「戮力同心」

秋季リーグ戦直前

野球部智徳寮インタビュー③


山根佑太選手、松﨑健造選手


    春季リーグ戦。彼らが外野の2枠を埋めたことがどれだけ心強かったことであろうか。昨季のレギュラーであった佐藤拓也(現JR東日本)、佐藤竜彦(現HONDA)、田中和基(現東北楽天)が抜けた外野3枠の穴を埋める左右の強打者#1山根佑太、#4松崎健造。背番号も春季から一新した彼らに、春季日本一を振り返ると共に、連覇に欠かせない2人の秋季にかける思いを聞いた。

◆山根佑太(営4=浦和学院)◆

飛躍の春季を振り返る山根。彼の活躍なくしては

優勝がなかっただけに、その一言一言には説得力が宿る

――日本一長い3か月間でした。春季を振り返っていかがですか
    立大は長年リーグ優勝していなかったのでファンの方々の期待が薄かったと思うのですが、そこでまず優勝できて全日本での久々の出場で、またそこで勝つことができて日本一になれました。ファンの皆さんに向けての良い形での恩返しになったと思いますし、立大野球部がまた注目されるというのは嬉しいですね。個人的にも高校で日本一になれて大学でも日本一になれたので幸せだと思っています

――躍進の春季を振り返って。何かを掴んだということでしょうか
    野球を楽しくやるというか明るくやるということですね。前までは打ちたいとか良いように魅せたいとかプライドの部分があって、打席の中を楽しめなくて緊張だけしてる感じだったのですが、今年の春に(大学で)野球を辞めると決めてからは一打席一打席を楽しもうと思いやったら良い結果が出ました。根本は楽しいからやっていると思うので野球は楽しんでやった方が良いと思いましたね

――逆に課題は見つかりましたか
    課題はいっぱいありますよ。チャンスで凡退も多かったので、本塁打でしか打点を挙げていません。適時打がなかったので、チャンスで適時打や犠牲フライを打てるようにしてもう少し打点を挙げられるところはありました。あとは送球ミスを明治戦のバックホームでやってしまったので、そういうところが課題だと思います。

夏季キャンプでは守備を鍛えたという山根。

笑顔で振り返るその姿は、野球を心から楽しんでいる大学生だ

――秋季の連覇に向け、キャンプで重点的に取り組んだことはありますか
    送球です。ノックを受けてひたすら投げていました。そのおかげですごくよくなりました。もともと悪くないと思うのですが、監督が明治戦での一球を見て送球悪いキャラになってしまったので、元に戻った感じですね。

――オープン戦ではプロの投手から本塁打も放ちましたが、自信につながりましたか
    いえ、たまたまだと思います。手ごたえとかは感じていないですが、今は自分のスイングができているので打てたかなと思っています。

――夏にはオールスターにも出場されましたがいかがでしたか?
    明大の逢沢(3年=関西)とかはずっと一緒に酒を飲んでいたのですが、小学校のソフトボール全国大会で対戦していたんですよ。それで仲良くなって、結構明大はお堅いイメージだったのですが、そんなことなかったので逢沢は面白かったですね。

――秋季は王者として他大学からも意識されることになりますがいかがですか
    逆に良いことかもしれないですね。向こうが意識してくれた方が楽かなという感じですね。今まで勝っていなかった立大が優勝して日本一になったら意識は勝手にしてくれると思うので勝手に力んだり、固くなってくれると思うので、気が楽で来られるよりは意識してもらった方が良いと思います。絶対勝ってやるとか気合を入れた状態で来られる方が良いと思います。明大とかも自分たちが入学してから初めて勝ったので絶対に秋は気合マックスでくると思うので、こっちがその気合にがっついてしまったらいけないというか、良い意味で相手が熱くなってこっちが冷静にという風にできればよいと思います。

――秋季は大学最後のリーグ戦となるが、心境としてはどうか
    やっと最後だなという感じです。終わろうと決めて終わるので悔いはないですね。周りはもったいないとか続けた方がいいんじゃないかとか言いますけれど、それは周りが言っていることですし、プロに行くことだけが幸せではないと思いますし、自分で決めた道を進んだ方が自分が幸せになれるので後悔はないです。?(――春季の成績を超えたいという想いはあるか)全然思わないですね。ただ打点は高かったらチームが勝っているということだと思うのでこだわっていきたいですね。それよりはしょうもないプレーをしたくないですね。タラタラやったりだとか、三振とかで落ち込む雰囲気を出したりだとか。そういうのは日本一になったチームの選手としてみっともないのでやめていきたいと思います。

連覇に向け、野球を「楽しむ」ことが大切と説く

山根。秋季、彼の笑顔を見ることはできるか――。

――最上級生として、後輩に伝えたいことはありますか
    もう野球頑張れという感じですね。ここまできて楽しくやってほしいと思いました。野球を17年間くらいやってきて、楽しくやるのが一番いいなと今年思いました。観客がいる中で野球をやっていることは地方のリーグでは無理じゃないですか。自分は法大戦(1回戦9回)で本塁打を打ったじゃないですか。ああいう場面でも楽しんでほしいなと思いますね。

――秋は連覇がかかります。最後に今季の意気込みと、ファンの皆さんに一言お願いします
    チャンスでは思い切り振って打点を稼いで、勝利に貢献したいと思います。ファンの方へは、日本一のチームなので応援も増えてくださるだろうし、声援も増えてくると思うので、そういったものが選手にとっては本当に力になってきます。形に見えないものなのですが、すごく意味のあるものだと選手は実感しているので、自分たちの力になって勝利に繋がってくるので一緒になって戦っていきたいです!

――どうもありがとうございました!

◆山根佑太(やまね・ゆうた)1995年4月9日広島県生まれ。経営学部4年。右投右打/外野手/浦和学院/180㌢75㌔


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◆松﨑健造(文3=横浜)◆

――日本一長い3か月間でした。春季を振り返って、疲れはありますか
    疲れはありますね。けど、良い意味の充実感というか、良い疲労ですね。なかなかないですよ。(――パレード等、反響も大きかったのではないでしょうか)授業などで先生が祝福してくれたことがうれしかったですね(笑)周りは皆祝福してくれました。

レギュラー定着を目指した春季。

松﨑が語る彼自身に足りない課題とは――。

――激闘の春季を振り返って。ご自身の収穫や課題はありますでしょうか
    あまり収穫はないです。課題は、バッティングでもっと打てるようにすることですね。技術的な欠点もそうですけど、ずっと同じ精神状態で戦えていなかったので前向きになれないときもあったし、そういうところが自分の弱さだと思うので、メンタル的な部分を今後鍛えていかないとなと思いました。



――春季は外野転向と、新たな挑戦があったシーズンですが、外野は慣れましたか
    楽しいところは、ランナー2塁とかだと内野とは違う緊張感があることですね。飛んできてバックホームで間一髪を逸らす、ちょっとでも逸らしたら1点入るっていう(緊張感があるので)、内野をずっとやってきて違う緊張感があったり、打球とかも未知数だから、力のあるバッターだったら球が伸びてきたりとか、怖いなっていう感覚はありましたね。

――外野も本職のセカンドも定位置争いは激しいですが、ご自身の何をアピールしたいと一番思いますか
    バッティングですね。打てないと試合に出れないので、リーグ戦はある意味数字というか、当たれば良いという世界ではないので、数字を残すというのが一番試合に使ってもらえる要素だと思うので数字をもっと追い求めていくところですね。

連覇に必要なこと。松﨑が悩み抜いた末に

導いた答えとは、一体――。

――夏のキャンプで重点的に取り組んだことがあれば教えてください
    練習時間もいつもの倍あって守備もバッティングもいつもの倍やったんですけれど、個人的には打撃の向上というか、数振って数打って、リーグ戦とかだと疲れた中でもベストパフォーマンスをしなければいけないので、キャンプできつい中でどれだけバットを振れるかというところで自分を鼓舞して精神的な強さも鍛えていました。(――夏には母校が甲子園に出場しました。励みになるものですか)いやもうファン目線なので(笑) 誰々すごいな~とか、あいつ駄目だな、とかじゃなくて、応援してるというぐらいです(笑)

――秋季が終わると最上級生になります。心境に変化等はありますか
    まだ考えてはいないですけど、四年生だからとかじゃなくて野球を楽しんでいきたい。四年生の行動は下も見ていると思うので、そういう姿勢でやっていれば口は出さなくても自然とついてくると思います。なので、野球に関しては、後輩のためにというよりは自分のためになることをしていれば一番良い刺激になるし、コミュニケーションとか人と話すことが好きなので後輩には積極的に絡んでいます。

――逆に4年生とは秋季が最後になりますが特別な思い入れがあるのではないでしょうか
    自分は1年生で入部した時からAにいさせてもらって、最初のキャンプになって、1個上の人たちにはよくしてもらったので、有終の美というか、打って活躍してチームに貢献出来たらそれが一番良い恩返しになるかなと思うので頑張っていきたいです。今はこれからリーグ戦なので、もうすぐ終わるんだという実感はないんですけど、でも(終わりが)近づくにつれて色々感情が出てきて、伝えられれば良いなと思います。
――秋季は連覇がかかりますが、どのような形で貢献していきたいですか
    春秋連覇という大きな目標もあってそこは全部員が共通意識として持っていると思うんですけど、そこに行きつくために目の前のことを全力でやるということが絶対にマイナスなことじゃないと思います。なので、大きな目標ばかり見ていると結構しんどくなるから、まずは目の前のことを全力でやって、それがチームに影響していって、練習とか試合の結果だけじゃなく、長いリーグ戦を戦っているとチーム状態が悪くなる時もあるので、自分の行動とか発言でそういったチーム状態を上向きにできればなって思います。自分はそれができると思うので、試合に活躍するだけじゃなくてそういう面でも気にしていきたいなと思います。

秋季は彼の活躍が必ずや必要となってくるであろう。

彼が塁上で、グラウンドであげる「雄叫び」を聞き逃すな!

――最後に改めて秋季に向けて、そして応援してくださるファンの皆さんに一言お願いします
    日本一になってチームに対する期待が大きくなる中で周りのマークもきつくなると思うのですが、その中で夏もチーム力が上がっていると思うし、自分たちの1年間やってきた全力疾走であったり、学生野球の良いところというか全力プレーというのが自分たちの持ち味というかいつも変わらずやれる強みだと思うので、そういったところを見てもらって結果的に優勝という形で終われれば、自分たちもうれしいし応援してくれる人たちもうれしいと思うので、優勝を目指して頑張ります!

――どうもありがとうございました!

◆松﨑健造(まつざき・けんぞう)1996年6月3日福岡県生まれ。文学部3年。右投左打/外野手/横浜/170㌢68㌔


第4回は、高田涼太選手(コ4=浦和学院)、藤野隼大選手(営2=川越東)です。お楽しみに!



(8月31日 取材・渡邉紘也、桒原由佳、西山京香/編集・川村健裕)