自転車競技部

―伸び続けた1年 最高の終幕を―



   立大自転車競技部が今年1年で残した戦績を上げてみよう。新主将・森田(文2)の全日本アマチュアロード9位、全日本学生個人ロード7位、箱根ヒルクライム優勝…。渡辺(社3)の全日本トラック6位、全日本学生クリテリウム6位、RCS第8戦クラス1優勝…。さらに期待のルーキー・高木(理1)のクラス1昇格をはじめ、部員たちの目まぐるしい昇格ラッシュもある。なぜこれほど数多の栄光をつかむことができたのだろうか? 確実なことは2つだけ。彼らの自転車へかける強い思い、そしてオフシーズン無き日々の練習。これが全ての源だ。ここで立大の努力の1年間を振り返りたい。彼らの軌跡を見れば、2月17日に開催される全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ(以下RCS)最終戦を、心待ちにせずにはいられなくなる。

○過酷な夏を乗り越えて
  夏休み――。8月〜9月に行われるインカレに備え、立大自転車競技部は厳しい環境下に身を置いていた。8月前半は長野・美麻にて合宿を行ったが、なんと風呂もトイレも無いキャンプ場が拠点だった。「とんでもない環境だった」(森田)。長野で練習とレースを重ねると、8月後半にはインカレの開催地に合わせ、拠点を鹿児島・大隅半島に移す。宿は山の頂上にあり、練習に行くにもコンビニに行くにも自転車が必須だった。だが「自転車はどれだけ乗ったかが勝負」という渡辺のもと、部員たちは炎天下の鹿児島で走り続け、1人1人が自転車に対する意識を高めていった。そして迎えたインカレ。立大は4kmチーム・パーシュートで立教記録を更新するなど、練習の成果を発揮する。しかし勢いそのままに挑んだロードレースでは、展開に恵まれなかったこともあり、リタイアが続出。完走できたのは森田のみで、大学対抗順位も昨年度を下回った。
  だが、単に不本意なまま終わったわけではない。自転車漬けの日々を終え、佐々木(法2)は「合宿で実力、体力的にも伸びてきた」と感じており、渋谷(済1)も「もっと自転車に力を入れるための心ができた」と語る。次期主将を任される立場として、森田に至っては頭を丸めてしまった。自転車と共に過ごしたひと夏は、部員たちの肉体と精神を大きく変化させた。そして、その成果は徐々に表れてくることとなる。

○努力は秋に結実し
  季節は秋色が深まる頃に。彼らの努力は徐々に実り始める。まず結果を出したのは渡辺だった。滋賀県で行われた全日本学生クリテリウムで6位入賞を果たした。今年度は結果が伴わないレースが多く、「苦しいシーズンだった」渡辺だが、エースとしての存在感を改めて示した。他の部員たちも練習とレースの日々を送り、迎えた11月18日の全日本学生RCS第8戦。まずはクラス3から佐々木が出走すると、ラスト2周で飛び出し2位でゴール。1年目で味わえなかったクラス2への昇格を果たす。さらにクラス2では、期待のルーキー・高木がレースを引っ張り、最後は独走でフィニッシュ。1年目にしてクラス2優勝、クラス1昇格を決めてみせた。そして最後のクラス1。渡辺と森田をはじめ、各校のエースがひしめき合い、先の読めない展開が続く。最終周の最後の直線、選手たちが一気にスプリントをかける。渡辺が前に出る。抜くか、抜かれるか――。「シャアッ!」手を高く突き上げたのは渡辺だった。ついにクラス1の栄光をつかんだ瞬間だった。

   まさに「立教の日」。この日だけでこれだけの結果を残した立大勢だが、やはり今までの努力の表れなのだろうか。渡辺は言う。「例年よりはチームにまとまりが出てきているのかな」。少しだけ、と笑って付け加える彼だが、部全体で行ってきた自転車に対する「意識の共有」が果たされたからであろう。「今年の1年生は練習熱心なヤツが多いからうかうかしていられない」という小菅(法2)の言葉からもわかるように、1人1人が互いのカンフル剤となりモチベーションを高めていくという、いい流れができている。 立教の勢いはこの日で止まらなかった。12月2日に行われた全日本学生RCS第9戦・箱根ヒルクライムラウンドでも、森田が見事な優勝を決めている。「自分の得意分野を再確認できた」。新主将として貫禄を見せた。


○全力で冬を走り抜く!
  寒い冬がやってきた。この時期のRCSは埼玉県行田市で4回行われる。休耕田で行われるため、選手にとっては寒さや冷たい風と戦いながらのレースだ。しかし、立大勢はいつだって熱い展開を見せてくれる。RCS第11戦ではクラス1に昇格した高木が準優勝。さらに同レースで小菅、渋谷がクラス2への昇格を果たし、大学から自転車競技を始めた油井(法1)もレース初完走を遂げるなど、ますますのレベルアップを見せた。

  そして、今年最後の大一番の時が刻々と迫っている。2月17日、東京・明治神宮外苑でのRCS最終戦。大学対抗も兼ねているこの大会には全国から強豪校が参加し、会場は大きな盛り上がりを見せる。当然、立大もこの大会に懸ける思いは強い。高木は「(目標は)大学優勝。積極的にポイントを取りに行きたい」と意気込んでおり、早くも新エースとしての自覚を持つ。森田は神宮に向け、行田ラウンドでずっと調整を続けてきた。「(目標は)1位で」。そう言い切る彼からは力と気合いがあふれ出る。「みんなも気合い入れてくると思う。1年間やってきて、冬場とかもちゃんと乗ってきたので、その成果が出せればいいかなと思います」。就職活動で戦線を離れていた渡辺も帰ってくる。渡辺・森田・高木。最高のメンバーで神宮へ挑む。


  今年最後の戦いの時はもう目の前だ。紡いできた1年間の積み重ねは天井知らず。自転車に対する強い意識が彼らを大きく成長させ、実力も格段に伸びた。最終戦でも個々が最高の走りを展開すれば結果もおのずとついてくる。当日お時間のある方は、ぜひ神宮外苑に足を運んでみて欲しい。立大が、そして自転車競技が最も輝く瞬間を目にすること、間違いなしだ。

(2月10日 小野錬)


◆2012年度全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ最終戦 第7回明治神宮外苑大学クリテリウム◆
2月17日 明治神宮外苑周回コース





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