東京六大学野球オールスターゲームin徳島

〜徳島の地でスター競演〜


   8月21日(金)、徳島県阿南市・JAアグリあなんスタジアムで東京六大学オールスターゲームが開催された。今年で4回目となる同ゲームは、東京六大学野球連盟と阿南市によって主催され、街おこしの一環として実現されたものである。球場には学生野球の最高峰である東京六大学リーグのスター選手を一目見ようと、地元の野球少年をはじめ約2500人もの市民が詰めかけた。試合開始前から入場口には長蛇の列が見られ、阿南市民にとってのこの試合の注目度の高さがうかがえた。

他大の選手と笑顔でノックを受ける大城
  6つの大学は、慶大、法大、東大の連合チーム「あななん」と、早大、明大、立大の連合チーム「ハモーン」に分けられた。立大からは鈴木貴弘主将(コ4=日大三)、澤田圭佑投手(コ3=大阪桐蔭)、田村伊知郎投手(コ3=報徳学園)、松本直樹(コ4=丸亀)、大城滉二内野手(コ4=興南)、酒井田照人内野手(営4=県岐阜商)、中村圭太内野手(コ4=東邦大東邦)、佐藤拓也外野手(コ3=浦和学院)ら8名が選抜された。リーグ戦で鎬(しのぎ)を削る他大学の選手たちが入り交じりキャッチボールやノックをする姿はオールスターならではであろう。共にリーグを代表する選手で、通算安打数を競い合うライバルの大城選手と高山俊選手(4年=明大)が談笑する姿も見られた。また、各大学の応援団も駆けつけておなじみの応援を披露。神宮球場さながらに会場を大いに盛り上げた。

  各大学のスターが織りなす夢のオーダーに、観客は期待に胸を高鳴らせる。チーム「あななん」の4番には地元・鳴門高校出身の杉本(3年=法大)が据えられた。チーム「ハモーン」のオーダーには立大から3番左翼に佐藤拓、7番指名打者に中村圭、9番三塁に大城が名を連ねた。

  試合を初回から動かしたのは慶大勢だ。1回表、あななんは先頭の梅野(4年=慶大)がハモーンの先発・上原(4年=明大)から右前安打を放ち出塁すると、3番横尾(4年=慶大)の打席で果敢に盗塁。横尾が放った適時二塁打で本塁を駆け抜け1点を先制した。追いかけるハモーンもその裏に一死二塁の好機を作り、打席に立つのは春季リーグで立大のチーム最多打点をあげた佐藤拓。しかし見逃し三振に倒れ、この回は無得点に終わる。

速球にフルスイングで応じる中村圭太
  2回裏にも得点圏を作ったハモーンの7番は、この春大幅に出番を増やした中村圭。相手先発・加藤拓也(3年=慶大)の剛速球にフルスイングで応戦したが、最後は高め直球に空振り三振。好機は続き9番大城のバットにも期待がかかったが右飛に倒れた。

  3回表に相手投手の暴投であななんが1点を追加すると、試合は緊迫した投手戦となる。その中で輝きを放ったのが4回から登板した田村だ。昨季初白星をあげた右腕は先頭の楠田(2年=東大)に二塁打を許すも、ここからギアチェンジ。2三振を奪ってピンチを切り抜けると、5回も自慢の快速球で三者凡退に切って取った。続投した6回も4球で二死を奪い、迎えるは4回に二塁打を打たれている楠田。「前の打席で打たれた真っ直ぐで抑えてやろう」と意気込む田村は雄叫びをあげながら全力投球。見事、二塁ライナーに仕留め、リベンジを果たした。

相手打線に直球勝負を挑む田村
  田村の好投に応えたいハモーン打線は、8回裏に丸子(4年=早大)が相手4番手・谷川(3年=法大)から右前へ適時打を放ち1点を返す。この回から三塁ランナーコーチを務めた立大の溝口智成監督(90年度卒=湘南)は熱のこもった身振り手振りで走者を鼓舞した。しかし反撃はここまで。2−1でチームあななん(慶大・法大・東大)が勝利した。

  大盛況のうちに幕を閉じた六大学オールスターゲーム。そのハイレベルな一投一打に阿南市民約2500人が酔いしれた。応援団の熱いリードも相まって、応援席は一つとなった。観客が肩を組み六大学それぞれの校歌を大合唱する姿は、普段神宮では見られない光景であろう。元気に声援を送る観客、笑顔でプレーする選手たち。球場にいる全員が心の底から「野球」という競技を楽しんでいるようであった。六大学野球の伝統、そして「野球」という競技の素晴らしさを感じた試合だった。


(9月10日・大宮慎次朗、栗原一徳)
試合後の選手たち



Copyright (C) 立教スポーツ編集部, All Rights Reserved.