「戮力同心」
春季リーグ戦直前 野球部智徳寮インタビュー@ 溝口智成監督 昨季、春秋ともに優勝まであと一歩届かなかった立大野球部。しかし、神宮球場には満員のファンが駆けつけ、大歓声が選手に注がれた。確実に、応援されるチームになっているとわかる瞬間であった。そして迎える今年、勝負の監督就任4年目へ。溝口智成監督(90年度卒)に並々ならぬ今年への想いを語ってもらった。 ◆溝口智成監督(90年度卒=湘南)◆ ―昨シーズンを振り返っていかがでしたか 惜しかった2シーズンが続いたのですが、惜しいで終わっていてはいけないなという思いを改めて強く思った1年でした。春は決勝戦で負けて、秋も良いところまではいきましたが最後に2連敗で優勝を逃しているので、「惜しかった」では駄目だなと本当に思いましたね。 ―春季、秋季ともに最終カードの明大戦で優勝を争った たまたま最後が明大であるだけで、特に意識はしていないです。他の四大学もすべて強敵なので「明治を倒さなければいけない」という感覚よりも、一大学一大学倒していかないと優勝争いはできないので、明大の壁という前にたくさんの壁があると思っています。 ―あえて昨年勝ちきれなかった理由を挙げるとすればどのあたりになるのでしょうか とても難しいのですが個人個人に力のある選手はいたと思いますし、彼らが実力通りのパフォーマンスを発揮してくれたら良い戦いはできると思っていました。野球は相手がいるものですから、常々力が出るとは限らない。そういうときにチーム力や打線の力など協力して得点することや、協力して守るということができなかったのではないかと思います。春は実力通りパフォーマンスをあげる選手がシーズンを通して多かったのであそこまで行けたと思うのですが、秋の最後は象徴的で。3点勝ち点をとりましたけれど4連敗でシーズンを終えました。個人個人の力がうまく出ないときに、チームとして結果をどうやってカバーするのかという部分がやはり弱かったのではないかなと思います。チームとしてのプラスアルファの力といいますか、それがなかなか出すに至らなかったですね。それを踏まえて今年はチーム作りをしているつもりです。 ―新チームの印象はいかがですか 去年と比べると個人の力が減ると私は思っていますし、選手自体もそう認識しています。その中でどうやって勝つのかということを考えた際に、ひとまとまりで行こうとしているなという感じは受けますね。先程言ったような、チームの力で勝とうという雰囲気は新チーム結成当初からあったといいますか、作ったといいますか。そのような感じですね。 ―今年のスローガンについて 今年のチームは「こういう風なチームにしたい」というコンセプトを伝えて、どのようなスローガンにするかを考えろと指示しているので、私の意思が全く反映されていないわけではないです。一体感を持ってチームで1点を取りに行く、1点を守るというチーム作りのためのスローガンを作ろうという風になった中で、難しい言葉ですけれど、意味を調べたらすごくしっくりくるものだったので良いなと思いました。
―具体的にチームが一体となっている、と感じた瞬間はありますか 例えば、ある選手がオープン戦でバントを失敗したら、それはその人だけの問題と思わずにみんなでバント練習しています。個人の失敗を個人のものと思わずにチームの問題として捉えて、それを当事者だけではなく全員で補う。内野の守備が乱れたら内野手全員で練習することや、バントを失敗したら野手全員でバント練習すること、バッテリーの配球ミーティングを多く取り入れることなどで一体感を感じます。また、練習後の集合を大事にしているなと感じます。本来、投手と野手はメニューが違うので終わる時間も違うのですが、なるべく投手と野手で同じ時間で練習を終わろうといった姿勢など、選手同士が一緒にいる時間を共有する機会が多くなっていると思います。 ―監督から見た熊谷主将は、どのような主将でしょうか 今年は半分私が指名しました。彼が一番適任かなと思っていましたし、彼自身やるつもりもありました。周りも熊谷じゃないかと思っている節があったので、最初から彼に期待していました。 ―なぜ、熊谷選手を主将に推薦したのでしょうか 去年1年間ずっと試合に出続けたというのもありますし、彼の雰囲気もあります。彼も全部が全部素晴らしいキャプテンだというわけではないですが、学年を見たときに彼が一番合っているかなと思いました。熊谷にもまだダメなところはありますし、これからの成長に期待しています。実際チーム作りをこの4カ月間やってきましたが、その中でよく頑張っているほうだと思います。これから神宮で戦って結果が出る中で、彼がどういう主将になっていくのかを見守っていきたいところですね。もちろん選手としても期待していますし、しっかりしてもらわないと困ります。パフォーマンスでもキャプテンシーでも、結果を期待していますね。 ―他の5大学の戦力分析をお願いします 誰が出てくるかわからないというのが印象です。主な投手の名前は挙がりますが、どのような感じになるのかはやってみないとわからないなと思います。対策はまだ立てていないですね。相手の分析もデータ上はやり始めていますけれど、どのようなスタメンで来るのかはまだわからないですし、それよりも自分たちのチーム力を上げたり、自分たちの野球ができるようにしたりというところに力をかけている状態です。 ―今年のチームが目指す野球はどのようなものでしょうか 打線はとにかく1点を取りに行きます。ピッチャー陣は一人で投げ切るというよりは、行けるところまで行って、もしくは調子のいい順に投げて一試合をなるべく少ない失点で抑えることです。一人の力に頼れることができれば一番良いのですが、頼りきれない部分はあるので、点を取るにも守るにも打撃陣全員・守備陣全員、ベンチで控えている選手も含めてとにかく全員で1点を取りに行くという野球をしたいなと思っています。 ―キャンプの話に移りたいと思います。キャンプで手ごたえは掴めましたか 短い期間でやったのですが、練習の量はだいぶ確保しました。その中で質も求めていったので、量・質ともに中身の濃いものができたかと思います。 ―キャンプを踏まえ特に目立った選手はいらっしゃいますか いないですね。いつもキャンプ賞という賞を出すのですが、今年はいなかったです。皆が頑張っていたので突出している選手はいないなという感じです。それぞれのポジションで皆が頑張っていたなという感じです。 ―昨年のレギュラーの多くが卒業され、ポジション争いが激化することが予想されますが、監督がポジション争いで重視していることはありますか 難しいですが、結果以外をよく見ています。普段の取り組み姿勢もそうですし、チームの方針を大事にしてくれているかは結果と同じくらい見ています。同じような結果を出している選手でどっちを使うかとなったらそういう部分が大きく影響すると思います。きっちりとこの野球部でパフォーマンスを出すためには、チームの方針であったり大事にしていることをしっかり守ってくれている選手が最終的に結果を出すのではないかと思います。 ―チーム内の争いの中で、やはり最上級生への期待は大きいものでしょうか 特別にはないですね。ただチームを作る上であったり、リーグ戦となるとやはり4年生は試合に出るのもそうですが、精神的な柱になることや、ベンチワークをきちんとやること、日々の練習でしっかり先頭を走っていることなど、チームの方針を一番に理解してくれていることを願っています。また、そういうチームが強いとも思うので、そういう期待は今年のチームに限らないですけど、常にあります。 ―では逆に新入生に期待することはありますでしょうか こちらも特にはないですね。早い人は1月の終わりから入ってきているので、そういう選手たちはもうすぐ3か月くらいになります。1年生だからという特別な期待はしていませんし、まずは大学生としてきちんとこの野球部員になってくれれば良いなというくらいに思っています。
―では最後に今シーズンの意気込み、そして応援してくださるファンに向けて一言お願いします 去年よりは確実に個人個人の力は劣ると思うので、下馬評も高くないと思います。ですがその中で優勝するためにはどういうチーム作りが必要なのかをよく考えて、新チーム結成以降やってきたつもりなので、チームの力やチームの気持ちを合わせて「戮力同心」というスローガンの下でどういう戦いができるか。チーム一丸となってどれだけ優勝に近づけるか、優勝できるかというところに、私自身も楽しみな部分があります。去年とは全然違うチームですから、そのチームがどこまでできるのか、そのチームでどうやって優勝するかということをずっと考えてやっていきたいと思います。決意という意味でいいますと、この3年間で6シーズンあって3回優勝争いをして、本当に惜しいところまで行ったのですが、もう優勝争いするというところでは満足はできないですし、それは周りもそういう目で見てくださっていると思います。一番初めに言いましたけれど惜しいでは意味がなく、本当に優勝しないと私たちも選手も満足できないので、見ている人たちももう満足はできないと思っています。この3年間で優勝争いがある意味当たり前になってきているチームを、どうやってもうひと超えさせるか、 そのためにどうしたらいいのか、何が必要なのかということをずっと考えて実践しながら、なんとか優勝したいなと思っています。 ―ありがとうございました! 第2回は、田中誠也投手(コ2=大阪桐蔭)、手塚周投手(コ2=福島)です。お楽しみに! (4月10日 取材・川村健裕/編集・川村健裕)
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