一般相対論とその宇宙物理学・宇宙論への応用
原田 知広
居室: 4 号館 3 階 4331 専門分野: 宇宙物理学
研究テーマ: 重力崩壊・自己相似解・時空特異点・ブラックホール物理学・重力波
2013 年度担当科目:
学部:物理数学1(前期木1)・物理入門ゼミナール(前期木2)・理論物理学講究1(前期金1)・宇宙物理概論(後期金3)・卒業研究(通年)大学院:相対論(前期金1)・天体物理学(前期水3)・重力特論(後期水3)・特別研究(理論)(前期)・修士論文指導演習(理論)(半期)・特別研究指導(通年)・輪講1,3(前期)・輪講3,4(後期)
オフィスアワー: 水4アカデミックアドバイザー: 3年生
最近の主な論文・著書等:
Chul-Moon Yoo, Tomohiro Harada and Naoki Tsukamoto, ``Wave Effect in Gravitational Lensing by the Ellis Wormhole,'', Phys. Rev. D87(8), 084045 (4/2013) (9pp).
Naoki Tsukamoto, Tomohiro Harada and Kohji Yajima, ``Can we distinguish between black holes and wormholes by their Einstein ring systems?,'' Phys. Rev. D 86(10), 104062 (11/2012) (6pp).
Tomohiro Harada, Hiroya Nemoto and Umpei Miyamoto, ``Upper limits of particle emission from high-energy collision and reaction near a maximally rotating Kerr black hole'', Phys. Rev. D86(2), 024027 (7/2012) (10 pp), Erratum-ibid. D 86, 069902 (9/2012) (1 p).
原田知広、木村匡志、 「ブラックホールは天然の粒子加速器になるか?」、日本物理学会誌第 68 巻第 2 号 102 頁、(日本物理学会、東京、2013 年 2 月)
原田知広 著、川本梨恵 作画、ユニバーサル・パブリッシング制作、 「マンガでわかる熱力学」、(オーム社, 東京, 2009 年 12 月)
研究内容の説明:
一般相対論に代表される重力法則は、宇宙の誕生間際から現在そして未来への進化を記述し、原子核程度の高密度物質からなる中性子星の重力を記述し、光さえも出られないブラックホールの構造を記述し、さらに時空のゆがみの伝播としての重力波を記述します。一般相対論は、時空の曲率と物質場の関係式によって時空の動力学を与えます。一般相対論は、単に理論的に美しいだけでなく、重力法則をきわめて精密に記述することが実証されており、宇宙論・宇宙物理学の様々な極限的な状況において非常におもしろい応用を持っています最近の観測技術の進展は、宇宙が現在加速膨張していることを発見しましたし近い将来には重力波の直接検出が可能となるでしょう。さらに、他の物理学や数学と関連した幅広い研究がなされています。また、ワームホールやタイムマシンなど空想科学的対象を物理学として扱うこともできます。そうした様々な研究が有機的に結びついた総体が、Einstein が提案した重力理論を踏まえつつそれを遙かに超えた、現代の「一般相対論」分野として認識されています。 ここ数年、私は近極限回転ブラックホール近傍での粒子衝突における重心系エネルギーの非有界性に関する研究を行ってきました。最近、極限ブラックホールの新しい不安定性が見つかったり、回転ブラックホールの超放射不安定性がふたたび注目されるなど、関連した動きがあります。また、観測的探査を念頭に置いたワームホールの現象論的研究も行ってきました。これからは、宇宙初期に形成される原始ブラックホールの形成条件を再検討したいと思っています。
私の研究室では、一般相対論・相対論的宇宙物理学・宇宙論全般に広く興味を持って研究を行っています。卒業研究生・大学院生は、一般相対論を基礎として、ブラックホール物理学・重力崩壊・時空特異点・自己相似解・ワームホール・拡張重力理論・原始ブラックホール・重力波・量子宇宙論など多彩なテーマの中から、相談の上でテーマを設定し研究を進めています。
図: 近極限回転ブラックホール付近で衝突する二粒子。各々の粒子のエネルギーは有界でも二粒子の重心系エネルギーは際限なく大きくなれる。