選手全員が「あと一勝」の壁の高さを痛感した。昨年の東日本リーグでは、「2部優勝・1部昇格」を掲げながら、優勝決定戦で防大に、1部2部入れ替え戦で群大にそれぞれ敗戦。力の差を見せつけられる結果となり、目標を果たすことはできなかった。迎える今季、大きなチャンスの一年が始まる。唯一の4年生の久保貴主将(コ4)の声を交え展望する──。
「このチャンスを逃したらまた20年くらい2部のままかもしれない」。1部校の群大が部員数の不足により無条件での自動降格がほぼ確定。通常は2部優勝校と準優勝校が1部下位校との入れ替え戦に進むが、今季に限り「2部優勝」=「1部昇格」となる。 4月のJOC杯(20歳以下の選手が出場する全国大会)では、飯島(コ2)が84kg級グレコローマンスタイルでベスト8に。自身初の好成績にチームのムードも高まっている。今年は個人での結果はもちろん、チームとして大きな目標を果たすことを掲げる。それが「2部優勝」だ。 「去年は大一番の試合で『勝ち』よりも『昇格』を意識してしまいボロボロにされた。先のことを考えるよりも目の前の試合で勝つことを考えていかないといけない。だから目標は『1部昇格』じゃなくて、あえて『2部優勝』っていうところだけを見ています」
今季からリーグのシステムも変わる。A・Bに分かれてのプール戦が廃止され全チーム総当たり戦へと変更。よりハードな大会となることで少数精鋭の立大は苦戦が予想される。また、階級設定も変わる。国際レスリング連盟(FILA)の階級区分変更により、57・61・65・70・74・86・125kg級の7階級に再設定された。選手個々人のコンディション調整も勝負のカギを握るだろう。鬼門となるのは防大戦。気力と体力を武器にチャレンジングなレスリングを仕掛けてくる難敵だ。選手層も厚く、試合数が増える今大会では大きな壁として立ちはだかるだろう。 「立教のレスリング部は、なにも日本一になれと言われているわけではなく、レスリングを通して心身を鍛えて社会に貢献できる人材を育成する場としてあるので。みんなにはまずは負けを恐れずにレスリングを楽しんでほしい」 メンタル面の成熟。それが少人数のチームがタフなリーグを戦い抜くための処方箋となりそうだ。「2部優勝して、みんなで美味い飯を食いたいです」。中核を担う3年生・大場(済3)、柏倉(営3)。成長著しい2年生・飯島、繁高(法2)。アスリート選抜で加入したルーキー宮川(法1)。そして彼らをまとめる主将・久保。彼らが歴史的な快挙を果たせるかは、目の前に迫る「一戦」にどう対峙(たいじ)するかに懸っている。 (5月7日・大山稜)
東日本学生リーグ戦 5月26日(月)〜29日(木) [2部は27日計量、28・29日試合実施] 於:駒沢オリンピック公園体育館 |