、チームスコアを次々と更新!見事王座と呼ばれる全国大会へ進出を決めた。

 

開花の春

 「ドラマチックだった」。今季リーグ戦について、女子リーダーの金田(法4)は万感の思いで振り返った。    
  初戦から140点差をつけられての大敗。第2戦はチームの状況を表すような雷雨で持ち越しに。だが第3戦、新戦力・濱(済1)の参戦で風向きが変わった。チームスコアを大きく押し上げる活躍に呼応するように、2年生も調子を上げる。わずか6点差の厳しい戦いを勝ちきった。その自信は後の試合でも選手たちの背中を押すことになる。    
  続く第4戦、第5戦と連続で接戦をくぐり抜け、ついに王座を射程圏内に入れる。最終戦でここまで全勝の強豪・早大と対戦。決して本調子ではなかった相手を攻めきれず無念の敗北を喫した。リーグ戦をBブロック3位で終え、5位決定戦に望みをつなぐ。    
  勝てば王座進出が決まる大一番。立ちはだかる慶大はまたも格上の相手だ。しかし選手たちは気負わない。「最後の試合になるかもしれないから楽しもう」。 積み重ねてきた自信を胸に、実力を存分に発揮する。応援の後押しも力に変え、劇的な逆転勝利。チーム新記録となる2425点を叩き出し、全国の大舞台への切符をつかみ取った。

 

楽しむ強さ
  格上相手にも対等に渡り合ってきた立大。その活躍を支えてきたのが今季から力を入れ始めた応援だ。選手が平常心を保てるよう積極的に声をかけ、コールや応援歌で試合を楽しめる雰囲気をつくる。一戦ごとに工夫を重ね、試合に臨む選手たちを鼓舞し続けた。まさにチーム全員が一丸となり、勝利を引き寄せる。    
  「このチームで王座に行けることが本当にうれしい」。 ルーキーの濱もチームの一員としての意気込みは十分だ。2人の4年生が中心となりまとめあげてきた今季の立大。より一層固くなった結束を武器に、次は全国へ挑む。  
  これはまさに今季を象徴する言葉となる。今までディフェンスのチームと呼ばれてきた立大。そこに大きな転機をもたらした。そしてこのスタイルには、今回の入れ替え戦だけでなく、さらに先に見据えるものがある。  
  王座は憧れの舞台だと選手たちは口をそろえる。2年前の初出場は1回戦敗退に終わった。勝利を得ることは、決して容易ではない。だが選手たちは、自らの姿勢を貫く。「楽しんで勝つ」。  
  今のチームで臨む最後の試合でもある王座。目指すは初戦突破、前回成績を超えることだ。皆で一つの目標を目指せるのがことがチームの強み。プレッシャーさえ良い刺激とするだろう。普段と変わらない「楽しむアーチェリー」を展開できれば、最後まで粘り強く戦い抜くことができるに違いない。(島崎まりん)

 



 

 


 
 






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