スケート部スピード部門 菊池悠希 勝負の3年目 ―「とにかく結果を出したい」―
これまでの5年間、彼女は苦悩の日々が続いていた。高校1年生の時、順調に行けば世界ジュニア選手権に出場できるはずだった。だが練習中に転んで骨折。大会自体にも出場できなかった。「その後、大丈夫と思っていたのですが」、彼女は怪我を忘れようとしていたが、何かを引きずり続けていた。当時競いあっていた石田千賀選手(関学大)や斉藤仁美選手(神大)は強化指定選手へ。彼女はメンバーから外されていた。 転機となったのは常に意識していた言葉である"感謝"だった。大学1年時に彼女はこう話している。 ――尊敬できる人との会話を大切にしています、自分も頑張ろうと思えるので この考え方を続けてきたことによって彼女の心は変化していった。スピードを続けていくためには莫大なお金を要するため、親に援護してもらったり、ゼミでも友人に助けてもらったりと周りありきの自分だと理解。「前まではスケートとは関係のないことで悩んでいて、昨シーズンでいろいろな経験をして、気づいたらそんなことで悩んでいる自分が小さく感じ、それよりどうしたらもっと速く滑れるかを考えるべきだと思った」とも話す。 オフシーズン、彼女は練習に励んだ。鏡を使いフォームを意識した練習、短距離のスタートに繋がるジャンプ練習や週2日で氷上。持久力をつけるため、週1日で自転車練習に取り組んだ。夏休み期間も長野・野辺山で合宿を行い、週末は東京に戻らず地元のチームで強化を図ったという。「今後スピードを続けていくか、オリンピックを目指していくか、決める大事なシーズンになるので頑張りたい、結果を出したいです」。自信を取り戻しこれでた彼女にはもう引きずるものなどない。
今シーズンは始まったばかり。インカレ・東日本などあるなか、クリスマスに神戸で行われる全日本選手権で彼女はもう一度ワールドカップ出場権をかけ戦う。 私は彼女に言いたい、"報われない努力などない"と。 菊池悠希の勝負の3年目を追い続ける・・・ (10月20日・石井文敏) |