去る者あれば、来るものあり。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。「立教スポーツ」編集部では、日々努力を続ける体育会アスリートの皆さんを取材させていただき、年5回発行の「立教スポーツ」にて、その活躍を取り上げさせていただいています。
   今回は、そんな体育会の取り組みを皆さんに少しでもお伝えするため、「もう一つの216号」と題した本特集にて、普段は見ることができない体育会員の一面をお届けいたします。この文章を読んで、大学4年間を捧げるスポーツと出会えていただけたら嬉しいです。
   ※本特集で取り上げる部活動は、4月1日発行の「立教スポーツ」216号で活躍が取り上げられた部活動の特集が組まれております。キャンパスのいたるところで配られる紙面も是非手に取ってください!




    この春、大貫渉(16年度卒)が立大を去り、新たなステージへと第一歩を踏み出した。これまで彼は立大洋弓部の歴史を数々塗り替え、「立教スポーツ」の紙面の中でもその功績は取り上げられている。アスリート選抜入試を経て、立大へと入学した大貫は、圧倒的な実力を発揮してきた。2年次には国体優勝、3年次には全日本選手権で準優勝を果たすなど国内での実績を着実に積み上げた。一見順調にキャリアを歩んできたようにも見える大貫。だが、そんな彼も国際大会への出場には縁がなく、大学3年次までは1度も日本代表として世界へ飛び立ったことがなかった。

世界への挑戦
力強く弓を弾く大貫

    大貫が初めて日本代表として国際大会に出場したのは、昨年6月にモンゴルで開催された世界学生選手権。国内での選考会で自己ベストを更新してトップ通過し、つかんだ学生日本代表入りだった。初めての海外での戦いは、大貫にとって悔しさの残るものとなる。大貫は団体戦・個人戦に出場。予選ラウンドでは9位とまずまずの滑り出しを見せ、団体のトーナメント戦に臨んだ。日本チームはイギリス・インドに連勝したものの、準決勝で台湾に敗戦。3位決定戦ではフランスに敗れ、4位という結果に終わり惜しくもメダルを逃した。大貫は「そんなに悪くない結果だと思われるかもしれないですが、もっと上を狙えたと思う」と振り返った。続いて挑んだ個人戦では決勝トーナメント2回戦で敗れ、個人17位という結果に終わった。初の国際大会で結果が残せなかったことで痛感した実力不足。「日本のレベルが低いわけじゃないですが、海外にはもっとうまい選手がいます。自分では伸びたと思っていた勝負強さもまだまだだと感じました」。しかし、得たものは悔しさだけではない。初めての海外での戦いは大貫に大きな財産を与えた。それは環境の違いへの適応力である。海外での戦いは、 食事面や環境面が日本での戦いとは異なっており、その中でいかにしてコンディションを整えていくか、この大会を通して学んだのだ。


   大貫は昨年9月にアイルランドで行われた世界フィールドアーチェリー選手権にも参加。フィールドアーチェリーの経験がそれほど豊富ではなかった大貫は、17位で予選ラウンド敗退。2度目の国際大会では環境にはうまく対応できたものの、「実力的に予選は通過することができたと思う」。と満足のいく大会にはならなかった。だが、この大会に出場したことで今年7月にポーランドで開催される「ワールドゲームズ」への出場を決めた。「第2の五輪」と呼ばれる大会への出場を決めたことは大きな収穫となった。

   世界学生選手権と世界フィールドアーチェリー選手権。この2つの国際大会での経験が大貫の世界での戦いへの思いを強くし、昨年11月のナショナルチーム入りへとつながっていったのである。

今後の戦い
競技終了後の大貫の表情は明るい

     大貫は地元神奈川の企業に就職することになり、練習を続けている。ナショナルチームメンバーとして臨んだ最初の大一番は4月4日〜7日にかけて行われた世界選手権二次選考会だった。今年度ナショナルチームメンバー8名が出場し、上位4名が最終候補に残ることができる中、結果は5位。今年開かれる世界選手権の出場権を獲得することはできなかった。世界選手権出場を目標にしてきた大貫にとっては、大きな悔しさが残る結果となっただろう。だが、ユニバーシアード選考会や「ワールドゲームズ」を控える大貫は今後さらに海外での経験を増やし、実力を磨いていくだろう。「中期的な目標は世界選手権でのメダル獲得で、長期的な目標が東京五輪での金メダル獲得です。東京五輪後はまだわかりませんが、競技は続けていきたい。また世界のトップを目指すかもしれません。生涯現役も目標の1つです」。日本のトップアーチャーとしての道を歩み始めた彼が見据える先は果てしない。

    一方で彼は、先日開幕した2017年度のリーグ戦の観戦に駆けつけるなど立大洋弓部への思いも忘れていない。大貫という存在があった中でも果たすことができなかった王座進出。洋弓部男子史上初の王座進出は後輩たちに託している。今後世界へ羽ばたいていくだろう大貫の後を引き継いだ立大洋弓部の活躍からも目が離せない。


(4月8日 取材/編集・渡邉紘也)



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