拳法部

―変化の時 新たなスタート―



   日本拳法――。そう言われてどんな競技か想像できる人はいるだろうか。拳で突いたり足で蹴りを入れたり、さらには組み技まで駆使するなど、全身で相手に向かっていく武道。それが日本拳法である。試合自体は1対1だが、チーム全員で気合いを入れ、闘志をむき出しにして攻めていく選手たちの姿は、見る者を興奮させてくれる。

  立大拳法部も日々厳しい稽古を積み重ね、各試合に全力で挑んでいる。4年生の竹内(社4)や拳法の世界チャンピオンに輝いたことがある藤谷(コ4)。新主将の玉木(現3)をはじめ、ポイントゲッターとして躍動する3年生。そんな先輩の背中を追う2年生と1年生。部員1人1人が力をつけ、高みを目指している。そんな部の雰囲気を鈴木健(済2)はこう語る。「一個上の先輩方が引っ張ってくれているので、雰囲気はすごくいいです!」


  昨年は部員不足に悩まされた。入部しても辛い練習についていけず、辞めてしまう部員が出てしまうこともあった。それでも選手たちは努力を重ね、結果を残していく。顕著なのが女子だ。6月の矢野杯東日本学生選手権では、決勝戦で藤谷と木金(観3)が相まみえる展開に。「立教同士やりにくかった」と振り返る藤谷と、「決勝で憧れの先輩とやれたことは本当にいい経験」と口にする木金。優勝杯を争う2人は日々切磋琢磨(せっさたくま)する仲。お互い仲のいい姉妹のようでもあり、高みを目指すライバルでもある。そして今年は新たな戦力・岡田(観1)が加わった。11月の東日本総合選手権では藤谷が優勝、木金が準優勝という成績を残す中、大学から拳法を始めたという彼女も健闘。4位入賞という結果を収めた。「3位に入りたかった」と満足はしていない岡田だが、「練習はとても楽しい」とすっかり部になじんだ様子。藤谷は引退を迎えるが、今後も女子たちはさらなる飛躍をしてくれるに違いない。

  東日本圏内には中大や明大、早大といった強豪校が揃うが、立大の男子も負けていない。10月に行われた東日本学生選手権を振り返ろう。1回戦で国士館大を破った立大は、2回戦で中大と対戦。全日本でも結果を残している強豪だったが、「いつも以上に気合いが入っていた」(竹内)。決して相手に臆さず挑んでいく。すると、次鋒の玉木が胴突き1本で勝利。滝本(異3)は敗れたものの面突きを相手にお見舞い。さらに竹内は面突きと胴突きの2本で勝利を決めた。チームとして敗れはしたが大健闘。「3年生がすごい伸びている。すごくいい感じ」と竹内はチームの成長を実感する。
   そしてその成長は「勝利」という形で表れ始めてきている。滝本が埼玉県選手権大会で準優勝し、全日本総合選手権への出場権を獲得したのだ。総合選手権は学生のみならず社会人、機動隊や自衛隊といった強豪が集う大会。特筆すべきは、立大男子が出場権を手にしたことが史上初の快挙だということだ。1人1人の力は間違いなく伸びてきている。チームとして栄光を掴む日もそう遠くはないはずだ。

  拳法部の雰囲気は「風通しがいい」(大山=観3)ことだ。  選手たちにインタビューをしていると、どこからともなく他の部員たちが現れる。すると滝本をはじめとした先輩が後輩に「尊敬する先輩は?」「本音で言ってみよう」と"インタビュー"。後輩たちも笑いながらそれに答えるなど、仲の良さを伺わせてくれる。日々の練習が辛い分、部員同士の絆の固さは強いのだろう。唯一の2年生・鈴木健は笑顔で話す。「先輩方のおかげでやっていけている。見習わないと」。  「今年は拳法部にとって来年度、再来年度で成績を残せるように底力をためる1年でした!」(マネージャー・藤巻=法3)。 全日本学生選手権も終わり、次の公式戦は来年度となる。今後は新体制で臨むことになる立大拳法部だが、持ち前の雰囲気、不屈の精神をもって戦い抜いてくれるだろう。彼らの"底力"を目にする時が、とても待ち遠しい。なお、部員は随時募集中だということだ。
(3月5日 小野錬)

  ◆2012年度の主な結果◆
・矢野杯争奪日本拳法第25回東日本学生個人選手権大会:藤谷が優勝・木金が準優勝
・日本拳法第23回東日本選手権大会:男子団体が2回戦敗退 女子団体が優勝
・2012日本拳法東日本総合選手権大会:藤谷が優勝 木金が準優勝 岡田が4位
・2012日本拳法東日本大学新人戦:男子団体が4位





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