春季リーグ戦2012

―セントポールを担う7人の戦士―
HONKI‐@‐



  球春到来――。神宮球場に校歌が響き渡る季節がやってきた。25季ぶりの優勝へ、今年は主将・松本幸ら神宮経験者が数多く残る。大塚淳人監督(昭57法卒=岐阜)も「この選手たちが本当に優勝を狙っていけるか、チームを引っ張っていけるかが一番のポンイト」と断言。昨秋ベストナインに輝いた加藤祥(コ4=東農大二)も「俺たちがどれだけ頑張れるかだと思う」と口を揃える。カギを握る7人の4年生を全3回にわたり特集する。


■「走攻守」三拍子揃った天才 主将・松本幸一郎(コ4)
  昨春は累計15安打を放ち、打率.288という成績を修め、自身2回目のベストナインに選出された。だが昨秋は全試合に出場するも、打率は奮わず.243。『優勝』、また上級生のラストシーズンに華を添えることはできなかった。早大など力的に勝てる試合で勝ち点を上げられず、「不甲斐ないシーズンだった」と振り返った。
  そんな彼は今年主将に就任した。一生懸命やろうという姿勢を部員全員に求め、練習の中では互いのミスを指摘する声が響きわたる。副将・山田(コ4=東邦)も「どこかを変えないと勝てるようにならない」と共感を示し、松本も「一つ一つのプレーを考えるようになった」と実感を口にした。

「チームの勝利が一番大事」

  「技術があってもパフォーマンスができなければダメだと思う」と今オフは1日1000本を超えるスイングを積み、体をいじめ抜いた。ストイックな姿勢でチームを牽引し、また名門・横浜高でも1年から出場している彼は、後輩たちから見ればお手本のような存在だ。大学日本代表にも常に選ばれ、昔からの夢であるプロ野球選手への期待も高まる。だが当の本人は「後からついてくるもの、今は優勝しか頭の中にない」と冷静な姿勢を崩さない。オープン戦ではフル出場を果たし、対愛学大戦では3打数3安打。ほぼ毎試合安打を重ね、好調を維持している。唯一無二の存在が、チームを『頂点』へと導く。

◆松本幸一郎(まつもと・こういちろう)
1990年(平2)5月21日生まれ。178センチ、75キロ。神奈川・横浜高出身。コミニティ福祉学部スポーツウェルネス学科4年。主将。内野手。右投左打。



■変幻自在の投球術 エース・小室正人(済4)
  昨春はシーズン6勝をあげ、ベストナインに選ばれる活躍を見せ、エースの名をつかんだ小室。そのオフは速球に磨きをかけ、あとは『優勝』をつかみ取るだけかと思われた。しかし臨んだ秋季リーグ戦でアクシデントが起こった。「初めての経験だった」と早大一回戦でマメを潰し、戦線離脱を余儀なくされたのだ。「彼のケガが大きかった」と監督も口にするように、エースの離脱は大きく響き、黒星が重なった。結果小室はシーズン3勝。"柱"と期待されながら、不完全燃焼に終わった。

「考えて野球に取り組んでいる」

  そこから学んだのはシーズンを通して戦える体作り。オフシーズンはバッテリーキャンプを行い、砂浜でのダッシュなど下半身を強化した。また肩周りの強化。さらに新球種にも精力的に取り組み、緩急をつけた投球で打者との心理戦に備える。「打者をいかに打ち取れるか」、投げ込み練習でも常に意識しているテーマだ。今年は投手チーフとなり、自分が引っ張る意識も芽生えたという。「充実したオフシーズンを過ごせた」と手応えを感じている小室。HONDAとの社会人対抗戦では久しぶりにマウンドに上がり、1回を無失点に抑えた。――絶対的エースへ。彼への期待は高まるばかりだ。

◆小室正人(こむろ・まさと)
1990年(平2)8月6日生まれ。172センチ、68キロ。東京都・都日野高出身。経済学部経済学科4年。投手。左投左打。


■「扇の要」 副将・山田祐輔(コ4)
  副将として主将の松本を、女房役として小室を支えているのが山田だ。昨年は初めてレギュラーとして出場。昨秋の法大戦ではサヨナラ中越打を放ち、春秋ともに打率.308をマークした。だが「守備力にこだわっていたが、小室任せにまってしまっていた」と悔しそうに振り返った。
  エースの負う負担を軽くし、持つ力を存分に引き出しリードしていくのが山田の役割。新しい球種を練習する時も捕手として、できる限りのアドバイスを欠かさない。バッテリーキャンプでは、バッテリー全員の約21名と濃い練習を重ね、連携は強まった。「褒めるところはしっかり褒める」。後輩らの投げやすい環境作りに努め、投手陣の育成も彼の重要な役割である。

「嫌がれる打者を目指していきたい」

  攻撃面では、「いろんな球を読んで1日1本は打つ、嫌がられるバッターになりたい」とも話してくれた。オープン戦でも安打を量産し、打者としての活躍の期待もかかる。ストライクに入ってくる初球を振る積極的な姿勢も彼の魅力だ。副将として、捕手として、そして打者として。彼が背負うものは多い。それでも「優勝しかない」と意志は強固だ。

◆山田祐輔(やまだ・ゆうすけ)
1990年(平2)7月16日生まれ。166センチ、74キロ。愛知県・東邦高出身。コミニティ福祉学部スポーツウェルネス学科4年。副将。捕手。右投右打。


◆平成24年度春季オープン戦結果(東海・宮崎エリア=A軍)◆
3月3日(土) トヨタ自動車 ●0−4
3月4日(日) 西濃運輪 ●1−4
3月6日(火) 三菱自動車岡崎 ●0−4
3月7日(水) 王子製紙 ●0−1
3月11日(日) 福岡大 △3−3
3月12日(月) 大阪体育大 ○2−1
3月14日(水) 九州共立大 ○3−2
3月15日(木) 九州共立大 ○3−1
3月17日(土) 宮崎産業経営大 ○4−1
9試合4勝4敗1分

次回は岡部賢也投手(コ4=立教新座)、前田隆一内野手(コ4=常葉菊川)です。お楽しみに!
(4月9日・寺門奈緒)





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