陸上競技部 −バトンに込める想い(前編)− |
個人競技というイメージが強い陸上競技。「陸上競技」といわれたら、100b競走やハードルを思い浮かべることが多いだろう。しかし、一人の戦いではない。彼らは走った。仲間のために――。 5月12日〜19日に国立競技場にて行われた第86回関東学生陸上競技対校選手権大会。本学男子は今大会で2部総合7位となった。4種目優勝という快挙の中でも、4×100bリレー、4×400bリレーで優勝したことは、本学にとって価値あるものであった。 初日に行われた4×100bリレー予選。昨年本学は3位に入賞しているだけに、並々ならぬ決意で臨んだ。オーダーは井上(法2)、樋口(法4)、後藤(経3)、岩国(文2)。スタートと同時に井上が飛び出し、2走、エースであり主将でもある樋口が快走を見せる。そのままバトンは後藤へ。トップを譲らず岩国のもとを目指す。しかし、ここでバトンがうまく渡らない。岩国は減速したもののそのまま1位でゴールし、予選3位のタイムで決勝へと進んだ。 しかし、代償は大きかった。レースの際、岩国が右足を負傷。歩くのさえも困難な状況となってしまった。決勝でメンバーを変えることを余儀なくされた本学。ただ、ここで新星が登場したのである。 大会3日目、18日に迎えた決勝。本学は岩国に代え加瀬(済1)を起用した。高校時代に100bで10秒台を出していた逸材だ。期待が高まる中、ピストルの合図とともに走り出す井上。「2〜4走に繋げることだけを考えた」と語るように、ただひたすら樋口へと向け走る。バトンを受け取った樋口も「自分で全員抜いてやる」と心に決め、激走。3走・後藤も追走から必死に逃げる。「(3走として)バトンをうまくつなぐことを意識した」後藤からバトンは1年生でアンカーの大役を任せられた加瀬へ。「実はバトンパスで失敗していた」と語るものの、他大の追随を許さず1位でフィニッシュラインを駆け抜けた。記録は41″05。立大記録を更新する見事なものだった。 レース後、優勝を手にしたメンバーは「個人とは違った嬉しさがある」(樋口)「言葉が出ないくらい嬉しい」(加瀬)などと語った。彼らの走りは、優勝をつかんだとともに歴史に名を刻んだ。
|