風に吹かれて〜本と音楽と絵と〜」から「本と(読書の記録を兼ねて ひとこと感想のページ)」の一部を,筆者であるekkoさんの許可を得て転載します。

「失敗のメカニズム 忘れ物から巨大事故まで」 芳賀繁著 日本出版サービス
ISBN4-88922-106-9

ヒューマンエラーについての研究をしている立教大学文学部心理学科教授、芳賀繁さんによる失敗のメカニズムについての本です。

主に人間がおかす失敗(ヒューマンエラー)についてそれを理解する手がかりと対策のヒント、失敗を理解しそれを防ぐ為の要点が各章で詳しく説明されています。

・エラータイプを調べるテスト(エラーパターンチェックリスト)
・音楽に夢中になると何故本の内容が頭に入らなくなるのか
・本に夢中になると何故音楽が聞えなくなるのか
・注意と記憶の失敗の章では、著者の高校時代の片想いのエピソードや恋人とのロマンチックなエピソードをまじえて
・アフォーダンスの実例(ドアの開閉について)
・何気なくしている指差呼称に隠された意味

など普段の生活に関連した事柄に興味津津。そしてその解析はたくさんの表や図、写真、資料を基にわかりやすく説明されています。

この本は同じ著者による「ミスをしない人間はいない」を読んでから、もう少しヒューマンエラーについて知りたくてオンライン書店で購入したものですが、「ミスをしない人間はいない」は本の表紙のイラストやデザインからも想像できるように
随所に散りばめられているユーモアが楽しく、ヒューマンエラーについてとても面白く勉強することができました。
同じように「失敗のメカニズム」でもご自身の実例をあげられたり、豊富な資料等で詳しくわかりやすく解説されています。

又、章ごとに統計についての説明があるのですが

「数字が苦手の人は、この節をとばして次の節に行ってください。」

「数字の嫌いな人は次の節へどうぞ」

というお言葉にどれだけ励まされたことでしょう
(笑)。 数字が苦手なので本当に飛ばして読んでしまいました・・・(^^ゞ。
でもきちんとあとから再読したいと思っています。

全部で・事故とヒューマンエラー、・見間違い、聞き違い、勘違い
 ・ ドジ型とボケ型  ・注意と記憶の失敗
・エラーを誘う設計と防止するデザイン ・ 違反と不安全行動 ・人は考えずに行動する ・安全の文化、の第1章から第8章。

特に関心をひきよせられたのは第2章の見間違い、聞き違い、勘違いで、錯覚や錯視のメカニズムはとても興味深く
3枚の不思議な絵には驚きました。

第8章の結びの「失敗を恐れて何もしないところには、達成もなければ安全もない。失敗は成功の母であるから。」の言葉ははとても印象に残る言葉です。