【剣道部】
団結の立教剣道 空前の大勝利 関東学生女子団体 史上初 3位
剣道史に「立教大学」の文字が刻まれた? 第40回関東女子学生剣道優勝大会において史上初となる3位入賞。創部以来成し遂げられることのなかった偉業に、東京武道館は拍手と笑顔で包まれた。
準備万端
関東女子学生ベスト8入りから1年。立大剣道部女子は、今年度それを上回る結果を求めていた。長年かなわなかった表彰台へ。固い決意を胸に、彼女たちの挑戦が始まった。
団体戦は「メンタル面での団結が必要」と今季主将を務める田中(済4)。仲間を信頼し、フォローし合うことは欠かせない。
昨年から立大はチームワークを強みとしていた。今年度は田中や副主将・木(文4)ら4年生が中心となってチームをつくり上げていく。楽しく、そして時には厳しく。日々の稽古からオンオフの区切りをつけることで後輩から得られる信頼と尊敬。学年を越えた絆が育まれ、唯一無二の団結力を強めていった。
だが、磨き上げたのは絆だけではない。各個人の技術面を見つめ直す機会となったのが、夏に行われた関西遠征だ。相手より先に出て圧力をかけながら一本を取ること。1試合の中で集中を切らさずに気持ちをつなぐこと。当たりの強い関西の選手と練習を重ねて得た気付きが、躍進を支える大きな力となった。
この1年間、彼女たちは目標に向かって走り続けてきた。団体メンバーだけでなく、部員全員で築いてきたチームワーク。そして、新たに遠征で手にした経験値という武器。今まで培ってきたもの全てを出し切る時がついにやってきた。
力戦奮闘
昨年度の成績からシード権を得た立大は初戦となった2回戦で圧勝。3回戦でも苦手な桜美林大を相手に接戦を制し、インカレ出場権を獲得する。彼女たちの勢いはますます加速する一方だった。
続く慶大との4回戦では大将・鈴木(文3)の意地が光る。「立教の名に恥じない試合を」。負けられない一戦で気迫の剣道を見せ堂々の一本勝ち。悲願の表彰台に王手をかけた。
そして迎えた準々決勝。相手は今まで勝ったことのない駒大。行く手を阻む難敵に挑んだ。先鋒(せんぽう)の千波(文2)が手堅く引き分けると、次鋒・山田(社2)は底力を発揮。「プラスの状態で後ろに回す」と見事に二本勝ち。中堅・田中も引き分け、全ては後半戦に託された。
ここで立大は大勝負に出る。敵との相性を考慮し副将に矢田貝祐(コ3)を投入。「絶対に勝とう」。その一心で試合に臨むと、開始直後に一本先取。後がない相手は猛攻を仕掛ける。だが矢田貝祐も譲らない。集中を切らさず一本を死守して勝利。新たに歴史を塗り替えた瞬間だった。
固い絆と鍛え抜いた技術で達成した快挙。「1年間みんなで頑張ってこられたから」(木)。かけがえのない仲間と喜びをかみしめる。全てを出し切った彼女たちは充実感に満ちあふれていた。(石山ゆりあ)
【射撃部】
攻射で貫く快調劇! 塚本 秋関女子 50MP60 準V
塚本麻由美(社4)が1年半ぶりの表彰台! 50MP60種目(スモールボアライフルを用いた50bの伏射60発)で607.4点、関東2位。主将でエースの意地を見せた。
名射手へ
今年の春関以降なかなか結果を出せずスランプに陥っていた。練習では点数が出るものの試合になるとなぜかうまくいかない。四苦八苦の状態だった。現状を打破すべく積極的に外部の練習に参加した。大会1週間前には銃のセッティングも姿勢も全て変えることで心機一転試合に挑んだ。
射撃は集中力がものをいう競技。技術以上にメンタルの強さが試されるシーンは多い。特に上位層との争いではわずかな気持ちの乱れが致命傷となる。今種目も中盤でいい点数が取れず弱気になる場面があった。
「自信を持って撃て」。 以前から周囲に言われ続けてきた強気に撃つ姿勢を思い出した。何があっても決して試合は捨てない。気持ちを切り替えて次の的に臨み、低い点数を残り10発で挽回してみせた。
今大会、50 M3×20種目(スモールボアライフルを用いた50bの立・膝・伏射それぞれ20発)でもファイナルに進み、立大史上初となる2種目入賞。「エースとして点数にこだわる」。 そう意気込んで試合に臨んだ彼女。立大のエースとして力を発揮し、4年間の成長を結果で証明した。
主将の葛藤
塚本は1年間主将としても戦ってきた。しかし、自分のコンディションが上がらない中で部を率いることは一筋縄にはいかない。苦悩する日々が続いていた。
主将という立場上、塚本自身も後輩の指導を行わなければならない。自分の射撃に集中したいが、主将の責任も全うしたい。葛藤が彼女を襲った。しかし「やっぱり射撃が好きだから」。 もう少し頑張ってみようと気持ちを奮い立たせた。指導に回る時間と自分の練習時間の両立もうまくできるようになってきた。
ファイナルに進出した際、射座の後ろから仲間の応援を背に受けた。射撃はどうしても個人で戦うスポーツ。しかし、塚本自身が先頭に立って戦う主将の姿を見せることで立大射撃部は紛れもなく一つになっていた。
「練習量に比例する」。 後輩に以前から言い聞かせてきた言葉。立大の選手はほとんどが大学から射撃を始める。彼女もその1人だ。初心者だからこそ伸びしろも大きい。その意志が受け継がれることで立大射撃部は強くなる。
塚本は大学卒業後も都の協会に所属し、競技を続ける。来年3月には日本代表の選考会。4年間で培った力を基盤に、彼女はこれからも銃を撃ち続けていく。(曽我崇史)