今年度、立大ゴルフ部女子は窮地に立たされていた。抜群のリーダーシップとずば抜けた実力を兼ね備えた前主将・森川(2015年度卒)が引退。「降格候補」。絶対的支柱が抜けたチームは、そう評された。しかし、ふたを開けてみればCブロック準優勝の快挙。下馬評を見事なまでに覆し、Bブロック昇格への確かな足がかりを作った。本特集ではその大躍進の実像に迫る。
サンヒルズカントリークラブウエストコース 平成28年度関東女子大学春季Cブロック対抗戦 初日 最終日 槙島 45 43 88 43 45 88 江坂 45 47 92※ 47 56 103※ 中島 44 45 89 45 50 95 日向 44 43 87 41 41 82 1位 山梨学院大学 240 234 474 2位 立教大学 264 265 529 3位 青山学院大学 254 278 532 4位 学習院大学 270 268 538 5位 聖心女子大学 263 279 542 6位 大妻女子大学 277 287 564 「崖っぷちでした」 あまりに偉大だったその背中。前主将の森川は文字通りチームの大黒柱だった。4年間 すべてのリーグ戦に出場し、常にチーム断トツのスコア70代を叩き出し続けた。そして今 年度、女子主将のバトンは森川から日向(営4)へ。「森川がいなくなって女子部は終わり」。 立大の先行きを不安視する声も上がる中、春季リーグは幕を開けた。 「まとめること以上に、チームトップのスコアを出し続けること」。自身の役割をプレー で引っ張ることだとする日向。今大会ではその言葉通り最終日にチームトップのスコア82 を記録。主将兼エース、その重責を見事に全うした。『私が一番スコアを出せる人なので、 そのプレッシャーはありました。でも後輩たちが「日向さんだけがプレッシャーを感じな いでください」と言ってくれて。そのおかげでリラックスして試合に臨めました』。填島(営 3)を筆頭に他の選手が日向の負担を軽減するべく奮闘し、レギュラー選考時から大きく スコアを伸ばした。そして、彼女はベストパフォーマンスでそれに応えて見せたのだった。 それぞれの選手が持てる力を100%、あるいはそれ以上に発揮した結果、気づけば立大は Cブロック準優勝にまで上り詰めていた。その瞬間を笑顔で振り返る。「終わった時、え!? やばい!なんで?って自分たちが一番驚いていました」(日向)。「奇跡」と彼女らは謙遜す るが、それは努力の賜物以外の何者でもない。 「奇跡」の余波
ゴルフ部は初心者が多くを占める。女子主将である日向も、本格的にレッスンを始めたのは大学に入ってからである。初心者からでも、4年間の努力次第では経験者を凌駕することができる。だが、初心者の男子部員が半年でスコアを90まで伸ばす一方で、女子は同じ期間でも120ほどだという。「この30打の差って何だろうっていつも考えています。男子はやる気が違っていて、早く先輩に追いつきたいって気持ちで毎日自主練習をしています。それに対して女子はアルバイトとか友達と遊んだりとかいろいろありますから。でもそういうところの強制はできないのですけどね」。 そんな中、Cブロック準優勝の快挙が達成された。大黒柱が抜けたことによる不安は一掃され、チームは確かな自信を得た。これは、単なる快挙ではなく立大ゴルフ部女子にとって大きな意味を持つものだ。「今大会の結果はゴルフ経験者がいない初心者だけのチームでも入賞できるということの証明となりました。後輩はそれに感動してくれていて、やる気に満ち溢れているようです。これから私が引退してからも、その気持ちを忘れずに続けていってほしいですね」。 チーム全体に波及していく情熱。先輩の必死に戦う姿が、後輩たちの闘志に火をつけたようだ。今大会の「奇跡」が、Bブロック昇格、そして立大ゴルフ部躍進の起爆剤となるに違いない。 |