ハンドボール部

チーム
(前編)
己ニ克ツコト




 すっかり夕闇に包まれた武蔵野新座体育館。
 その中から、シューズと床の摩擦音が絶え間なく聞こえてくる。

 10月18日。5部残留をかけた入れ替え戦を翌日に控え、OBや有志の協力を得ながら本学の最終調整が行われていた。

 春季リーグで4部最下位となり5部へ降格した本学だったが、5部での秋季リーグも苦戦の連続だった。
 開幕からの3連敗で早くも残留争いが現実的なものとなったが、その後東経大、東京農工大にともに接戦ながら連勝する。1分1敗でも残留という状況で最後の連戦を迎えるも、そこで手痛い連敗を喫し7位に転落、入れ替え戦への出場を余儀なくされた。


 相手の速攻を食い止め遅攻に持ち込み、そこでボールを奪い逆に速攻を仕掛ける――これが本学の得意とするパターンである。

 勝った2戦はともに、前半を僅差でしのぎ後半で効果的な速攻を決める、という試合展開だった。
 逆に敗れた試合では、前半の大量失点が響き逃げ切られる、という形だった。

 大野(経2)、田畑(経2)を筆頭にした速攻は、特に相手の運動量が落ちた後半に威力を増す。ここである程度の得点を計算できれば、勝負のカギはやはり守備面にある。


 入れ替え戦の相手は6部2位の学習院大、合同練習などで互いの手の内は熟知している。
 本学が警戒する点は、相手の速攻とポストプレーだ。

 この日の練習では、特にポストプレーへの対応を入念に繰り返した。ポストにボールが入った際に数的優位をつくり相手の動きを封じる、というディフェンスの徹底を行った。
写真=細口(中央奥)を中心に、戦術の再確認をする


 「いつもどおり走って勝つ」
 岡村(コ4)は翌日への意気込みを語った。
 両チームの長所が発揮されれば、終盤は速攻の応酬になることも予想される。

 体力面で負担がかかるその状況下で走り勝つには、また、守勢に回る苦しい時間帯で耐えるには、少なからず「己に克つこと」が要求される。加えて、本学には下部の相手を迎える入れ替え戦ならではのプレッシャーもある。
 容易に勝てる試合ではないだけに、己との戦いを制したチームこそが、より勝利に近づくはずだ。


 練習を終えた本学はすでに気合十分。
 「とにかく明日、やるしかない」と岡村が力を込めれば、右膝のケガから復帰した“カリスマ”主将・細口(理4)も力強く言い放った。

 「どんなことをしても勝つ」
                                                       
(2003年10月24日・小見)

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