【陸上競技部】
目指すは母の先 出水田 世界大学クロカン 銅
出水田が世界を相手にまたも偉業を成し遂げた!イタリアで行われた世界大学クロスカントリー選手権大会に出水田眞紀(いずみだ=コ3)が出場。予選会を1位で通過し日本代表として見事個人銅メダル、団体金メダルを手にした。
遠のく光
これまで数多くのクロスカントリーを制してきた出水田。彼女の強みは、「積極的な走り」だ。今大会でもその持ち味を生かし、一筋縄ではいかない厳しいレースに挑んだ。
クロスカントリーは競技場ではなく自然の中で行われる種目だ。開催地によって環境が大きく異なる。今大会ではぬかるんだ土、急斜面を蛇行する芝生がコースになった。一周1`半を4周。計6`の長丁場だ。
「優勝してこい」。母から背中を押され、出水田はスタートを切る。「1位で代表に選ばれたからには、トップを走らないと意味がない」と語った通り、出水田は序盤から先頭を走る。他国の選手と3人でレースをけん引し、強気な姿勢を見せた。
しかし中盤からレースが厳しくなってくる。前半の疲れが出てしまった。3周目で後ろを走っていた清水(東農大)が迫る。先頭集団は4人となった。
最後の4周目。出水田はとうとう4番手まで下がってしまう。集団から10秒以上も離され一人で走っていた。「もう個人でのメダルは無理かもしれない」。そんな弱気な言葉が出水田の頭をよぎった。
手にした銅
残り500b。メダルが遠のき、気持ちが落ちてきた出水田に最後のチャンスが訪れた。前の集団を走っていたイギリス人選手がスピードダウン。最後の直線が勝負になった。脇目もふらず一心不乱に追う。ぬかるんだ土に足をとられながらも最後の力を振り絞る。ゴール直前で順位が入れ替わり、フィニッシュ。個人銅メダルを手にした。
優勝を目標にしていた出水田にとって、3位は悔しい結果だ。しかし「積極的な走り」を世界の舞台でできたこと。それは彼女にとって大きな糧となった。
出水田の陸上競技における一番の目標は4年後に近づいている東京五輪への出場だ。今年開催されるリオデジャネイロ五輪にも挑戦したいと意気込んでいる。
出水田が五輪を目指したきっかけは母だ。「あと4秒だった」。少しのところで母はソウル五輪出場が叶わなかった。中学で陸上競技を始める前から出水田はそのことを聞いていた。
「いつの日か母を超えたい」。母が行けなかった五輪に行くこと。それを成し遂げた時こそ、出水田は母を超えることができる。その夢に向かって彼女は走り続けている。(小花優衣)