【水泳部】
私は立教のエースになる!!! 川上 日本選手権 100m自由形 B決勝 4位
本当の笑顔が戻ってきた瞬間だった。トップスイマーの集う日本選手権で、川上真央(現2)がB決勝4位。水泳人生最大の苦難に見舞われたこの一年を乗り越え、春の辰巳で復活の狼煙(のろし)を上げた。
泣いて
止まっていた時計の針がようやく動き始めた。かつては18年ぶりに高校記録を塗り替え、日本代表にも選出されたほどの実績を持つ川上。そんな実力者でありながら彼女は勝負に固執しない。「純粋に泳ぐことが好き」。 どんな場所でも笑顔で水泳を楽しむ姿勢を貫いてきた。
止まっていた時計の針がようやく動き始めた。かつては18年ぶりに高校記録を塗り替え、日本代表にも選出されたほどの実績を持つ川上。そんな実力者でありながら彼女は勝負に固執しない。「純粋に泳ぐことが好き」。 どんな場所でも笑顔で水泳を楽しむ姿勢を貫いてきた。
次なる活躍の場に立大水泳部を選んだのも、楽しそうに練習に励む部員の姿にひかれたから。期待された新鋭は、大学水泳界でもその名をとどろかせるはずだった。
しかし春先の合宿で肩を故障。いきなり水から離れる生活を余儀なくされる。仲間の泳ぎを陸から眺めるだけの歯がゆさに、陰で一人涙をこぼした。復帰後も自分の感覚と身体の動きがかみ合わず、納得いく泳ぎができない日々の連続。「今までの水泳人生の中で一番きつかった」。
本来の調子を取り戻せないまま2年目の春を迎えた。そのスタートとなる日本選手権は「私にとって思い入れの多い大会」。 初めて出場した中学3年のときから、決勝でタイムを縮めるたびに自分の成長を確かめた場所だった。緊張と高揚の中で、高校以来の舞台に臨んだ。
笑って
「私、こんなに遅く泳いでたの?!」。 まさかの17位で予選落ち。自己ベストから程遠いタイムにがく然とした。後に繰り上がりでB決勝進出が決まったが、今までは自分の力で決勝へ進んでいただけに複雑な心境だった。
それでも巡ってきたチャンス。監督からの激励やマネジャーの後押しも力に、再びスタート台に足をかけた。
前半50bを最後方で折り返す。「まだいける!」。 壁を蹴るとそこから一気に横一線の泳者を抜いた。あの頃と同じ力強いタッチ。予選よりタイムを上げての4位だった。「あー、良かったなあ!」 水中で胸をなで下ろす。川上真央復活の兆しを見せるレースだった。
この一年の葛藤の中にも、彼女なりに見つけた目標がある。「立大のエースに私はなる」。 チームは今、自由形の選手が枯渇している状況。そこで彼女が起爆剤となり部を引っ張る存在となるのは間違いない。「自分が結果を出さなければ」と気合も十分だ。
この結果は通過点。休む間もなく彼女はまた水と向き合う。真の強さを取り戻しつつある若きエースの、熱い夏が始まる。(末藤亜弥)