【第10回】新生殖医療と親子関係
映画『ツインズ』 優秀な男性の精液を混ぜ合わせて 女性に与えて出産させて できあがったのが、 優秀な兄ジュリアス (A.シュワルツェネッガー)と 優れたところを全て兄に取られた 弟ヴィンセント(D.デヴィート) のツインズであった。 ジュリアスはヴィンセントと 再会して、母親を探す旅に出る。 |
不妊治療最前線 <人工授精と体外受精> 野田聖子さん 体外受精で出産 |
新生殖医療とは何か? (1) 人工授精 Artificial Insemination 精液を子宮に移植 (2) 体外受精 in Vitro Fertilization 卵子と精子を 女性の体外で人為的に受精させること。 受精卵の細胞分裂が進んだ 胚にしてから子宮に移植する。 配偶者間で行われる体外受精のほかに、 卵子・精子のどちらか、あるいは両方に 夫婦以外の第三者から提供されたもの を使用する方法もある。 (3) 代理出産 Surrogate birth
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新生殖医療とは、 性交渉、妊娠、出産という生殖過程 から性交渉のみを取り除く しかし、「性=生殖=情愛」の 三位一体的な家族観は残る アメリカの親族イデオロギーでは、 子どものいない夫婦は不完全な家族 子どもを持ち、 家族をつくることが家族の目標 この目標を達成させるために、 新生殖医療が用いられているのだ 代理出産にせよ、人工授精にせよ、 夫婦どちらかとは生物学的に つながることができる。 <問い> 新生殖医療は、既存の親族 のあり方を変容させるのだろうか? <答> 否 新生殖医療は、これまでのところ、 既存の親族イデオロギーに沿った かたちで展開されてきている 既存の親族体系を維持するために 新生殖医療が用いられている |
【ヒト・クローン】 核DNAを除いた未受精卵に 体細胞の核を入れ、 人工的に細胞分裂を行うことにより、 原理的には、ヒトクローンが誕生する。 クローン |
韓国とイスラエルという父系社会を取り上げて、
新生殖医療が、既存の生殖、親子関係、家族
に対してどのような影響をもたらすのか見てみよう。
父系社会とは? 父系出自というのは、 父親だけを通じて 子どもに出自集団の 成員権が伝えられる規則 であり、子どもは全て 父親と同じ出自集団に 所属することになる。 教科書p.61. |
【韓国】 ・韓国では強い父系原理を維持するために 男性の不妊症に対する技術が発達し、 新生殖医療が利用されている <韓国の結婚式> 教科書pp.75-6. シバジ 韓国には父系家族を維持するために 代理母として雇われる女たちがいた 映画『シバジ』 You Tube 映像 韓国 メディカル・ツーリズム(医療観光) 【イスラエル】 Hadas Dagul Seret Eelem 人口増加政策が行われている。 イスラエル人男性以外の精子 は姦通ではないとする宗教的教義がある。 その上で、新生殖医療が発達している。 <イスラエルの結婚式> 教科書pp.76 |
新生殖医療は、それぞれの文化に
合わせて行われている。
新生殖医療は、既存の私たちの親子関係の
想像によって発揮されるものでしかない。
すなわち、新生殖医療が、私たちの親子関係を
変えるということは、今のところない。
しかし、異なる局面もある。
既存の家族は異性愛を前提としているが、
新生殖医療によって同性愛者も
子を持つことができるようになった。
報酬を伴う代理母や精子提供者は、
これまでかけがえのない関係であった家族が、
市場取引の領域へ移行したことを意味する。
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