レスリング部

「魅力再発見」

            
 4月の風が心地よいある日、私は新座キャンパスにあるレスリング部の練習場を訪ねた。新しく1年生が加入し、リーグ戦へ向け練習に励む彼らの姿を、ぜひ自分の目で見たいと思ったからだ。大きな窓から明るい日が差し込む道場に入ると、選手たちがおしゃべりを交わしながら、練習前のマットの掃除をしていた。昨日のテレビの話、最近のできごとなど、何気ない普通の会話が交わされていた。「アットホーム」、まさにその言葉がふさわしい。


 念入りなアップの後、打ち込みとスパーリングが始まる。               
実戦形式の練習だ。すると先ほどまでの表情からは一変、男たちの目は「戦いの目」に変わる。私はレスリングの選手の目が好きだ。頭を低くして相手と向かい合い、間合いをはかる時の目が。大きく開かれたその目からは相手を圧倒する気迫が感じられるからだ。ふとカメラを持つ手を休めて耳をすますと、大きな体育館では味わうことのできない選手の荒い息遣いや、気合の入った声、仲間同士でアドバイスをかけ合う声が聞こえてくる。レスリングはこんなにも楽しいものだったのだと、あらためて実感させられた。
 
 皆さんは、「レスリング」という競技にどのようなイメージを持っているだろうか。暑苦しい、汗臭い、かっこわるい、などという声が多く、特に女性からは敬遠されがちであるように思う。実際に私もそういうイメージを昔は持っていた。しかし今、声を大にして言いたい。レスリングは、男らしくて、楽しくて、奥が深いスポーツである。レスリングという競技は、柔道のように相手の胴着をつかむことができない。だから、己の力のみで相手をマットにねじ伏せるのだ。まさに力と力のぶつかり合い、そこに男らしさを私は感じる。

 一日だけではあるがレスリング部の練習を見学して一番印象的だったのはやはり雰囲気の良さだ。練習中、選手たちは真剣ではあるが、いわゆる「体育会系」のピリピリした雰囲気は感じられない。しかしこれは決して彼らがサボっているというわけではない。
「大会前の減量の時とか、部の雰囲気がピリピリしてると本当にヤバくなるんだ。自分も高校の時の雰囲気がかなりヤバくて毎晩泣いてた。何度も辞めたくなったし死にたくなった。そんな雰囲気は嫌だから、明るい練習にしないとなと思ってテンション上げて楽しい雰囲気で練習してるんだ」とムードメーカー的存在でもある石井(観2)が話してくれた。おかげでのびのびと試合ができるのだそうだ。選手たちが言っていた「ファミリーみたい」という言葉が本当にぴったりだと思う。


 本学レスリング部は経験者の一年生が2人加入し、現在部員は9人。そのため、「みんながレギュラー」なのだ。誰一人欠けてもいけない。人数こそ少ないが、そのレベルは決して低くない。今月11日から行われるリーグ戦の目標を聞いてみると全員が口をそろえて「2部優勝!」と語った。去年は準優勝をしているだけに、今年はその期待も大きい。
 練習見学を終え、4月にしては暑いと感じる午後の陽気のもと志木駅まで歩く帰り道、私の足どりは軽やかだった。彼らならきっとやってくれる、そう思った。今からその日が楽しみである。




(2004年5月10日・北森)