東日本開幕、3連勝でインカレ切符つかめるか
東日本インカレが8月10日、北海道・函館で開幕する。同大会には北海道、東北、北信越、関東から4校ずつ計16校が出場。A〜D組に分かれて総当たり戦を行い、各グループを制した大学が11月に行われるインカレの出場権を得る。C組の立大は金沢大、札幌大、仙台大と激突する。
苦い記憶を振り払い、この舞台に立つ。1部8位以上に入ると自動的にインカレへ出場できるため、東日本はある意味“出てはいけない大会”だった。立大は春季リーグで1部中位を目標としていたが、1勝8敗。まさかの最下位に沈んだ。開幕前、主将・昆(コ4=不来方)が「もしかしたら上位へいけるかもしれない」と自信をのぞかせていただけにショックの結果となった。悲劇はさらに続く。入替戦で2部1位の順大に敗北し、2部降格が決定。目標の順位どころか、残留すら果たせなかった。突きつけられた厳しい現実。士気は上がらず、締まらない練習が続いた。
だが、東日本インカレはやってくる。インカレ切符を掴むため、東日本で勝つ。目の前を見て気持ちを切り替えた。「2部には落ちたが、インカレでやりかえしてやろう」。主将が反攻の旗手となり、チームは再び歩みを始めた。
まずは、課題を洗いざらい話し合った。シュート精度、フィジカル、気持ちの弱さ・・・。チームミーティングで出し合った。その中で、ある一つの結論を導き出した。「自分たちの武器はスピード。小さい分、高いディフェンスができるわけではないので足で走り勝っていかなくてはいけない。リーグ終盤は上手くいかないことが多くて、がむしゃらに連携を合わせたりして、自分たちの武器であったスピードや体力がなくなったりしたのが、一番の反省点だった」。原点に戻り、ひたすら走り込んだ。コートをフルに使い3対3での攻防、目標時間を設定してのラン、マネージャーを含めた全員でのリレーなど猛暑の中、走りの鬼と化し体と心をいじめぬいた。倒れ、吐く選手もいた。副将・比嘉栄(コ4=興南)は「4年間で一番のきついラントレだった」とまで話したが、全員で走り切った。
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練習中、話し合う選手たち。中央で主将の昆が指示を出す |
真夏の猛練習は、奏功しつつある。体力が強化されたことで、プレーに余裕ができた。主将は「ゲーム形式の練習でも余裕があるのでシュートを狙って打つとか奥の選手まで見るとか、体力がついて走れるうえにプレーに余裕がでてるし力強さもでてきたのかな」と話し、個々の成長を実感している。エース・下地(コ3=興南)も「ただ走るだけじゃなくて走りこんでシュートを打つとか、自分を追い込んでどれだけ正確にシュートを打てるかという部分でも走り込みをいれたので、メンタルも強くなった」と充実感をにじませた。
走った先には、シュートがある。体力強化をしても、フィニッシュが決まらなくては勝てない。6日の大東大との練習試合は勝ったものの、シュート精度が課題として残った。それを踏まえ、8日の大会前最後の練習は速攻やシュート練習に時間を割いた。特にノーミスでのシュート練習では全員が連続して決めるまで約30分間、声を出し合いながら腕を振り続けた。
東日本インカレは下級生を積極的に起用し、チームの底上げを図る場でもある。チームではスタメンのAと控えのBを分けているが、人数が多くないチームにとって全員が貴重な戦力だ。今大会ではスタメンが試合を作り、そこにBの選手を混ぜながら勝ちに行く。主に下級生が多いBの選手は、東日本で活躍すれば秋リーグ、インカレで出場機会を得られるかもしれない。その中で、昆や比嘉栄らが挙げたイチオシ選手が、平仲(コ1=興南)である。高校時代、主将を務めていた18歳は、沖縄出身らしい独特なプレースタイルが特長。春季リーグは出番がなかったが、東日本では「出たらがむしゃらに、強気で思い切ったプレーをしたい」と力を込めた。山本(コ1=浦和学院)がU−19日本代表に選出され不在であり、コートに立つ時間はありそうだ。ルーキーの活躍にも、注目したい。
立大は9日に出発して10日に札幌大、11日に仙台大、12日に金沢大戦を迎える。昨年は2勝1分だっただけに、今年は3連勝してインカレ切符をつかみにいく。それも、悔しさに走り勝った男たちなら難くない。さあ、名曲にのせて、はるばる“行くぜ”函館へ――。
(8月9日・浅野光青)
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