【ソフトテニス部男子】
”軟球入魂”強い立教が帰ってきた!! 48年ぶり 関東2部 V
栄光の1部優勝から60年。黄金期は去り、一時は10部降格の屈辱まで味わった。その長く険しい復活ロードもついに大詰めだ! 関東学生ソフトテニス春季リーグ戦で悲願の2部優勝。6つの大学による総当たり戦を4勝1敗で制し、1968年の2部降格後初の快挙を達成した。
”絆”で託し
リーグ戦は、ダブルス4ペアと3本目にシングルスを挟んだ計5本の団体戦。3本を先取した方の勝利となる。立大は後衛のWエース石川(現2)と佐藤(コ2)を1、2本に配置。確実に先手を取り、3本目を残り全員で奪いにいく。
初戦で慶大を下し、迎え撃つは優勝候補の東経大。この一戦で、両エースの相乗効果が発揮される。
1本目、石川は敵の大将ペアと対決する。相手後衛は左利き。同じく左腕の佐藤と校内戦で常に戦い「対策は万全だった」。その独特の球筋にも対応し、格上を打ち破る。続く佐藤は、相手の角度ある速球にも最後まで打ち負けない。校内戦で石川の豪打に慣れたことが大きかった。2人が流れを作り5本全てで勝利。優勝が現実味を帯びる。
山場を越えた立大はその後も快進撃を続ける。3勝1敗で最終戦へ。専大との天王山が幕を開けた。
まずは石川と佐藤がビッグプレーを連発。両雄は、入学前から約束していた。「2人で立大を1部に上げるぞ」。夢に大きく近づく貴重な2本を先取する。悲願へ王手をかけ、3本目のシングルス。登場したのはかつてのエースだった。
”漢”が決めた
山田真輝(文3)。1年春のリーグ戦で5戦4勝と鮮烈なデビューを飾る。プレーは迫力満点。まさにスーパールーキーだった。しかし彼に突如悪夢が襲う。
2年の春、練習中でのこと。突然、ラケットが思い切り振れなくなる。昨日まで当たり前だった球の打ち方が分からなくなった。
不調の正体はイップスと呼ばれる心の病。勝ち続けることへの漠然とした不安が感覚を狂わせた。良かった頃の自分に戻りたい。でも体がついてこない。「試合にも出たくなかった」。どん底の山田に転機が訪れたのは今年の3月。チームの次期主将に選ばれる。調子が悪くても、今できる精一杯で戦おうと誓った。
この試合でもイップスは癒えていない。本来の強い打球もない。それでも「キャプテンらしい姿を見せないと」。ただ必死に目の前のボールを追った。そこにあのスーパールーキー山田はいない。だが、次期主将として泥臭く勝ちにいく新しい山田の姿があった。
決着の瞬間。今までの苦労を知る仲間から大歓声が沸く。「言葉で表せないほど嬉しい」。軟球に懸ける男たちが、とびっきりの笑顔を見せた。(栗原一徳)