去る者あれば、来るものあり。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。「立教スポーツ」編集部では、日々努力を続ける体育会アスリートの皆さんを取材させていただき、年5回発行の「立教スポーツ」にて、その活躍を取り上げさせていただいています。
   今回は、そんな体育会の取り組みを皆さんに少しでもお伝えするため、「もう一つの216号」と題した本特集にて、普段は見ることができない体育会員の一面をお届けいたします。この文章を読んで、大学4年間を捧げるスポーツと出会えていただけたら嬉しいです。
   ※本特集で取り上げる部活動は、4月1日発行の「立教スポーツ」216号で活躍が取り上げられた部活動の特集が組まれております。キャンパスのいたるところで配られる紙面も是非手に取ってください!




   強豪ぞろいの関東1部リーグ。立大ULTIMATESは一昨年、関東ベスト4進出という大きな成績を残す。だがこれに満足することない彼女たちは、昨年も日本一を目指していた。
   これを達成するためには、関東リーグでの優勝が不可欠となる。しかし、現役の世代は関東優勝を経験したことがない。未知なるステージに向かい、その挑戦が幕を開けた。

夢に向かって

安定感のあるドローで試合の流れを作る井上(観3)

   大きな目標に向け、積み重ねてきた練習の日々。その成果を初めて発揮する第一戦で、対するのは日体大だった。しかし、それは昨年FINAL進出を果たした難敵。それだけに選手たちの意気込みも違っていた。次々に決まるシュートで試合の流れをものにしていき、15−1と快勝。日本一へと大きな弾みをつける試合となった。
   その後の勢いも衰えることはなかった。続く青学戦、東農大戦、早大戦のすべてを白星で飾り、準決勝進出を決める。最終戦である成蹊大戦では、主力であった4年生をあえてメンバーから外して臨み、引き分けに持ち込む健闘ぶりを見せた。

   全5試合を終え、ブロックを1位で通過。頂点へと向かい高まりを見せるメンバーの思い。誰もが今年こそ日本一の称号を手にできると思っていた。しかし、その希望は準決勝でもろくも崩れ去った。
   臨んだこの試合で当たるのは明大。奇しくも、昨年決勝進出を阻んだ相手と再び同じ場面で対戦することとなった。
   日本代表に選出された選手の数や、これまでの試合での技術において、確実に明大よりも上だった立大。だからこそ、新主将の田中(文4)は「実際は勝てると思っていました」と話す。しかし、試合のペースは完全に相手のものだった。必死でそれに食らいつこうとした選手たち。それでも得点の差を埋められないまま、無情にも試合終了を迎えた。一瞬にして散った夢の前で、選手たちの姿はまさに抜け殻のようだった。

見えた課題

的確な指示を出し、チームをまとめる新主将・田中

    「人間性の部分で負けていたんじゃないかな」(田中)。困難な状況に置かれたとき問われるもの――。それは技術ではなく、普段の行動からくるその人自身の「人間性」だった。
   試合に出場する選手たちは皆、"日本代表"や"立大のAチーム"といった、さまざまな気負いがある。しかし、フィールド上で自分の力不足を感じた時、それがひとつずつ剥がれ落ちていくような感覚になったという。そうしてそのすべてが剥がされたとき、最後に残る選手個人の核の部分。それこそが、彼女の言う「人間性」だ。
   これを強化するため、各個人が自覚やリーダーシップをもって行動していくということに重点を置きたい、と田中は語る。挨拶をする、ルールを守るなど、当たり前を徹底することが勝利につながっていく。個々人が本質を磨くことで、自然と立ち現れてくる真の強さ。言葉では言い表せない選手一人一人の雰囲気こそが、準決勝で感じた相手との決定的な差であった。

   悔しさの残る明大戦での敗戦。だがそこで得た収穫は今後への大きな糧となった。これまでは4年生の脚力を強みにしていた。その代が抜けた今、技術以外の部分で強力な武器を得たULTIMATES。今年頂点に立つのは、間違いなく彼女たちだ。

(4月4日 取材/編集・久保田美桜)



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