DB=ディフェンスバック
"最後の砦"として後方で守備をするのがDB(ディフェンスバック)。パスカバーやロングゲインを防ぐのが彼らの仕事だ。OFとDFを分ける中央の線(スクリメージライン)から10ヤードあたりに位置し、前は5ヤード、後ろはエンドゾーンまでの残り全部という、自陣のもっとも深いところを広範囲に渡って守っている。一般的には「なかなかボールに触れない」、「目立たない」、けれど「一番キツイポジション」といわれ、練習も体力的に負担の多いメニューが出される。しかし、アメフトというスポーツをするには、DBは知識面も体力面に関してもやりがいがあるポジションだ。特にインターセプトを決めたときは、とても盛り上がる。
そんなDBには、大きく分けてCB(コーナーバック)とSF(セーフティー)と2パターンの仕事がある。
タックルで正確に相手を射止める練習をする 【CB:ディフェンスの両翼に位置し、主にパス攻撃に対応】
WRと一対一の勝負 CB(コーナーバック)はフィールド中央の密集地帯から離れたところでWRと向き合って一対一の勝負をする。敵を振り切りパスをキャッチする相手WRに対してぴったりと張り付きパスを阻止するのはCBの重要な仕事である。WRに正面を向けながら後ずさりするように走れる俊足と俊敏性。 さらに、WRのフェイクにも反射的に対応できるような瞬発力は欠かせない。また、WRのブロックをかわしてRBをタックルで確実に止めるなど、ランプレー時は大きな責任を持つ。 【SF:ディフェンスの最後尾に位置し、全ての攻撃に対応】 頼る人はSF以外の他にいない、最後の砦 SF(セーフティー)は常に冷静でいて戦況を知り、正しい判断を瞬時に決める力が求められる。なぜならば、最後尾に位置する彼らを突破されるとTD(タッチダウン・6点の獲得)につながる可能性が最も高いからだ。そのためには、システムや作戦について十分な理解をしたうえで、フィールドでは臨機応変に相手に対応しなければならない。 さらに、駆け引きが必要となる。立大DF陣をまとめる田辺コーチは「一番後ろにいる分、LBとかDLとかが見えてくるので後ろから指示してもらいたい」など広い視野を持つことを要求していた。 素早く左右の指示に反応して、瞬発力を高める パスを止め、ランも止め、どんな攻撃にも守備をする多彩なポジションのため、十分なアメフトの知識と高い運動能力を身につけなければ仕事は果たせない。しかしそれ以上に不可欠なのは、"諦めない気持ち"だ。「体格は小さくても良い。 最後まで走ってしっかりタックルして、5ヤードでも10ヤードでもいいから確実に止められるねばり強さが大切(DFコーディネーター田辺コーチ)」というように、どんなことをしてでも自分の後ろにはボールを運ばせないという強い意思と責任感が重要だ。 「経験」・・・良き選手への育成 「DBのポジションを務めるには多くの経験が重要」とコーチと選手は口をそろえていうように、戦況を読み、相手の動きを素早く察知できる観察力を磨くためには「経験」が重視されてくる。「相手をみてリアクションをするけれど、相手の動きを待っていると遅れてしまうから、一歩早く感じ取らなければならない。相手から攻撃を受けて守っているけれど、気持ちは前に勝負をしかけていく(CB・島津)」。 「相手に合わせてばかりだとやられてしまうため、自分から攻めていかなければならないときもある。シチュエーションにあった行動を目指さなければならない(SF・高木)」。 九州産業大学との練習風景 「どこを守る」というのが鍵であるDB。ミーティングや勉強会を行い、フットボールの知識を増やすことが第一である。スカウティング(※1)で様々なパターンのアサイメント(※2)を覚えることも重要だ。 他の選手と差のついた身体能力を手に入れるためのタックリングやステップは、日々メニューの中に入っている。 ※1:対戦相手のプレースタイル、ポジション、フォーメーションを細かく分析すること。立大は選手たちが行うことで共通の認識・理解を深めている。 ※2:プレーにおいてポジションごとに割り振られた役割。OF選手たちはこれに決められた通りの動きをしている。 "つらいポジション"といわれる理由 守備範囲が広いため、競技中は体力的に負担が大きいといわれるが、精神的な負担もあった。責任が重い上にミスをしたことが目立ちやすいDB。前でミスしたものを最後に処理するのはDBの役目。ボールを持った相手ランナーがDBの元まで侵入したときに、 彼らには頼る人がいないのだ。さらに、レシーバーと1対1で戦う使命を任されているため、パスが成功したときは冷たい視線がDBへ刺さる。 ボールをリカバーし、走り抜ける島津 DBの醍醐味 しかし、インターセプトが決まった瞬間は鳥肌が立つ歓喜が会場で湧き上がる。OFが有利なスポーツなだけに、相手OFの思い通りにさせなかったときはこの上ない喜びがあるのだ。DBが後ろをしっかり守っているからLBやDLが積極的にプレーをできる、 という言い方をすれば、DBはDFの中心になるだろう。「DBがもたらした安心感を全体的に浸透させた上で毎日プレーをしたい」と田辺コーチは堅いDFを目指す。 RushersのDB 「仲が良い」。立教のDBを見ているとまずこの言葉が出てくる。仲が良いといってもそれは"馴れ合い"ではない。ポジション争いをする"ライバル"とも一言で言い表せるものでもない。確かに練習中は対抗心を抱いている。そのライバル心とは「アイツを蹴落とす」のではなく、「アイツよりもいいプレーをする」こと。彼らはお互いを高めあう正真正銘の"仲間"なのだ。 練習中は自分にはもちろん、仲間に対しても厳しい彼ら。しかしそれは常にメンバーのことを思っているから指摘する、愛情の裏返しだ。だからといって恨むわけではなく、全部自分へ吸収していこうという後輩の姿に、「可愛い」と先輩はいう。 (7月31日 大瀬楓)
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