去る者あれば、来るものあり。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。「立教スポーツ」編集部では、日々努力を続ける体育会アスリートの皆さんを取材させていただき、年5回発行の「立教スポーツ」にて、その活躍を取り上げさせていただいています。 今回は、そんな体育会の取り組みを皆さんに少しでもお伝えするため、「もう一つの216号」と題した本特集にて、普段は見ることができない体育会員の一面をお届けいたします。この文章を読んで、大学4年間を捧げるスポーツと出会えていただけたら嬉しいです。 ※本特集で取り上げる部活動は、4月1日発行の「立教スポーツ」216号で活躍が取り上げられた部活動の特集が組まれております。キャンパスのいたるところで配られる紙面も是非手に取ってください! テニスは個人競技。皆さんはそんなイメージをお持ちではないだろうか。確かに、選手はコート上では一人だ。試合の勝敗は、いかに自分の気持ちをコントロールできるかにかかっている。腕を磨くのも、課題を克服するのも自分自身。どれだけ自己と向き合い、練習を積み重ねてきたかが鍵となる。一見孤独を強いられる競技のように思われるが、テニス部女子部員たちは「孤独を感じたことはない」と口をそろえる。100年を超える伝統を持つこの部には、学年の垣根を超えた絆が存在しているからだ。 紡がれる絆
新進大会において、橋(法3)がテニス部女子史上初のシングルス優勝を収めた。部からの期待も大きく寄せられているエースである。今回はシングルスで快挙を成し遂げたが、昨年はインカレベスト4など、主にダブルスで飛躍を見せた年だった。 彼女が1年生のころからダブルスを組み、切磋琢磨しあった選手がいる。根本奈々(16年度卒)である。根本は橋にとって、戦友であると同時に、背中を追いかけ続けた先輩だった。2人はいつも、誰よりも最後までコートに残り、練習に明け暮れた。「ずっと根本さんを超えたいって思ってたし、奈々さんも私に負けたくないって思ってくれていた」。時には相棒として、時にはライバルとして。学年の枠を超えて刺激を与え合える、堅い絆が2人の間には生まれていた。 試合中も、そのパートナーシップで幾度となく危機を乗り切ってきた。ダブルスでは、どちらも調子が良いとは限らない。相方の様子をうかがい、覇気がないと判断すると、すぐさま声をかける。ペアが自分を励ましてくれることが何よりの原動力になった。ずっと一緒に歩んできたパートナーだからこそ、阿吽の呼吸で試合に臨むことができた。互いが互いを補い合える、確かな信頼関係。それが彼女たちの強さの理由だった。インカレベスト4という創部史上初の快挙の裏には、同じ目標に向かって休むことなく流したたくさんの汗があったのである。 根本は橋についてこう語った。「一番はやっぱり、応援される選手になってほしい。結果だけだと4年間で終わっちゃうけど、テニスを通じた経験とか人付き合いは一生のものだし、そういう関係が続くのが今後大切なのかなって。仲間から尊敬されて、皆に応援される選手になってほしい」。2年間共に戦った後輩へ、最大級の期待を込めた温かいメッセージだった。 継承される伝統
時は決して立ち止まらない。根本は立教大学を卒業し、橋は幹部学年となった。部が掲げる目標は2部優勝、1部昇格。この目的地に向かって、立大テニス部女子は気持ちを新たに走り出すこととなる。 入れ替え戦で惜しくも敗れ、1部昇格を目前で逃した昨年。今年はその雪辱を果たすべく、部員一丸となって練習に励む。大きな戦力となっていた根本の代が抜けたことは、部にとって大きな打撃だった。しかし、その分皆で一緒に強くなっていかなくてはいけないという思いは去年よりも強い。一致団結。一人一人がたゆまず精進していくことが、1部昇格への追い風となる。部の結束力は更に強いものとなった。 橋自身も、学年が上がったことで先輩としての自覚が芽生えた。チーム全体を見ることを意識し、後輩とのコミュニケーションを密にとるようになった。「姿で見せる先輩になりたい。この人がやってるんだから自分もやろうって、そう後輩に思わせたい」。下級生に背中で示すため、結果を残すことだけに集中するのではなく、練習への取り組み方も今一度見直した。常に気を抜かず、後輩の目を考えて行動する。それはまさに、橋自身が根本をはじめとする先輩から学んできた姿勢だった。こうして先輩から後輩へと紡がれてきた伝統は、新たな代へと受け継がれていく。脈々と継承されている部員同士の繋がりは、これからも耐えることなく続いていくだろう。 テニス部女子では、全部員がチームのため、そして自分のために、毎日練習に励む。彼女たちがテニスを通して得るものは、テニスの技術だけではない。困難に立ち向かった経験、努力を惜しまない心、そしてかけがえのない仲間。一生懸命何かに取り組んだ証は、生涯心に残る。根本は引退試合終了後、4年間をこのように締めくくった。「目標に向かって皆で頑張ったり、ぶつかったり。終わってみて、これが青春なのかなって思った」。ただひたすらにテニスに打ち込んだ人の姿は眩しいほどに格好良かった。これからテニス部に入る貴女にも、きっと最高に輝ける瞬間が訪れるはずだ。 (4月7日 取材/編集・森下友紀子)
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