測定値に揺らぎがある場合、値Xが得られるのはある確率の分布に従うと考えられる。 このとき、Xを確率変数という。
Xの期待値<X>はXにそれが起こる確率をかけて加え合わせればよい。 例えば、サイコロを1回振って出る目の期待値は確率がそれぞれ1/6なので、 <X>=(1+2+3+4+5+6)/6=3.5 というように計算する。
期待値については線形性がある。つまりa,bが定数のとき、 となっている。

さて、ある測定でXという量を何回か測定したとし、各測定で得られた値をXiとする。 Xはある確率分布に従う(じっさいにはガウス分布になることが多い)ので、<X>=m とすると、各Xiに対しても<Xi>=m であり、 平均値 に対しても、 となることは容易にわかる。

標準偏差はどうなるであろうか? σは と定義できる。(これは無限に測定が繰り返せるとした場合の理想的な値である。)
N個の平均値の真の値からのずれは








となって、平均値の精度(標準偏差)はに 比例していることが分かる。
この計算では各測定値の間に相関がないこと、すなわち、 を 仮定していることに注意。

次に、標準偏差と不偏標準偏差の関係を示そう。
真の値mはわかっていないので、実際に測定値から標準偏差を計算する際には mを平均値で代用して計算する。 そうすると、








となって、期待値としては正しい値の(N-1)/N倍が得られることがわかる。
これを補正するために不偏標準偏差 を用いるのである。

© 家城和夫(2008)