立教スポーツ第209号

<10月1日更新>
   

    
【器械体操部】  
創部以来初!! 手にした学生日本一!
今、桑村が歴史を創り出す
史上初 インカレ 個人総合 V 
 

 新体操界に新女王誕生!!器械体操部期待のエース桑村美里(社1)がインカレ優勝の栄光を手にした。1年生で成し遂げた、創部76年にして史上初の大偉業。電撃デビューから3カ月がたち、大舞台で再び躍動した。堂々たる演技でつかみ取った学生日本一に桑村の最高の笑顔がはじけた。

不安から喜びへ
  「すごくうれしい」。この喜びをかみしめることができるのは頂点に立った者、ただ一人。そして、その権利を勝ち取ったのは桑村であった。今年5月に東日本インカレを制し、次なる目標として掲げた「インカレ優勝」。 目標達成に向けて重くのしかかる、東日本覇者としての重圧。勝ちたい気持ちだけが先走り、焦る自分をコントロールすることに苦しんだ。  
   迎えた大会当日。部員数の乏しい立大の声援は他大に比べて少ない。加えて、上級生が出場選手の大半を占める中、1年生として大会に臨んだ。アウェーでの試合が強いられる。
   特に個人競技では、豊かな個性が勝負の鍵となる新体操。1種目わずか1分半。与えられた時間は皆同じだ。その中で彼女は演技にどう表情を持たせるのか。限られた時間で何を伝えるのか。
  桑村の晴れ舞台は、フープで幕を開けた。カラフルなメイクと衣装で軽やかに舞う。次のボールは対照的にクールな自分を見せた。前半戦はライバルの三上(東女体大)に次いで2位。両種目ともにわずかなミスが響き、悔しいスタートとなった。優勝への強い思いとそれに比例しなかった1日目の結果。気持ちが乱れる。
  精神状態が不安定なまま臨んだ、2日目のクラブ。それでも持てる力を出しきった。そして、最後の種目へと気持ちを立て直す。優勝の懸かった一本。「リボン49番、桑村美里」。そのアナウンスに一瞬、会場が静まる。ダイナミックかつ繊細にリボンを操り、自分らしさを存分に表現。どの選手よりもキラキラとした笑顔でフロアを舞い、見事インカレ優勝を果たした。

魅せる個性
  1年生にして学生の頂点に輝いた桑村。競技と出会って10年がたつ今も、新体操特有の面白さが彼女を魅了している。この競技は、過去の自分へのリベンジと今の自分との戦い。サッカーや野球のように直接的な相手はいない。だからこそ、全神経を自分に集中させる。本番一本でやりきれた時の達成感が彼女を強く惹きつけている。
  特に個人競技では、豊かな個性が勝負の鍵となる新体操。1種目わずか1分半。与えられた時間は皆同じだ。その中で彼女は演技にどう表情を持たせるのか。限られた時間で何を伝えるのか。
  今大会を通して、ライバルたちの表現力の高さを痛感した。彼女たちは「一本の演技が一つの踊り」になっている。一つ一つの動きが流れを持つことによって、多彩な表情が生まれる。ただ技をこなしていく自分にはない魅力。その力は演技のさらなる向上に必要不可欠なものだと感じた。構成は変わらずとも、一度として同じ演技は存在しない。試合を重ねるごとに「一歩一歩成長していく姿を見てもらいたい」。そして「自分の演技をすてきだと思ってもらいたい」。その思いが一層強まった。
   人は自らを表すためにさまざまな方法を取る。数あるツールの中から桑村は新体操を選んだ。ひとたびフロアを舞えば、観衆は目を離すことができない。いや、彼女が離させない。桑村美里とはそんな才能を持った選手だ。とどまることを知らない彼女は次のステージへと視線を移し、より高く舞い上がる。        (荒木地真奈)





 

【ボート部】
最強クルーで果たした完全漕覇 インカレ 舵手なしフォア 優勝


W準優勝を果たした去年のインカレから1年。今年も勝負の夏がやってきた。男子舵手(だしゅ)なしフォアが並み居る強豪を抑え念願の優勝。終始パワー全開の漕(こ)ぎを見せた彼らが、13年ぶり、創部以来2度目の快挙を成し遂げた。

漕ぎ続け
  2000bを漕ぎ終えた瞬間。戸田ボートコースの空に両手を突き上げ、歓喜の雄たけびを響かせる立大クルーの姿があった。  
  船の先頭でチームを引っ張る主将・菱木(理4)。続くのは勝又(法3)、安藤(コ3)、中田(コ3)と立大屈指の実力選手。この4人には共通点がある。
  「今年こそは勝たなきゃいけない」。どんなに雨が降ろうと、強風で波が立とうと全力でオールを引いてきた。思うように船を漕げず雰囲気が悪くなっても、本気で練習をし続けた。必ず日本一になると信じて。
  だが悔しさを知ったがゆえの困難もある。優勝を意識するあまりの空回り。4人の息が合わない時も多かった。本当に優勝できるのか――。インカレ直前まで不安は消えなかった。
  迎えた予選はスタートから立大がリード。しかしラスト500bで日大が驚異の追い上げを見せ2着。続く敗者復活戦では思うようにスタートが決まらず、2位での準決勝進出となる。「自分たちの漕ぎができないと負ける」。 

辿り着き
  勝負の準決勝。スタートは日大が制し、それを追う形に。しかし立大は集中力を切らさなかった。中盤でトップに躍り出ると、2着に約10秒の大差をつけてゴール。希望が見え始めた。
  ただ決勝はこれまでのレースとはレベルが違う。それを痛感させられた去年の苦い敗北。予想外のスピードと早い展開を見せる他クルーに勝つには「自分たちの漕ぎ」を貫くしかない。
  そして迎えた大一番。やるべきことは一つ。相手のことは考えずに培ってきたもの全てを出し切る。その一心で最初の500bをリード。そこで気持ちを緩めなかった。中盤で追い上げられないよう、攻めて攻めて攻めて、ひたすらにゴールへと突き進んだ。
  後続とのデッドヒートを制し、見事フィニッシュ。「この瞬間のためだけにいろんなものを犠牲にしてきた」(菱木)。優勝を実感して初めて今までの苦労や困難から解き放たれた。
  パワーが自慢の勝又・安藤を技術面で支える菱木・中田。4人を優勝へと導いた絶妙なチームワークは、どんな時も全力で漕ぎ続けてきた努力の結晶だ。
  立大の強さを広く知らしめた彼ら。黄金時代を先駆ける誇り高き4人に続き、立大ボート部は勢いの波に乗る。偉大なる歴史の、その先へ。  (岡村章秀)

 




【陸上競技部】
胸に煌めく世界一の象徴 出水田 ユニバ ハーフマラソン 団体 金 


日本のホープが韓国・光州の地で躍動した! 学生のオリンピック・ユニバーシアードのハーフマラソンで出水田眞紀(いずみだ=コ2)が個人4位、団体金メダル。強豪選手に食らいつき、チームに栄光をもたらした。

 

”1位”と”4位”

「チームジャパンとして」。今大会、出水田が定めた目標は団体戦での金メダル。この種目は各選手の順位に応じた得点の合計を競う。自分の役割を果たし、勝利に貢献することを決意した。
  試合前夜、不安が彼女を襲う。直前に日本選手権の千五百bに出場。そのためハーフマラソンの練習量は他の選手に比べ、明らかに劣っていた。「恥ずかしい走りをしないように」。日の丸の重みが彼女にのしかかる。緊張した面持ちでスタートラインに立った。            
  迎えたレース本番。号砲と共に各国の猛者たちが一斉にスタートした。今大会は約7`の周回コースが舞台。日本チームは1周目をペースメーカーに任せ、2周目は2人ずつ交代で先頭を走る作戦を立てる。しかし序盤、思うように集団のペースが上がらない。出水田は攻めの意識でペースアップ。多くの海外選手を置き去りにし、日本の団体金を決定づけた。  
  レースは後半。集団は日本人3人を含む5人に絞られ、戦況は個人タイトル争いへ突入した。「日本で表彰台独占だ」と沿道からの声援。代表としてのプライドが彼女を突き動かす。「まだ離れられない」。その気持ちとは裏腹に体力は底をつく。最後は先頭から離され4位でフィニッシュ。力を使いきり倒れこむ彼女の表情は、達成感と悔しさに満ちていた。  


五輪へ
 「すごく楽しく走れました」。21`に及ぶレースを出水田はこう振り返る。個人種目が主の陸上競技において、団体戦は数少ないチーム競技。力のある先輩たちと一丸となって戦った経験は、彼女のさらなる飛躍を生むはずだ。  
  出水田は競技人生の最大目標として、2020年東京オリンピックのマラソンを挙げる。近年はアフリカ勢の台頭で、日本人の上位進出は困難とされている。風穴を開けるべく、彼女は常に高みを目指して練習に取り組む。
  「力強い走りができるようになりたい」。世界に通用する力を身に付けるため、どんな状況でも負けないタフさを追求する。そのため学生のうちは幅広いレースに出場し、対応力を磨く。直前に千五百bに出場したのも、自分を追い込んだ中で、結果を残すためだ。  
  幅広い視野で練習に取り組む彼女。「同じことをやってたら同じ結果しか残せない」。日本の考え方に固執せず、研究された海外の練習も積極的に取り入れる。飽くなき向上心こそ、彼女の武器だ。
  ユニバーシアードが開催されるのは2年に一度。出水田にはまだ出場のチャンスが残されている。次は「個人で金メダルを狙う」。届かなかった頂点の座を手にするべく、彼女は再び走り出す。今度は最高の笑顔でゴールテープを切られるように。  (柏本晴也)

 




【ローラーホッケー部】
頂点は譲らない! 全日本女子 3連覇


やっぱり立教はロラホが熱い! 今季は思うように勝てない時期もあった立大女子。だが新たな気持ちで挑んだ全日本大会では、鉄壁の守備で敵を全く寄せ付けない戦いを見せ優勝。その強さを再び取り戻してみせた。

 

王座を懸けて

3連覇――。今季は春から結果が出ず苦しむ時期が続いた。それでもチームを一つにすることで王座を守り抜いた。  
  団体戦は「メンタル面での団結が必要」と今季主将を務める田中(済4)。仲間を信頼し、フォローし合うことは欠かせない。
  難攻不落と言われた社会人を打ち破り、全日本で2年連続の頂点に登り詰めた立大。3連覇を懸けた今大会も、優勝候補に最有力として名を連ねることとなった。
  前回覇者の立大は準決勝からの登場となる。相手は先の対戦で圧倒している東洋大。試合開始から格の違いを見せつけ、3―0と見事な勝利を収めた。
  迎えた決勝の相手は宿敵、国学院大。6月の東日本学生決勝で対戦し苦杯をなめさせられた。選手層の厚さ、実力ともに立大をしのぐものを持ったチームだ。今大会においても社会人を破り決勝へと駒を進めてきた勢いがある。  
  試合は序盤から国学院大がペースを握る。立大は強敵の猛攻に耐え忍ぶ苦しい展開。しかし、キーパー原田(文4)が「相手のペースにのまれると勝つことはできない」と好セーブを連発。守備陣の奮闘もありゴールラインを割らせない。その中で立大に歓喜の瞬間が訪れる。中央でパスを受けた山口(観4)が豪快にスティックを振り抜く。パックはネットへ突き刺さり、待望の先制点に。「とにかく安心した」と山口。3連覇へ向け大きな1点を得る。  

 

苦しみの先に
試合終盤、波のように押し寄せる国学院大の猛攻にさらされる。しかし原田を中心に全員でゴールを守る立大。三たび頂点へ。チーム全体で最後の力を振り絞り優勝へと走った。  
  そして、本当の歓喜の時が訪れる。試合終了のブザーが鳴り響き選手たちは一斉に抱き合う。1点差ではあったが、確実に日本一の座を守り抜いた。
  振り返れば苦難の年だった。昨年、主要大会全てを制すという偉業を成し遂げた黄金世代が抜け、今年は気持ちを新たに挑んだ。周囲の大きな期待とは裏腹になかなか結果は出なかった。  
  今季のここまでタイトル無しという結果に助川(コ3)も「つまらないホッケーだった」と語る。自らのプレーに納得できず、最強校としてのプライドを失いかけていた。それでももう一度優勝のためプレーを見つめ直す。「自分たちの強みは足」。 どのチームよりも必死に走ることで勝利をもぎ取った。
  秋に控えるインカレは4年生にとって最後の大会。その優勝こそが、今季最大の目標だ。「次は自分が先輩を勝たせたい」と助川。「後輩に最後の贈り物をしたい」と角田(文4)。 学年を超えた絆とともに必勝の体制を整え、長野での優勝を誓った。(高橋謙人)


 




【ハンドボール部】
止まらない立大の躍進 インカレ 出場決定


立大ハンドボール部が2年ぶりにインカレ出場を決めた! 各地区の上位校が集う東日本インカレ。3日間に及ぶ連戦を危なげなく全勝し、着実に積み上げてきた力を大一番で爆発させた。

 

歓びの時

 「チーム一丸となりリベンジというテーマを達成したい」。昨年は、出場さえかなわなかった東日本の舞台。熱き思いを胸に彼らは勝負に挑んだ。  
  初戦特有の緊張感の中臨んだ北大戦。思い通りに体を動かすことができず、焦燥感だけが募る。序盤から続く不穏な時間を断ち切ったのは長澤(コ4)のゴールだ。主将の得点をきっかけに、徐々に調子を取り戻した立大は一つ目の白星を上げた。  
  今大会の山場は富士大との第2戦。ブロックで唯一、前年のインカレに出場している強豪校だ。いつもより長い円陣の掛け声で選手たちが奮い立つ。「富士大に勝つことだけを考えてやってきた」と長澤が言うようにチームは一層闘志を燃やした。手の内を知り尽くした相手との一戦。両者は交互に得点を奪い合い接戦を繰り広げた。そんな中、次第に立大が流れをつかんでいく。持ち味のスピードと素早いパス回しで好機を演出。互角の戦いを制し、価値ある一勝をたぐり寄せた。  
  最終日の富山大戦。オフェンス陣が、圧倒的な強さを見せつけた。怒涛(どとう)の攻撃でシュートチャンスをつくり出し幾度となくゴールネットを揺らす。大量得点でリードを広げ続ける選手たちに、歓声が湧き上がる。ダブルスコアで相手を引き離し、試合終了の笛。念願のインカレ出場が決まった瞬間、チームは歓喜の輪に包まれた。

 

特別な存在
4年生にとって、3度目となる東日本インカレ。全国への挑戦権を手にするため、立大ハンドボール部は特別な意気込みを持っていた。  
  最高学年である4年生がチームをけん引。コート内外を問わず部を支え、本音を言い合える関係をつくり上げてきた。そんな彼らには、二つの目標があった。かねてから掲げてきたインカレへの出場権獲得。そしてもう一つ。4年生全員で出場して勝利すること――。
   仲間の存在は、チームを勝利へと導く原動力となる。「全員でインカレに出る」。最終戦でその思いは実現した。試合終了直前、立大は関口(コ4)と今井(理4)を投入。ついに4年生がコートにそろった。「うれしくて泣きそうだった」。下地賢(済4)は特別な存在である同期に対し、胸を熱くした。  
  楽しく雰囲気の良いチームを目指してきた彼ら。共に喜び励まし合う事で、信頼関係を築いてきた。「このメンバーでハンドボールがしたい」。 全員の強い気持ちが、息の合ったプレーを生み出した。 インカレ出場が決定し、長澤は「ほっとした」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。今大会で確かな手ごたえを得て、自信に満ちあふれる彼ら。“完全なるリベンジ“に向けた次の目標は、1部残留とインカレでの勝利だ。立大は台風の目となり新風を巻き起こす。(廣瀬真央)  


                          

 



 

 


 
 






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