テニス部男子

「百分率」

 「世の中において正と負のてんびんは必ずつり合っている」とわたしは思っている。信号で足を止められてばかりで「今日はついていないな」と思えば、その日の授業が早く終わったり、帰りの電車がすいていたり。
 良いこともあれば悪いこともある。

 今回、このクローズアップの場に記載しようとしたのは1つの「絵」を見たから。それは極寒の季節、師走の土曜、立教新座テニスコートで行われた同立定期戦のことだった。現在関東大学リーグ4部の本学に対し、同大は関西大学リーグ1部に属している。同大は力量というよりも技術で本学を圧倒。その上質なプレーは敵ながらあっぱれという感じである。
 だが、その熱い試合以上に気になる「絵」が目に飛び込んできた――。
テニスサークルや趣味でテニスを楽しむ人たちである。

 4面あるテニスコートのうち、定期戦に使用されたのは2面。残りはテニスサークルなどが自由に使っていた。
 試合中、若干の静寂に包まれると聞こえるサークルの声。それは厳格な体育会硬式テニス部とは全く異なる音だった。「楽しんでいるんだな」と素直に分かる空間がそこにあった。そして、それは何よりも体育会の厳しい現状とサークル活動の道楽ぶりを表すコントラストであり、真冬の冷風をより肌寒く感じさせる「絵」であった。

 スポーツの楽しみ方は十人十色、自由である。その点に関しては、まったく異議もないし、それがスポーツの魅力であるとさえ思っている。皆でわいわいやるのもスポーツだし、健康のためにやるのもスポーツだ。もちろんストイックに打ち込むのもそう。

 もし、わたしが部活を定義づけるならこう言うだろう。「百分率にかければ90パーセントは苦悩、面倒、つまらなくなるといった負の面だ。しかし、10パーセントの喜び、感動といった目に見えない価値がある。これが部活だ」と。

 現在、硬式テニス部男子5人。
 大学生のテニス人口から考えると不思議でしょうがない数字である。しかしこれが現状、されど現状。部員不足は否めない。

 だが、ここで冒頭を思い出してほしい。
 「世の中において正と負のてんびんは必ずつり合っている」
 彼らも今という時を耐え抜けば、絶対明るい未来はやってくるはずだ。今日も日はまた昇り、沈んでいった。正と負の関係は繰り返される。
 だから、百分率の定義も時として覆され、喜び、感動が90パーセント、苦悩が10パーセントになるということだ。
                                                       
(田代)