ボート部
主将・本田のインカレ


 大学頂点だけを目指し、毎年各地から多くの選手たちが集結するインカレ。今年も白熱したレースが繰り広げられた。

 8月26日〜29日に戸田漕艇場で行われた第31回全日本大学選手権大会。本学もこの大会に懸ける意気込みは相当のものだった。特に、大会終了後の引退を控えた4年生にとっては最後の大会。主将・本田(社4)も自身初のメダル獲得を目標に大会を待ち望んだ。

 本田は男子舵手(だしゅ)なしフォアに乗った。このクルーで4年生は本田ただ一人。クルーを引っ張るその姿に、後輩たちも信頼を寄せていた。

このクルーの大会での経過を本田のコメント(以下太字の部分)とともに振り返りたい。


(写真=左から山本、本田、広石、外山)

◇初日、予選。はれ。

 本学はスタート直後に少し出るが、その後立命大に先を行かれてしまう。何とか追いつこうとするものの、距離は最終的に縮まらず2着で敗者復活戦へ。

 (立教は)体格が小さくエルゴのスコアも低い。その中で艇の動きを止める動作を少なくし、スピードを殺さないことが課題だった。
 レース前、集中力は高かったが(雰囲気は)あまりよくなかった。バランスが取れていなかった。スタートで少し出たがその勢いが続かなかった。変に落ち着いてしまい、立命大に抜かれた。イベントを入れるもちょっと詰めて出られる、の繰り返し。
 (タイム的には全クルー中3位だったが)納得いかない。タイムより予選で1位で勝たないと。
 明日は勝ちにこだわって。
 勝たなきゃな――。



◇二日目、敗者復活戦。曇り。逆風強し。

 1000b当たりまで2位につけていたが、そこから本学は地力の差を見せ1着でゴール。直後、「もっと離せただろ!!」という、外山(社2)の怒号が会場中に響いた。

 (レース前の雰囲気は)昨日より良かったが、完璧ではなかった。実力差はあるが、油断してしまった。3Q(クオーター)で滋賀大経済が落ちてくると思っていたが…。
 明日は気持ちで乗ってくれば違う。確実に結果はついてくる。
 順位決定戦じゃ仕方ない。


◇三日目、曇り後雨。風も吹いてくる。

 レース前、本学はいつになく緊張で硬くなっていた。そのよくない流れをそのままレースに持ち込む結果となった。スタートしてすぐにオールを水に取られ艇を止めてしまったのだ。1,000b地点で、予選で負けた立命大にようやく追い着いた。破竹の勢いでスピードに乗る本学だがそれ以上の挽回はできず3着に終わる。

 最初のミスもラストの追い上げも両方実力。
 明日は『打倒・明治』。
 そして自分は最後のレース。幸か不幸か他(のメンバー)は2、3年生。その3人に何かをどれだけ残せれば。



◇最終日、空は暗く冷たい雨が降りしきる。風も強く水面には波も現れた。

本田の最終レースとなった順位決定戦。本学はアップからいい状況を作り出した。スタートで本来の力を出した本学は、奇襲をかけた。明大を追いかける展開となったが攻めの気持ちを忘れなかった。レースの流れが本学に向いていると確信。ラスト500bで本学はスパートをかけて明大を追い抜く。どのクルーよりも速く1着でゴール。総合5位という結果以上に、最終レースで勝負に勝ったことが印象に残った。

 このクルーに可能性を感じた。一日一日成長していくのが分かった。結果に納得はしていないけど、最後に『立教らしさ』が出せてよかった。何かを3人に伝えられたと思う。絶対に負けない相手だから、来年に期待。
 4年間勝ちを求めて練習すれば必ず結果はついてくる。ボートは年月続けないと楽しみが分からないが、やればやるだけの価値がある。
 (主将として)強い部をつくりたかった。今年はあと一歩届かず。来年は、心強いのが3人残るからできる。でも、(強い部にするためには)自分が強くなるだけじゃダメ。自分が強くなる、プラス、他の部員も強くするのが主将の役目。
 勝つためかどうか、意味を考えた練習をするかどうかで結果は全然違ってくる。このクルーは、組んだときに強くなった。ただやるだけじゃ強くならない。
 パワーがないからこそ効率よくスピードを求める。それが『立教』。3人は荒削りだけど、その『立教』の姿に近づけば速くなる。そして、基本と自分の研究で上手くなる。これが立教の勝ち方。
 ――あとは怪我をしないように。意味がなくなってしまうから。



本田の4年間はこうして幕を閉じた。目標のメダルには及ばなかったが、ボートにおいて重要な信念や情熱を伝えたのである。
(2004年10月18日・落合)