hallux valgus & bunions
特に女性で先の細い靴を履き続けていると親指が外側、つまり二番目の指の方に曲がってきます。それが外反母趾です。

この英語語句hallux valgus(不可算)の語源はラテン語のhallus=the big toeということですが、hallus-/halluc-の派生語がないために、語形からの連想が働かないのでなかなか覚えられません。
valgusもラテン語で身体の中心線から足や足の指が離れているという意味で、これも他の派生語がないから覚えにくい。

halluxとvalgusを両方合わせて、そして両足を合せてみると「足の親指X状曲がり」とでもいう症状です。

(hallux valgusとbunions)

 この外反母趾を患うと、足の親指の内側のつけねのところが腫れて、小さなこぶができて痛みます。写真のように、両足をくっつけたときのXの交点です。それがbunion(可算)です。これも派生語がないのですが、Paul Bunyan(アメリカ伝説の巨人)との語呂合わせもあって、割と覚えやすいのではないかと思います。
hallux valgusが覚えられなかったらその代わりに、

I’ve got bunions on the sides of the big toes. (ここでも配分複数か配分単数かが気になります。)

My bunions hurt.

などと言えば、外反母趾だと分かります。bunionは日本語にすると「腱膜瘤 けんまくりゅう」で意味的な連想が持てなくて日本語が覚えにくい。
もちろん、もともと足先の幅がひろくて、外反母趾でなくてもこのbunionsが腫れている人もいることでしょうから、必ずしもふたつが関連しているとはいえませんが、もしもこの症状について話すことがあるかもしれない人は、bunionを覚えていてもよいでしょう。
そして、これが連想となってhallux valgusが覚えられると喜ばしいことです。

しかし、学生に、archaeopteryxという単語とともにひけらかしたら、そんなの覚えてどうするのですかと聞かれたことがあります。もっと頻繁に使われる有用な語句や表現を紹介してくれということだとは分かるのですが。
確かに

A painful swelling on the first joint of the big toe.

(https://en.oxforddictionaries.com/definition/bunion)
という説明もできたほうが英語力があるといえるかもしれません。最終的には抽象化(語句)と具象化(説明)のどちらもできることが望ましいと思います。これもEasier said than done.です。後は関節の上か、横か、どの位置にできるのか、足の親指はどのように曲がるのかなどの一般的知識(聞く、調べる)とできれば実経験(映像あるいは実物を実際に見る)が必要です。でも、特別な理由がないかぎり、このような体の不具合や病気は自らが実際に体験するところまではない方がよいと思います。

ついでですが、小指側にできるのがtailor's bunion, あるいはbunionetteです。服の仕立て屋さんは、その座り方から足の小指側をいつも床に接しているから、この名前がついたとのこと(-> Wikipedia)。両小指にできれば、複数で、tailor’s bunions/bunionettesです。

これはけっこう体験している人もいるのではないでしょうか。私は二回ほどあります。靴幅が小さいのが原因でした。


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