アスリート選抜入試の1期生。プレッシャーも当然あったことだろう。それでも彼らは結果で打ち破った。3部優勝から始まり、2部昇格・1部昇格・1部残留を成し遂げたのだ。主将・石井(済4)の言葉を借りるならば、そんな"調子乗り世代"が秋季リーグ戦をもって引退した。今回は「4年生特集」と題して、新井、石井、小粥、関根、広田、横山に4年間を振り返ってもらった。 ※木下は諸事情により欠席 ――入れ替え戦(VS法大)を振り返っていかがですか 石井:試合に出たかったけど、あの状況(骨折)だから仕方ないよね。それでもできることはやったし、チームも勝ったし、キャプテンという立場としては勝ったらいい。下級生にも残せるものはあったかなと思うし。素直にうれしいね。 新井:(けがを負ってしまい)今シーズン1試合も出られなくて、役員でベンチに入って、メンバー交代とかをやらせてもらった。1部でのリーグ戦は大差で敗れたように、策を講じても駄目だった。通用していた部分もあったけど、力が足りてなかった部分が多かった、まぁ見ていて面白かった。入れ替え戦は見ているこっちの方が緊張して、心臓が持たなかったというか、ドキドキした。自分たちの力以上のものを発揮して、1部残留という結果を出せたので、最高の形で引退することができたと思っています。 広田:けが人も多かったし、相手も強かった。そんな中で自分は何ができるかを常に考え、答えはチームをいい雰囲気に持っていくことだった。結果的に最後チームの勝利につながってうれしかった。どこにいてもやることは同じだけど、(最後ベンチに入れて)やって来て良かったと感じたね。 関根:自分は試合から離れていて最後の方はけが人も多くて不安があったけど、最後は勝つことだけを思っていた。結果的にチームが一つになって入れ替え戦勝てたので、今後につながるので、いい終わり方ができたと思う。 小粥:試合前は後輩に1部のフィールドを残したいなと思っていたけど、試合中は勝ちたいしかなかった。その気持ちを全員が持って戦えたのがうれしかった。試合内容はあまり良くなかったと思うけど、最後までトライして勝てた。 横山:真面目なことを言うと、石井が骨を折ったと聞いた時点ではっきり言ってやばいなと。コートの中で相当俺が引っ張っていかないとと思った。そういうプレッシャーも感じていて、石井、新井、留学したやつがいないから負けましたというのは嫌だったし、何より10年間部活をやって来て、この熱量でやれるのは最後だったから、今まで中学校から培ってきたものを全部出そうと思って、常に声を出そうと。いつもだったら試合内容を覚えているけど、入れ替え戦はあまり覚えてなくて、いつもはブロック数を数えているのだけどね…それも覚えてないくらい。最後の最後で集中できてチームも個人も一番いい形で終われて、勝った瞬間コートの中央じゃなくて、石井や新井のとこに駆け寄って抱き合ったんですけど、一番つらかったのは石井や新井が急に試合に出られなくなって、そういう気持ちを背負いながらだったのが、逆に力になったかなと。後は勝った時に織田島さんが号泣してハグできたのは嬉しくて、それだけは覚えている。小田島さんの柔らかさ。それで集中が途切れたといえば途切れた。 ――横山さんの話を聞いていかかですか 石井:まあ勝手に背負っていたよね(笑)。けど、俺が試合に出ていた時から横山は引っ張ってくれていたから、試合も練習もそういうところは頼りになったし、最後は迷惑かけて申し訳なかったけど、どこにいてもやることは変わらないから、その場その場でみんながベストを尽くしたからこういう結果になったのかな。 新井:4年生が当然のように出られていない俺たちの部分まで頑張ってくれたことはうれしかったね。 ――石井さん、主将として大変だったことはありますか 石井:年明けのミーティングかな。下級生から「こんなミーティングやる必要あるのか」と突き上げを食らい、そのころは下級生から見てまとまってないと思われたかもしれないし、それで関根とか翔平おが休部するとか言い出すから。でも残ったメンバーでやるしかないから、どれだけそこから4年で腹を割って話せるかというとこから、監督とも部員にも言うべきことを言う。最初はつらい、大変というか慣れないことだったから。 横山:メリハリある。飲み会では騒ぐけど、部活では言い合うし、みんな本気だよね、上級生からも言うし。 石井:他の部だと幽霊部員とか聞くけど、うちはいないし。一人一人がモチベーション高く持ってやる環境が整っているのかなと。 小粥:仲良いだけじゃない。言うことは言うし、けんかもするし。 ――4年間は自分にとってどんなものでしたか 石井:人生で一番熱く、一番濃かった。入ったころはアスリート選抜が始まって調子乗り世代って。入ってすぐ3部優勝して、2部いきなり3位。そしたら人は調子乗るでしょ。大学のハンド大したことないなと思っていたら、やっぱり次の年は2部の中位に低迷して、3年になったら生意気なやつが入ってきて、それを怒らなきゃいけない、それをお前らがやれって4年生に言われ、4年生が言えば良いじゃんって思ったこともあった。そこで久し振りに入れ替え行けて、4年になったらキャプテンになって、OBさんにもいろいろ言われるようになった。いっぱいキツい思いもしたけど、楽しいことがそれ以上にあったね。 関根:あっという間で濃かった。高校と違って楽しくて先輩や同期とやれて、ハンドボールはみんな真面目でやるときはしっかりやっていて、大学のハンドボールそうでもないのかなと思っていたけど、やってみたらすごいしっかりしていた。最初どうかなって思ったけど、最後はやってよかったと思います。充実した4年間でした。 広田:アスリート選抜が始まって、3部だし軽い気持ちで入った。1部だったら入っていなかったね。そんな感じで始まって、何回も辞めようと考えたけど、周りの人に恵まれてたから続けて来られた。今、引退してこの部活に入って良かったなとすごく感じています。 新井:アスリート選抜が始まって、いろんな地域のハンドボールが知れて楽しいなと思っていた。でも1番の衝撃だったのは高校までは監督絶対だったから、大学では監督の扱いが雑だった。みんな調子にのって始まって、サッカーと6VS6やって終わりだった。下級生が入ってきて団結して上を目指した。今年は昇格して残留。リーグ戦は新しい選手が多く出場して、このあと支えてくれるんだと思えてすごく良かった。総じて楽しかったことに尽きます。 横山:こんな濃厚な4年間はない。最初みんなも言っていたけど、部活が楽しくて、中・高と練習も厳しい部活にいたので、毎日また練習かくらい。大学では池キャンの4限終わると真っ先に教室出てさあ部活だと。みんなと話して遊ぶが楽しくて、こんなにハンド始めて人と腹割って話したこと初めてで、どんなに仲良くても笑って流したりあるが、少しでも何か思ったらすぐ言ってきたし、そういう人間関係は他じゃできないし、それは同期が一番。熱い4年間でした。 小粥:一年ごとに自分がすごく成長したなと思って、入部当初は考えや行動が幼かった。4年になって怒られることもあまりなくなり、この部活に入って成長したなと。4年間通して今まで体験したことないことばっかりで、これから生きていく上で大事な4年間だった。同期にも色々迷惑かけたし、これで引退だけどこいつらで良かった。自分に関わってきてくれるし、自分にないものばかり持ったやつだし。楽しかったことは飲み会かな。部活に迷惑かける寸前。何とかみんながフォローしてくれて助かった部分もあったね(笑) ――後輩に伝えたいことはありますか 石井:俺らが一部でやりたいから、チームの目標だったから。下はまたインカレ出場だったりを目標にして欲しい。前の代のことは忘れて自分たちのやりたいようにやれば良い結果だったり、楽しいチームになるのかな。思った通り感じた通りに。 関根:あっという間なので、一生懸命やってくれればいいと思います。だから今出来ることを全力で悔いが残らないようにやってくれ。 広田:チームが強くなるために何ができるか、それを意識すればチームは強くなる。引退するときに思ったけど、この部活に入って良かったなと思えるようにやってほしい。悔いが残らないように。 新井:一人一人が欲をもってやってほしい、何かしたいという欲が力になる。チーム全体では成果をとことん求めるようにしてほしい。さらに上を目指して、そうすれば自ずと得られるものがあると思うし。 横山:俺らは1部に上がってインカレに出ることを目標にやっていて、それが成し得なかったから、あいつらにその舞台見てほしいな。俺らができなかったことを。あと妥協しないで、練習は当たり前だけど、人と意見がぶつかった時に妥協しないで納得するまでっていう人間関係を。良いチームができて、自然と強くなっていくはず。チームスポーツやっている以上、数字に出ないことを。 小粥:飲み会は良いけど、飲み過ぎは良くない。チームを良くしようと一人一人が思ってたら、絶対に強くなる。意見の食い違いをぶつければチームは良くなるとこの4年間で思いました。喋るのは大事。何か思ってたら言わなきゃ分からないし、そのままだったら100パーセント練習に打ち込めないから、不満を一つずつ解消していくことが良くなるために必要なこと。それを意識して頑張れ。
(取材:石見禎裕・太田真敬)
(11月25日 編集:石井文敏) 4年生のプロフィール
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