複数名詞のcongratulations

おめでとう!という時の英語表現は、Congratulations!よく使われます。でもなぜ複数形が使われるのでしょうか。
この単語は、単数不可算名詞としての用法と、複数名詞としての用法があります。以下、比較しながら、その用法を検討してみます。  

(A) congratulation
単数形で、不可算抽象名詞です。「祝うこと」という意味です。 抽象的ですからひとつふたつと数えません。

I’d like to say a few/some words of congratulation on your passing the exam.
(試験に合格について、お祝いの言葉を申し上げます。)

I received a letter of congratulation on my birthday.
(誕生日のお祝いの手紙をもらった。)

Send her a letter of congratulation for me.
(彼女に私からのお祝いの手紙を送っておいてください。)

(B) congratulations
これは、「お祝いの言葉」という意味です。
words of congratulationと同じですが、一語で言えるところが便利なところ。 辞書によっては、複数名詞(plural nouns)として扱われています。
間投詞として扱っている人もいます。(Timber!(倒木!)は不可算名詞ですが、間投詞として取り扱う人もいます。)

Send her my congratulations.

実際の場面では、単数であるべきところを、

I sent her a letter of congratulations.

のように複数形を使って混同してしまうこともありますから、あまり気にしない方がよいのですが、このように複数形を使ってしまっても、おめでたい言葉をいくつか使ってのお祝いの手紙と考えれば間違いではないとも解釈できます。でも厳密な文法家はa letter of congratulationを好むでしょう。

 ふつう、単におめでとうという時にはcongratualtionsと複数が使われる場合が多いということです。それに対して、単数はお祝いの気持ちあるいはお祝い事という「抽象的なものや行為」のことです。
 この抽象的行為というのが、その種類によって私には理解しにくいものです。日本語では、お祝いの気持ちという抽象的なものが、複数になると具体的な行為や言葉になるという現象がないからだと思いますし、単数複数の区別がないのと、不可算としての抽象名詞とそれが可算になるという現象がないからだと思います。
 たとえば、Congratulationsというのはいつも複数で言うのかというと、次のように、

Congratulation on your success.
うまく行きましたね。おめでとう。(めでたいことだね。)

 という人もいます。これは、「お祝いの気持ち」「祝うべきこと」「めでたいこと」という抽象的意味で使われており、この場合は文法に非常に敏感な人が単数が適切だと考えて単数形を使っていると考えられます。(単に言い間違えかもしれませんが。)

 しかし、もし、この文を使った人がそこまで意識しているとしても、この抽象的概念、意味、用法は、日本語母国語話者には理解できにくい概念です。
 同様にachievementとachievements、troubleとtroublesなどの抽象と具体的、個別的事実の区別を考えてみてください。一度は頭で理解したつもりになってもいつのまにかその境界がぼやけてしまいませんか。日本語に影響されているのだと私には思われます。

 そういう理解に立てば、上記の抽象的なcongratulationを使った文と同じ文型でも、心の中にいくつかのお祝いの言葉が頭に浮かんでいれば、

Congratulations on your success.

となります。これは、日本語の言葉には複数形はないけれども、「いろいろな」「たくさんの」という形容詞をつければ、「おめでとう」「よかったじゃない」「がんばったね」などの表現を想定してみれば、ある程度理解できるでしょう。

 では、表現的にはどちらでもよいではないか、ということになるかというと、厳密に考えればそうではなくて、人によってはそれを抽象的に捉えていれば、単数形不可算用法を無意識に使い、「よかった、よかった。」「やったね。」「おめでとう。」「お祝いだね。」等、いくつかの気持ちやことばが隠れているようでしたら、複数形を使うのだと思われます。

 英語を外国語として学ぶ人は、直感的にこの区分をするのが難しいので、機械的に単に「おめでとう」という時には慣用的にcongratulations!と複数形を使う、というふうに覚えておけばまずほとんどどういう場面でも大丈夫でしょう。     だからといって、だれかが単数形を使ったらそれが間違いかどうかは断定しない方が無難です。最後のs音を聞き取れなかっただけかもしれませんし、たいした問題ではありません。ただし、書く時には気をつけてください。吟味する人もいるかもしれませんから。
 それから前置詞は、congratulation(s) forをよく使うひとがいますが、onです。

 *Congratulations for your graduation!
-->Congratulations on your graudation!

同じ種類の複数名詞として次のようなものがあります。

words of condolence=condolences お悔やみ words of apology=apologies    謝罪、謝辞
He expressed his words of condolence/apology.
Please accept my condolences/apologies.
words of greeting=greetings     挨拶
They exchanged words of greeting/greetings.

ですから、教授案(Teaching plan)で、最初の挨拶のところは、greetingでもgreetingsでもどちらでもよいことになります。言葉を使った挨拶を強調するとgreetingsです。しかし、言葉を使わない挨拶は言語学習においてはありえませんから、greetingでも構いません。英語を母語とする人でも、人によっては、どちらかしか許容できないひともいることでしょう。
words of thankとは言いませんが、複数名詞として、many thanksとかthanksがあります。Many thanksやThanksは、完全な文章としようとすれば、Please accept my many thanks.となるでしょうけれど、たいがい、前の文は省略します。

I am very happy to have so many people to today’s welcome lunch. Many thanks to all the managers and rowers for their time and effort to organize all these events.

Thanks, Many thanks の後に使われる前置詞は、to+人、for+物、行為となります。

Many thanks to you all.
Many thanks for the warm welcome.
Many thanks to you all for the warm welcome.


Countables and Uncountables


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