ラグビー部 新チーム始動



昨年惜しくも入替戦に敗れ、関東大学対抗戦Bグループ降格が決まったラグビー部。
Aグループ復帰を果たすべく、新チームがすでに始動している。
本年度のスローガンは「Return」。この言葉には、
1.W昇格
――関東大学対抗戦Aグループ昇格、ジュニア選手権カテゴリー2昇格
2.感謝、恩返し
――言葉ではなく行動で表す
という二つの意味が込められている。代替わりを終え、新たな指導者も迎えた立大ラグビー部。彼らの目指しているラグビーとは。オープン戦直前の彼らの現在、今季の展望を福田新主将(済4)、松本GM、加藤HCに迫った。

福田主将
――キャプテンになって変わったことはなんですか?
全体を見なければならないということです。昨年までは自分のことを精いっぱいやって、余った部分をチームに、という感じでしたが、今年は主将なので自分のことだけではいけないので。ラグビーのプレー、姿勢といった部分では特に変わらないです。「体を張る」という部分では前主将の守本さんには多大な影響を受けています。守本さんが去年1年、チームで一番体を張ってくれていたので、自分も今年はチームで一番体を張っていかなければならないと思っています。

――今シーズン、どのようなチームを目指していますか?
とにかく良いチームにしたいです。しっかり挨拶できるだとか、部室がきれいだとか、道具大切にしているだとか、そういう基本的なことができるチームは愛されるチーム。愛されるチームは絶対強いチームなので。人として当たり前のことができるような、愛されるチームになるようにみんなに常々言っています。

――スタッフが変わりましたが去年と比べてどうですか?
去年から、みんなこのままじゃいけないという危機感がありました。しかし変わっていこうとする中で、まだ新しいスタッフが何を目指しているのか、指示、練習の意図などを選手たち全員がまだ完璧に共有できていない部分があります。そのように選手たちとスタッフ陣とのコミュニケーションが取れてない部分は自分や上級生が中心につなぎ役としてうまくやっていきたいと思っています。

と青学大だからと言って変な力が入るのは良くないと思っています。どのチームにも一緒の力出さなければいけないので。青学大も去年とは違うチームで来るはず。去年とは違う変な固執、こだわりは良くないと思っています。

――今季の戦術はどうですか?
昨年のようにただ外に振っているだけではきついな、というのが全員の意識としてありました。だから今年は良いタテがあってこその外への展開ではないか、という認識でやっています。最終的には外に回してきれいな形で取り切りたいですが、攻撃の過程で良いポイントは作りたいと思っています。あとはやはり接点です。ラグビーの試合を決める一番大事な部分だと思うので。

自分も含めて、どの学年もまだまだ物足りないので力を付けていかなければなりません。特に3、4年生はチームのことを考えて毎日100%出し切ってほしいです。全員が同じ水準で、同じことを考えて、同じものを目指せていけたら良いなと思っています。2年生には羽柴(法2)や神田(観2)など能力の高い選手がいっぱいいます。彼らには今はまずとにかくラグビーを一生懸命やってほしいと思っています。チームのことを考えろ、周りを見ろ、と言ってもまだ難しい時期だと思うので。
1年生も付け焼き刃のチームだから結果は散々でしたけど(17日に行われた新入生歓迎試合の結果に対して)、良いモノを持っていると思います。良いプレーもありました。真壁(尾道高出身)や白石(本郷高出身)なんかは出てくると思います。一生懸命練習すれば必ず結果はついてくると思います。自分たち上級生は下級生が一生懸命ラグビーに取り組めるような環境を作っていかなくてはならないと考えています。

松本総監督兼GM
――総監督という立場から、今季どのようなチーム作りを目指していますか?
今まで4年間、川崎さんが監督をやって、自分は今までも管理者というかチームディレクターとして関わってきていたので、今回も監督と言うよりもGMという総監督的な立場でチーム全体を統括しようかと考えています。そういった意味では、今までやってきたことは財産(川崎さんの時に目指した一つのラグビーの形"フォローラグビー")として引き継ぎ、それに加えて今年は新たに自分が指名した加藤HC(筑波大学院でラグビーを研究) のもと"シンキングラグビー" (みんなで考えてラグビーをやろう!)を実践しようかなと。Bチームに降格したのだから一回リセットしたうえで今までの財産は残しながら、その土台に新しい考えるラグビーを加えられれば良いかなと思っています。加藤HCの経験と知識を生かしつつ、西田(NEC)の力も借りる。とにかく新しいステージに上げるためにやっていこうと思っています。

――具体的に強化している戦術は何ですか?
とにかくまずはディフェンスです。これは今から時間をかけてやっていこうと思っています。Bグループで勝つことは大前提ですが、Aグループで勝つためにはディフェンスからのタイムアウトやアタックへの切り替えが大事になってくるでしょう。確かに攻撃力は去年までの課題でしたから、強固なディフェンスを作った上でアタックもこれから作っていくつもりです。武器になる選手をどう作っていくかが今後大きな課題となってきますね。

――FWはモールの練習をたくさんしているとお聞きしましたが?
青学大のようなチームがモールで攻めてきたときなど、Aで勝つためにはゴール前のモールでトライを取られるパターンは絶対なくさなくてはならないので。

――キャプテンに求めることは何ですか?
新チームが始まって一カ月半。福田には大いに期待しています。東福岡で日本一になっているし、立教でも地道に努力してきた選手ですから。いまはまだチーム全体を見ることに慣れていないかもしれないけれど、これからもっと全体を見ていってほしいと思っています。もちろんプレーでも示してほしいけど福田の個性をどんどん発揮してとにかくチームをまとめてもらいたいですね。人数もそれほど多くないので、彼なら一つにまとめることが出来ると信じています。

――ケータリング形式の食事を取り入れたとお聞きしましたが?
まずは体を大きくしないと話が始まらないので。一人暮らしも多いから体重を増やすために取り入れたものです。クラブハウスも新しくなってアスリート向けのケータリング業者を介してきめ細やかな栄養管理を徹底しています。

――オープン戦初戦の相手は青学ですが、特に意識していることはありますか?
去年の最終戦、青学に3点差で負けました。そして今季最初の相手が青学。これは因縁でしょう。組めたのは良かったと思います。去年からの力の差がどのようになっているかと、自分たちの今の力を確かめるのには最高の場になりますので。とにかく点を取らせない、アタック力があるチームですから、調子に乗らせない、課題のディフェンスがどこまで通用するのかといったところは注目すべき点ですね。

――怪我人が多いですが?
それが今、一番の課題です。怪我人で1チーム作れるほどいます。去年からの古傷やリハビリなどで外れている選手はともかく、春の練習で人数が欠けていっていることは問題視しています。

――怪我人が増えることで出場の機会が増える選手がいることに関しては、チーム力の底上げになるのではないですか?
それはまだ先の話かなと思っています。とにかく今は練習期間です。人数の少ないチームで15人も怪我をされてはチームの運営が厳しくなりますから。トレーナーがついてしっかりとリハビリをさせています。

――今後、期待の選手はいますか?
新入生で言えば白石、真壁あたりは出てくると思いますよ。花園での実績もあります。

加藤HC
自分の大学時代から立大はAグループにおいて1勝もしていないですから、まずはAグループ2勝3勝できるチームにしたいです。去年に比べあまり他の大学出身のコーチが少ないのですが、立大に対して愛情あるコーチが集まっています。チームとして次のステージに行きたいです。戦術では、昨シーズンのアタックはただ回すだけでしたが、今シーズンのアタックは去年の「展開」に何通りかのパターンをスパイスとして加えるつもりです。展開だけでなく強いタテが必要だと考えています。ディフェンスは各選手明確に仕事を決め、強化していきたいですし。モールももちろん課題です。

またFWは機動力で勝負していこうと思っています。同じことやっても明治帝京などでかい相手には勝てないので、走れるFWが必要です。力相撲ではなくFWの機動力を生かして勝ちたい。Bグループということでレベルは落ちますが、この機会に自分たちのラグビーを追及し、改めて作りなおすチャンスだと思ってやるしかないです。入替戦が今季の最終的なターゲットとなりますが、それに満足せず+αでAグループでも通用するような意識を持ってやっていきたいと考えています。選手権に行くには下位3チームには30点以上差つけなければなりませんから。そういう戦い方を目指しています。
――そのために選手たちにはどのような指導をしていますか
やはりディフェンスはなにより重要なので毎日の練習で意識させています。あとは体大きくすること。ケータリング形式の食事などですね。しかし、それ以上に根本的に上でやりたいという選手の気持ちを掻き立てることが重要です。ラグビーをしている時間以外での意識を変えなければなりません。ラグビーの優先順位を上げなければ。 <BR>24時間の中でラグビーをやっている時間は2時間程度かもしれませんが、食事など他の時間は各自の時間の使い方次第で変わってきます。精神的な面での指導もしっかり行っています。

――福田主将に期待していることはありますか?
しっかりした人間なので、すごくやりやすいです。怪我が治ればプレーの面でもすごく良くやってくれるので、特に主将だからと言って今年から期待していることは特にないですね。いつも通りやってほしいと思います。

――加藤HCから見た各学年の印象はどうですか?
全学年素直です。あととても吸収が速いと思います。 4年はリーダーシップ持ってやっているし、3年はやんちゃな学年という感じ、2年は静かに燃えるタイプが多いですね。

――オープン戦初戦の相手は青学ですが、特に意識していることはありますか?
青学大は昨シーズンのリーグ戦最後の相手であり、今シーズン最初の相手。新チームが始動してから2か月間、各自が取り組んできたこと、チームの成長が問われる試合です。青学大戦を見てほぼ練習を作ってきましたから。勝ち負けも大事だが、そういった意味で重要な試合でもありますね。 <BR>去年の入れ替え戦は3トライ3トライで負けたので、今度の試合では最低でも4トライ取り、相手のトライは2トライ以内に収めるというのが目標です。
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Aグループに降格こそしたものの、その意識はBグループ上位校と比べても何ら劣ってはいない。事実、彼らはすでに再来年、2013年の学生選手権出場を見据えて日頃の練習に取り組んでいる。新入部員も力を付け、先輩達を脅かす存在となってくるだろう。

再来年、悲願の学生選手権を掴むためには今から常に進化し続けねばならない。

まずはオープン戦、新生立大ラグビー部の初陣に期待したい。
(4月30日 田中大志郎・田島直斗)
写真提供:立教大学ラグビー部

5月
1日(日) 対青山学院大学 会場:青山学院大学グランド(最寄駅:淵野辺)
15日(日) 対玉川学園大学 会場:玉川大学グランド(最寄駅:玉川学園前)
22日(日) 対東洋大学 会場:東洋大学グランド(最寄駅:鶴ヶ島)
28日(土) 対早稲田大学 会場:早稲田大学上井草グランド(最寄駅:上井草)
6月
19日(日) 対国学院大学 会場:国学院大学グランド(最寄駅:淵野辺)
26日(日) 対大東文化大学 会場:大東文化大学グランド(最寄駅:高坂)





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