東日本学生選手権大会 特集
〜試練を乗り越えて〜 迫る!東日本インカレ いよいよ今週の木曜日(9日)から第34回ミニミニカップ平成24年度東日本学生選手権大会が幕を開ける。今春リーグ戦では41年ぶりに1部の舞台で勝利を挙げたものの、国武大(2部2位)との入れ替え戦でまさかの黒星を喫してしまった立大。「インカレに行けなかったら引退したい。それくらい強い気持ち」と主将・高木(コ4=大分雄城台)が意気込むように連続出場となる今大会への思いは特別だ。北星学園大(北海道代表)、東北福祉大(東北代表)、新潟大(北信越代表)と相まみえるDブロック。ブロック1位に与えられるのはインカレ出場権である。1972年以来40年ぶりの快挙へ、チーム一丸となり勝利を目指す。 新チーム発足 「弱い時代のままでしかない。過渡期にきているので、ここ2、3年が勝負」と2月3日から練習を幕開けた今季は、高木を中心に練習内容を一変。昨秋リーグ戦、39年ぶりに返り咲いた1部で見つかった課題から、ウェイトトレーニング強化や戦術の見直しを図っていった。また「常に挑戦者という気持ち。去年と同じことをしていたら勝てない」と玉城(コ4=那覇西)は常に前を向いている。さらに高校時代に全国3位を経験し、大学でも「自分たちの力で上にあがれるようなチャレンジがしたい」と早大進学を辞めた田畑(コ1=法政第二)。こういった選手の『意識』も練習の雰囲気を変えていった。そしてリーグ戦前に中大との練習試合で白星を挙げ、自信を持ってリーグ戦を迎えた。 2部降格 主力の引退と4年生の相次ぐケガに見舞われ、田畑のほかに長澤(コ1=不来方)や下地(済1=興南)、仲田(社1=興南)ら多くの1年生がスタメンに名を連ねた。日体大、早大、明大といった強豪相手の前半戦では、3月中旬から練習に参加した1年生とのコンビネーションはいまひとつ。フィジカルでも当たり負け、前半で勝負がつく試合もあった。0勝5敗、そんな中迎えた筑波大戦。試合後「今まで全然試合になってなかったので、何か新しく勢いをつけるならこの試合かなと思って」と得点ランキングトップ10に入った長澤が冷静に振り返った。「1年生との息も合った」と序盤から松井(営3=市川)が『くさび』となり、右に左にボールを散らしていく。またフェイント攻撃も冴える。7bラインまで侵入し、ゴールを決めていく。守備でも前からのアプローチで隙を与えず、ミスを誘い、速攻につなげた。残り3分で突き放され25−27で敗れたものの、彼らは確かな感触を得た。その後も勢いに乗り、「1試合どれだけフィジカルで勝てるか」とポストの田畑が話すように、国士大戦でも粘り強い攻守の動きで4点差まで猛追。そして順大戦で勝利をあげ、万全の状態で入れ替え戦に臨むと思われた。 だが結果的に、順大戦での勝利は油断につながってしまった。入替戦で法大(2部1位)戦を回避できたことに選手はひとつ終止符を打っていたのかもしれない。「勝てるという甘さがあった」と振り返る選手たち。2点をリードして前半を折り返すも、もどかしい雰囲気が漂う。そして後半開始から10分の間に7得点許す展開に。2度のタイムアウトで立て直しを図るも、立大ペースには持ち込めない。ラスト5分には攻勢に出た隙を突かれ、速攻のオンパレード。26−32で無情にもブザーの音が鳴り響いた。
結果から見れば昨季と同じような試合ばかりしていたように思えるかもしれない。だがそれは違う。41年ぶりとなる1部での勝利を果たし、また昨季には見られなかった国士大、筑波大といった1部中堅校と同等の戦いを展開したリーグ戦であったのだ。 再スタート 例年ならリーグ戦終了後、1カ月間ほど休養期間に入るのだが、今年は違った。休暇は平成24年度菅記念男子春季ミニミニカップが終わってからの1週間のみ。「リーグ戦前は『これでいいんだ』と思っていたけど、結果はダメだった。試合での緊張感を練習でも出していきたい」とその大会のインタビュー時に岩井(社4=富岡)は語っていた。授業期間時の練習は週5日×3時間で、各自毎日ウェイトトレーニングは欠かさない。全体練習はそのうち1日2時間。残りの1時間は練習前か後に集まってウェイトトレーニングを行っている。練習場所となる新座体育館Cアリーナは日によってはフェンシング部と共有なため、半面の時もある。練習環境は決して良いとは言えない。それでも最大の練習をするためにはどうすればいいか…。彼らが行き着いた答えは、今年のスローガンでもある『本気』の精神だった。栗山(済3=桃山学院)の言葉を借りるならば、「一人一人がどれだけ本気でやるか」。2部降格後、より明確になり、妥協しなくなったという。 東日本インカレ1カ月前である7月上旬の練習に伺わせてもらったのだが、そこでは体現化していた。チーム全員が自らのやるべきことを理解し、円滑に練習を行っていた。また「各ポジション2人はいるようになった」と高木がニコリと笑って答えるように、ケガ人や石井(文4=浦和学院)、今野(コ3=藤代紫水)ら留学組が復帰し、戦力も充実。戦術も相手に合わせられるよう、何パターンも準備し、もはや不安要素はない。あとはしっかり調整し、真夏の秋田の地に乗り込み躍動するだけだ。
|
(8月7日・石井文敏)
|