「試合は一人じゃない。仲間を大事にして」。 たった一人で部を支えた主将・林(社4)から後輩へのメッセージ。その言葉には彼女が卓球部で過ごした4年間の全てが込められていた。 1年生の時、体験練習中にケガをした林は、中学からやっていた卓球をやめるつもりだった。そんな彼女を思いとどまらせたのは当時の先輩たち。どんなに態度が悪くても、どんなに迷惑をかけても、いつも温かく迎えてくれたのだ。この時の先輩たちの想いに応えるように卓球を続けた。 そして一昨年の秋、部員不足で廃部の危機という状況の中、主将を引き継ぐ。これからのことを考えると不安でいっぱいだった。 昨春のリーグ戦は、1年生2人と3人で臨む。しかし、団体戦は4人いなければならず、オープン参加となってしまった。全勝するが、棄権扱いのため公式記録は全敗。「全勝したのに結果に残らない。悔しい」と涙を流す林。「(チームは)昇格を目指すいい雰囲気なのに、人が足りない」。悲痛な叫びだった。チームとして1勝も出来なかった一昨年。昨年は経験者の1年生が入部したことで、優勝を狙えるまで実力をつけた。しかし、このままではいくら試合をしても記録に残らない。この悔しさをどこにぶつければいいのかわからなかった――。 しかしこのリーグ戦後、希望の光が見えた。1年生がまた1人入部したのだ。これで公式試合に出られる。「今度こそ3部昇格を果たす」。 4人で迎えた秋季リーグ。「やっとここまできた」と試合に出られる喜びをかみしめていた。そして見事全勝優勝。「一人じゃこんな試合できなかった。部員の大切さを実感した」と笑顔で語った。そこにはもう、春の悔し涙を呑んだ林はいない。 そして念願の入れ替え戦へと進んだ。勝っても負けても林にとって最後の試合。「自分にとっては最後だが、チームで見たら春につながる試合。チームのことを考えて試合をした」と振り返る。全員で力を合わせるも、あと一歩のところで昇格を逃した。3部の夢は後輩たちに託されることとなった。 彼女は1年生3人の存在を「家族以上」と話す。「支えてもらった」とも。 一方、1年生も林について次のように語る。粟津(済1)「心の支え」。横山(法1)「引き付けるものがある人」。服部(文1)「ずっと一緒にいたい」。3人は心から林を慕っていた。「一緒に卓球ができてよかった」と後輩たちは口をそろえる。まだ組んで半年のチームとは思えないほど、4人は強い絆で結ばれていた。 「仲間がいたから続けてこられた」と林。ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。苦しいことも辛いこともあったが、この4年間で一生消えることのないかけがえのないものを手にした。
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